
諸元 全長 : 10.50m 全幅 : 14.50m 自重 : 3,000kg 全備重量 : 4,900kg 発動機 : ダイムラーベンツDB603A 液冷倒立V型12気筒 離昇出力1,750馬力×1 最高速度 : 632km/h 上昇力 : 6,000m/9分20秒 航続距離 : 3,200km(機内燃料満載時) 4,500km(増槽装備時) 武装 : 30mm機銃×1(プロペラ軸内) 20mm機銃×2(翼内) 13mm機銃×1(後方旋回) 爆弾500kg(爆弾倉) 乗員 : 2名 陸上急降下爆撃機「新星」は「彗星」の発展型であり、元々は艦爆として開 発された機体である。 「彗星」をベースに大馬力発動機と大アスペクト比の主翼を組み合わせ、高 速力発揮と大航続力を実現しようとしたのだが着艦性能不良のため陸爆へと転 用された経歴を持つ。 そもそもの問題は「新星」が新興航空機メーカーの「南房総航空機」で設計 されたことにある。当時の「南房総航空機」はドイツより招聘したフォークト 博士の指導下にあり、航空機設計自体には問題はなかった。 問題は当のフォークト博士が艦載機の設計に「疎い」ということであった。 艦載機は陸上機と数々の異なった設計思想が要求されるが、そのひとつに着 艦時の視界という問題がある。 「新星」の設計では、この点が軽視され、速力向上と大容量燃料槽装備のた めに操縦席が機体後方へと下げられてしまい、このため着艦時の視界が悪化し たのである。 斜め前下方視界を改善しようとしたためか、「新星」には逆ガル翼が採用さ れている。しかし、視界の改善にはさして効果は無く、逆に低速時の安定性が 悪化して、かえって着艦性能が低下している。 ちなみに「新星」の採用した逆ガル翼は「流星」からの流用であり、低速時 の安定性は艦載機として致命的なほどでは無かった。視界不良と重なったため に安定性不良が強調されてしまったのである。 (また、「流星」からの主翼流用について愛知からクレームがあったが、相当 額の「和解金」を「南房総航空機」から愛知へ支払うことで決着が付けられて いる。) 艦載機としては明らかに失敗作の「新星」であったが、それでもなお、その 高速力と大航続力は魅力的であった。 このため、「新星」は陸上急降下爆撃機として採用されることとなった。 「新星」は「彗星」をベースにしているため、機体可動部の多くに電装系を 使用している。「南房総航空機」はドイツから工作機械/工作技師を多く導入 しているため、国内でもトップクラスの精密工作技術を有しており、生産その ものに不安はなく、機体の仕上がりも「彗星」よりはマシであったが、日本全 体の技術レベルから見れば整備の困難な機体であることに変わりはない。 「彗星」で、液冷/電装系の整備の経験を積んだ整備員が増えていたことも あり、初期の「彗星」ほど厳しい事態にはならないまでも、やはり稼働率の低 い機体であった。 また、「新星」には運用上の問題もあった。 「新星」は液冷発動機の幅にあわせて機体幅を絞った機体で、居住性は極め て悪い。この機体で、なまじ大航続力を実現してしまったため、また「新星」 が複座機であるために、長距離飛行時の搭乗員の負荷が極めて大きい機体であ った。 一方で、「新星」は戦闘機に匹敵する高速力を発揮する。 「新星」は爆弾倉を装備し、500kg爆装時でもカタログ最大速力を発揮する ことが可能であった。 このため「新星」は、F6Fはおろか、状況次第ではF4Uの追撃を振り切 ることさえ可能な、かなり生存性の高い機体となっている。 また「新星」はかなり翼面荷重の低い機体で、旋回性能はかなり良好と言え る。(翼面荷重は「烈風」と同程度。) 「新星」はある意味、日独技術協力体勢から生まれ出た機体であり、ドイツ でも「新星」の採用が考慮されている。意外であるのは、ドイツよりもイタリ アが「新星」の採用に積極的であることだ。 考えてみればイタリア軍機の作戦領域はおもに地中海であり、長距離飛行の 可能な高速急降下爆撃機はかなり使いでのある機体であると言える。 また、「新星」の液冷発動機/電装系も、独伊にしてみればなんら問題の無 い装備であり、「新星」はむしろ欧州戦線向きの戦術機であると言えるであろ う。 「新星」は主翼の強化を行なえばその両翼下にも相応の爆装が可能と考えら れており、改良次第ではかなりの爆装増加が期待できる。 |