要目(計画値)
排水量(基):1,490t
全長:97.20m
全幅:10.00m
吃水:3.03m
ボイラー:ロ号艦本式重油専焼缶×3基
機関出力:35,000hp
タービン:艦本式タービン×2基(2軸)
最大速力:32.0kt
航続距離:14ktで3600浬
乗員定数:180名
武装:主砲/ 50口径127mm砲 連装2基
魚雷/ 61cm魚雷発射管 3連装2基
機銃/ 12.7mm機銃2挺
爆雷投射機/ 1基(両舷用)
爆雷投下軌条/ 2基
自己紹介
「はじめまして。郷研連盟から架空機の館に送られた新たな刺客、すちゃらか一代 FIXです」
『キャラクター召還は郷研の伝統。 FIXさんのサポーター。
子供に見えても高校生。スケッチブックが素敵な少女、上月澪(こうづき みお)なの』
主題A――国産駆逐艦
『では、まず、今回のコンセプトを簡単に教えて欲しいの』
「今回、最優先される要素はただ1つのみ。
イブクーロ王国の『国産』駆逐艦であること」
『どういうこと?』
「外洋国家を目指すなら、いつまでも余所から軍艦買うなんてやってられるかあっ!
自国の軍艦は自国で造れ。それができれば三流海軍は卒業だ。と、まあこういうこと」
『目標は一流海軍国?』
「そういうこと。駆逐艦が建造できれば、大型艦も整備ぐらいはできるだろ
最後は大和に行き着くために、乗員育成の次は、後方支援体制の確立だと思うんだ」
『技術者の育成とか、工場の建設とかの方が、艦の性能より大切ってこと?』
「ああ。とりあえず当面の仮想敵はチリとペルーなんだろ?
3年後の戦力より、10年後の戦力を考えておくことの方が大切だ」
『チリの戦艦は大丈夫なの? 前回の重巡じゃ戦艦には勝てないの』
「大丈夫。チリの戦艦なんて恐れる必要はなにもない。
魚雷1発当てただけで、チリの工廠の能力じゃ修理できなくなるから。
イブクーロがそうならないためにも、工廠能力の拡張が必要なんだ」
『最後は大和に行き着くために?』
「そう。たとえ戦艦を買ったとしても、維持する能力がなければ悲しいだけだろ?」
『たしかにそれは悲しすぎるの』
主題B――量産駆逐艦
「と、いうわけで、国産駆逐艦という方針は決定した。
そうしたら、次は中身を決めなくてはならないわけだ」
『仕様での制限は、基準排水量だけなの』
「そうだな。だから1500トンにあれこれ詰め込みたくなっちゃうよな」
『うんうん』
「でも、それはできないぞ。イブクーロの工業力は低いんだから。
欲張った艦は造れないだろうし、どうにか造っても運用できない」
『はぅ〜』
「仕方がないから、性能は抑えめに造ることにする。
代わりに安く造って、いっぱい造った方が造船所の練習にはなる」
『でも、それをやるとどうしても小さくて非力な艦になっちゃうの』
「ちっちゃくてかわいいって言えば大丈夫だぞ」
『ぽっ。でもかわいいだけじゃ戦争には勝てないの』
「その分、たくさん造って団結の力で勝つんだ。
外洋性能や航続力のことを無視するなら、小さい艦多数の方がいろいろできるから」
『でも。外洋性能や航続力のことはどうするの?』
「外洋性能は最善を尽くす。
航続力は、普通ぐらいだ。不足なら、造船所建てたんだから給油艦でも新造しよう」
『身も蓋もないの〜』
「全部の要素は追求できないんだ。諦めてくれ」
要目総論
『“性能は抑えめ”って、謙遜が過ぎると思うの。
他の国の艦と較べても、まあまあ強力な方だと思うの』
「ああ。でも、これはハッタリの数字なんだ」
『嘘の数字を載せるなんて酷いの。架空機の館の哲学に反するの!』
「別に嘘をついてるわけじゃない。計画値では間違いなくこういうデータが出るんだ。
ただ、王国海軍工廠の技術力ではこんな素敵な数字は出ない。
6番艦ぐらいまでは日本人の工員と日本製のパーツで造るからいいんだ。
王国の手がまともに入るのは7番艦以降から。
それらの艦の性能は、同型艦とは思えないほど低くなるはず」
『同じ設計図でも性能はそんなに違ってくるの?』
「日本の軍用機の能力を考えてくれ。図面だけなら諸外国にも負けてないんだ」
外観(排水量(基):1,490t 全長:97.20m 全幅:10.00m 吃水:3.03m)
『排水量、1490t。制限は守れてるの』
「当たり前だ。どうも他の工廠ではオーバー覚悟の上らしいけど」
『やっぱり違反はよくないと思うの』
「だよなあ。新興海軍がその手の違反に手を染めると常習化しそうだし。
でも、1500トンの艦が外洋で戦闘するのはいろいろな努力が必要だ」
『縦横比の1:9.7はその結果?。
太い艦だと、速度性能が下がっちゃうの』
「でも、旗艦がアレだから取り立てての高速はいらないだろ。
それよりは、雑用をこなすための安定性や旋回性を重視。
あと、艦形はありきたりだけど直線多用の量産性タイプね。
必要とされる工数と技術力を少しでも減らしたいんだ」
『艦上構造物は少なくて、重心も低めに造ってある。
日本海軍艦政本部が設計に携わったとは思えないの』
重量の節約と重心の低下を両方狙った結果なんだ」
『そうまでして外洋性能を確保したいの?』
「南太平洋にぽつんと浮かぶ島国で、沿岸限定の艦なんて役立たないから」
機関(ボイラー:3基 機関出力:35,000hp タービン:2基(2軸))
速力(最大32.0kt)
『機関が3基って…… えっとえっと、暁と同じ? 初春と同じ?』
「いいや、特型の1・2型と同じ機関。4つ積んでるところを3つにしただけ。
もっと強力な機関を買うこともできるんだけど、組み立てられなきゃ無意味だからな」
『特型が4基で50000馬力。4で割って3かけると37500馬力』
「それでだいたいこのぐらい。2000馬力ぐらいは誤差の範囲だ」
『速力32ノットって、軍令部なら設計やり直し』
「前に言ったろ。特型ほどの高速は求めない。30ノット出れば十分なんだ」
『本当に、それで足りるの?』
「ああ、30ノット出せれば」
主砲(50口径127mm砲 連装2基)
魚雷(61cm魚雷発射管 3連装2基)
『特型と同じ砲や魚雷で、こっちはぴったり2/3なの』
「そう。武装はきっちり特型対応にしてある」
『これが造れれば特型が造れる?』
「そういうこと。この艦が造れるなら、特型だって造れるってことだ。
きっとこいつの後継艦は特型より強い艦になるぞ。酸素魚雷云々は別として」
『すごいの』
「そうだ、その魚雷なんだけど……
なあ、みおちゃんみおちゃん、日本海軍の魚雷といえば?」
『61cm、酸素魚雷、次発装填装置付き』
「私も含めてよくある勘違いだったりするんだが、
特型の八式・九〇式魚雷は酸素魚雷じゃないし、急速次発装填装置なんか積んでない」
『知らなかったの』
「酸素魚雷は非売品だから、今はこれが精一杯。
九三式の次発装填付きなんてこの国には贅沢すぎるぞ」
『普通の魚雷でも十分強力?』
「61センチだからな。とりあえず、対艦用の武装は、こんなもんでおしまい、と」
機銃(12.7mm機銃 2挺)
爆雷(投射機:1基(両舷用) 投下軌条:2基)
『おまけの装備一式なの』
「この艦が特型と1番違うのは、このおまけの装備関係なんだ。
日本艦の機銃はたいていイギリス系だから、イブクーロはそれが買いたかった。けど……」
『ん? はっきり言うの』
「前回の競作で、イブクーロは英国がらみの試案が3つもあったのに全部蹴ってるだろ。
だから特型と同じ機銃の製造権がとれなかったんだ。完成品を買うと国産って趣旨に反する。
そこで海軍は考えた。陸軍空軍と相談しよう。彼らも機銃が国産できたら嬉しいはずだ」
『だから、12.7ミリ機銃なの?』
「そう。陸上用や航空機用としてもこのサイズなら手ごろだろ。
7ミリ機銃は地対空・艦対空には力不足だし、20ミリだと陸軍が使うには重すぎる。
そこで、空軍はこう言った。うちの装備はアメリカ式だ。アメリカ製の機銃にしよう」
『第9回競作飛行機部門がカーチスだから?』
「ああ、あれがフランスだったら機銃はホッチキスになってたな。
アメリカだから、ブローニングだ」
『ブローニングM2、WW2の最強機銃♪』
「そ、最強っていうか、最優秀の汎用機銃。大抵の用途には使い回せる素敵な機銃。
陸軍空軍大喜び。ライセンス料は高いだろうけど、三軍で出し合えばそれほどでもない」
『たぶん、1番よろこぶのは空軍』
「海軍にはあまり益のない選択だな。まあ、明日のために、だ」
『次の航空機・戦車部門?』
「ゴホンゴホンッ、なんの話かな。
さーて、次は爆雷なんだが――」
『爆雷なんて資料がないの』
「こういう上物は後付けだから、ちょいと新しいのも採用できる。
爆雷装備は初春と同様。爆雷両舷発射のY砲が1基に、投下軌条が左右2本」
『それってどのぐらいのものなの?』
「普通の駆逐艦だよ」
ここから下は《投票者が知り得ない歴史》です。
設計段階での情報以外のものを投票者が見るべきではないという方は飛ばしてください。
かっちょいい戦史じゃなくって、設計コンセプトの《破綻》についてなんですが。
計画の破綻の話
「ここから先は、採用されてからの話だ。本来なら投票者が知るはずの無いお話。
いろんな諸問題の噴出。できれば書きたくない事柄。書くと票数が減りそうな話」
『ハッタリスペックのお話とか?』
「そう。いいことずくめのこの計画の《実態》だ。
まず、低予算という製造時の基本コンセプト、これが砂上の楼閣のように消え失せる」
『どうして?』
「ライセンス料って高いだろ。造船ドックや工場造るの金かかるよな。
そういうお金を計算すると、この艦は他の国が出してくるどんな案よりもお金がかかる」
『必要経費』
「それは必要経費だから我慢できるんだ。ところが、艦自体も、他の国より割高になる」
『どこにお金がかかるの?』
「人件費。諸雑費。予備費。
何から何まで初めてだから、製造時にはもたつくだろ。その間の、工員に払う給料。
もちろん、なにか失敗すればその分の材料を買うことになる。そうなった時の材料費。
機関みたいな大物を潰しちゃうことだってありえる。部品から何から注文し直しだ。
そして、みおが心配していた、速度の不足って問題にも、やっぱりこの艦は悩まされる」
『30ノットあれば十分って言ってたのに』
「技術力不足による性能低下を一番受けやすいのが機関出力、つまり速度らしい。
これを競作の段階で見せるとおかしい話になるんだけど、実例を挙げてみようか。
日本の工員の大半が引き上げてしまってから造った7番艦の機関出力が、これだ」
――23000馬力――
「おい、ぽけーっと口を開けるな。驚くのはまだ早いぞ。
艦体の方にも歪みが出てるから、この7番艦の公試速力は、こんなもん」
――25.8ノット――
「これに凌波性の問題が加わるとなると、長門やQ.Eと競争したらこいつ負けちゃうな」
『ってことは……』
「欠陥艦だ。港湾警備だけならこれでも十分だろうけど」
『速度以外だと、どんな欠陥がでてくるの?』
「致命的なのは艦体強度の不足だな。元になった特型が脆い艦だろ。
武装控えめで重心落としてるから、トップヘビーはないだろうけど、
艦体の脆さは基本的にどうしようもない。
普通にしてても脆い艦が、鋲打ちかなんかで問題起こしてみろ」
『第四艦隊事件になるの』
「艦首切断どころか、艦のど真ん中で折れてしまってもおかしくないぞ。
で、ここがポイントなんだ。こういうことを、投票者は知っているわけが無い。
計画段階では、この艦は、
《そこそこ優秀で低予算な1500トン級汎用駆逐艦》であると信じられてるわけだ」
『分かりやすく言うと、目をつぶってと』
「そういうことを正直に言うな。いいか、《知っているはずの無い事実》なんだ。
ジェーン年鑑でも、ほとんど日本人が造った1番艦のスペックが元に記事が書かれる。
知らないのは投票者だけじゃない。諸外国も実はへなちょこなんてことは知らないんだ。
そこがハッタリスペックの意味なんだ」
最後に
『今回は本当にいろんな人にお世話になりっぱなしなの』
「そうだなあ。
SUDOさんはプラン話すと簡単にネタくれるし、
同志どざは、ほいほいとお絵描き引き受けてくれるし。
巣田さんにも軽くコメント貰ってるよな。
コメント書くのはかわいい相方と相談すればいいし。
まあ、なんというか、楽な仕事をさせていただきましたよ」
『そのわりには時間は危ないの』
「いやあ、楽しいですねえ。架空艦は」
『話を逸らさないの!』
「それでは、またの機会に。あ、投票よろしくお願いしますね」
『次は時間に余裕をもってやるの〜』
FIX & MIO
2000年10月14日23時37分(提出期限23分前)
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