空技廠 17試艦上戦闘爆撃機

17試艦戦爆
 昭和17年4月、太平洋戦争緒戦の連勝続きで勢いづいた日本海軍は、次期艦上機に対して新たなる着想を導入し、空母部隊の合理化を推し進めようとした。
 それは、艦上戦闘機と艦上爆撃機を統合し「艦上戦闘爆撃機」という新たな機種とすることであった。これは、従来から艦爆がいざとなれば敵機と空戦を交えるべく設計された機種であったことから、それを一歩推し進め、艦戦を廃してこの「艦上戦闘爆撃機」を艦戦としても使用できるようにするという発想に基づくものであった。
 この機体は「十七試艦上戦闘爆撃機」と名付けられ、新規機種であるということから、試作は十三試艦爆の試作も一段落した空技廠で行われることとなり、ただちに軍との仕様検討に入った。すぐに決定した基本要目は以下の通りであった。
1.空戦性能が優秀である必要があるが、逆に言えば、それゆえ防御武装は不要となるので機体は単座とする。
2.機体は急降下爆撃可能とし、爆弾は500sする。
3.空戦用に主翼に20mm機銃1丁ずつを装備する。
4.最大速度は630km/h以上とする。

 要求仕様は決定したが、エンジンの選定が難航することとなった。日本には要求仕様を満足させられるような大馬力のエンジンがなかったのである。このため、機体を双発とせざる得なくなった。そして、双発で翼面荷重を低く押さえるために主翼面積を大きくとる必要が出てきた。
 その研究を行っているうちに、ミッドウェイ海戦において日本海軍は致命的な大敗を喫してしまった。このとき、偵察機の性能が問題視され、至急高性能な艦上偵察機を整備する必要が出てきた。
 しかし、艦偵を別機種として試作するのは合理化の精神に反する。そこで、まだ外形も決定していない「十七試艦戦爆」に偵察機としての機能も盛り込むこととなった。ただし、全く同一の機種にすべての機能を盛り込むのではなく、いわばそのサブタイプの中に「艦偵バージョン」を造るということで、この場合は複座化することを予定した。
 艦偵の機能が盛り込まれたことによって、長大な航続力が要求され機体は大型化せざる得なくなった。双発であるため元々大きな機体を予定していたのだが、ついに全長14m、全幅16mというとてつもないサイズになってしまった。このままでは空母のエレベーターに乗せることができないため、空技廠側は要求仕様の緩和を海軍側に求めたが、建造が決まった大和型戦艦改造の空母「信濃」には、この機体を乗せられるだけの大きさのエレベーターを用意するということになった。
 そのあたりの仕様決定のもたつきと、ミッドウェイ海戦で試作機が失われた十三試艦爆の開発遅延のしわ寄せで、昭和18年夏になっても「十七試艦戦爆」は機体の設計すら完了していないという状態に陥っていた。そうなると、敵機の諸性能の向上から、さらに高い要求が突きつけられることになり、最終的な仕様が決定したのは昭和18年12月25日という有様であった。その仕様は以下の通りであった。
1.用途は、急降下爆撃、戦闘機を含む対機戦闘。別バージョンとして偵察機能を有する機体も生産する。 2.最大速度は680km/h以上。 3.爆弾は500s×2以上。 4.武装は20mm×4、30o×2 5.航続距離は4000km以上(偵察過荷時)
 この要求仕様では熱田三二型双発でも達成することは不可能であるため、空技廠側は激しく抵抗した。しかし、ちょうどそのころ、潜水艦によりドイツからDB603の詳細な設計図とエンジン本体4基が入手されることとなった。このエンジンに水噴射を行えば2000馬力を発揮させることができそうであると判断されたため、空技廠側も渋々この要求を飲まざるを得なくなった。
 それでも、最大速度の要求値が高いことから、普通のデザインではダメであろうとの判断から、機体は前翼式とすることが決まった。また、設計を進めていくうちに重心位置との関係から主翼を後退翼とする必要が出てきた。これに対し、上反角効果が強くなりすぎることを懸念して、主翼に下反角を持たせることとなった。

 さて、難航に難航を重ねた試作1号機は昭和20年2月に初飛行した。
 初飛行してすぐにわかったことは、下反角を付けた主翼が災いして、安定性がすこぶる不良であるということであった。日常的にB−29が本土上空に飛来するほど戦局は大幅に不利な状態となっていたため、主翼の設計をやり直しているヒマはない。そこで、安定板を機体に追加してしのぐこととなった。
 このころには、すでに空母部隊はほぼ壊滅しており、この機体も「陸上戦闘爆撃機」に機種改変することとなり、2号機からは艦上装備を撤去することが決定した。このため2号機は、非武装であったこともあり、700km/hという要求値を上回る最大速度を発揮した。
 しかしすべては遅すぎた。改修を行っているうちに8月の終戦を迎え、ついにこの機体は3機の試作機の完成をのみで終わることになったのであった。
偵察機型

乗員    :    1名
全長    :    14.0m
全幅    :    16.0m(8.5m:折畳み時)
全高    :    4,8m
エンジン :    DB603改 2000馬力×2
最大速度 :    700km/h(試作1号機)
武装    :    20mm×4、30mm×2
爆弾    :    500s×2


胃袋3分の1からのコメント:
 さーてさて、設定は最近はやりの胃袋3分の1でございます(笑)
 もう、多くを語りますまい。みなさんで勝手に解釈してください(笑)