八式中戦車 チル

八式中戦車

戦車第1連隊第2小隊所属 奥田三吉少尉搭乗車



  諸元

重量    :45t
全長    :9.2m
車体長   :7.3m
全幅    :2.95m
全高    :3.03m
武装    :105mm戦車砲
       7.7mm機銃×2
最大装甲厚 :130mm(車体前面)
発動機   :空冷V型12気筒ディーゼル 570馬力
最高速度  :40km/時
乗員    :4名


 かねてから攻撃力の不足を指摘されてきた五式中戦車チリの後継として、仮想敵国ソ連のT−34シリーズに対抗する目的で開発された。
 本戦車はそれまでの75mm戦車砲に代わり、五式砲戦車ホリ(五式中戦車の車体に固定式で105mm砲を搭載した砲戦車)に搭載されている105mm戦車砲を搭載したもので、「ホリ車の旋回砲塔版」とも言える戦車である。
 なお、八式中戦車の開発のため戦車の重量制限はなし崩し的に45トンまで緩和された。

 主砲はホリ車の105mmを流用している。その際、砲塔内に収まりきらない半自動装填装置は撤去されている。ところが105mm砲の砲弾重量は約30kgもあるため、そのままでは日本兵の体格では人力装填困難であった。そこで主砲弾を弾頭と装薬に分離した分離薬筒式に変更している。
 車体は仮想敵のT−34を参考にして被弾傾始を追求している。前方機銃は廃止され、車体前面は一枚板の傾斜装甲となり、それまでの日本戦車から一新されたデザインとなっている。
 懸架方式も日本伝統の水平コイルスプリング方式から、かねてより開発されてきたトーションバー方式に変更されている。従来の水平コイルスプリングでは40トン級の八式の重量を支えるのには無理があったからである。余談だが仮想敵のソ連もT−44以降懸架方式をクリスティーからトーションバーに切り替えている。
 エンジンは五式中戦車が既存のディーゼルエンジンの出力不足のためにガソリンエンジンを搭載した教訓から、魚雷艇のエンジンを元に新開発されたV型12気筒570馬力空冷ディーゼルエンジンを搭載している。それでも八式の重量と比較してアンダーパワー気味だった事は否定できない。

 八式中戦車の正式な名称は「チル」だが、兵士達は八式をもじって「ハチベエ」の愛称で呼んでいた。「チル」は「散る」に通じるため縁起が悪いとされたからだと言われている。

 対米戦講和後の1946年に勃発した満州動乱後半の1948年、八式中戦車は制式化された。1948年9月、奉天近郊で初実戦投入された八式中戦車初期生産車4両は抗日軍やソ連義勇軍の装備するT−34を遠距離から一方的に撃破することに成功している。


 後書き
 今回は「もし日本の戦車開発が続いていたら、五式中戦車の後継戦車はどうなっていたのか?」というテーマで五式中戦車の後継戦車を作ってみました。
 それまでの日本戦車開発の流れや、旧軍の技術者が設計に参加した61式戦車などを元に自分なりに想像して作ってみたつもりです。車体がストレッチした61式戦車なのは、ご愛嬌です(笑)
 このテーマではすでに『レッドサン・ブラッククロス』の七式中戦車という有名な先駆者がいるので、それとの違いを出すのに苦労しました。

 歴史設定も満州動乱とかなり火葬戦記並みの設定になっています。不快に思われる方もいるかもしれませんが、八式中戦車はそこまで歴史をいじらない限り登場させられない戦車なのです。