大英帝国海軍航空隊 艦上攻撃/爆撃機 ブラックバーン「クロウ」
Blackburn Crow


ブラックバーン「クロウ」



諸元

全長   : 14.07m
全幅   : 10.85m
自重   : 3,450kg
全備重量 : 5,450kg
発動機  : ブリストル「ハーキュリーズ11」
       空冷星型複列14気筒、1,595馬力×1
最高速度 : 444.5km/h
航続距離 : 1,529km
武装   : 7.7mm機銃×8(翼内)
       7.7mm機銃×1(後方旋回)
       爆装、最大907kg
        ・胴体下ラックに航空魚雷、もしくは907kg爆弾
        ・主翼下ラックに113kg爆弾2発
        ・急降下爆撃時は胴体下ラックに227kg爆弾
        ・他、小型爆弾多数
乗員   : 2名


 ブラックバーン「クロウ」は、同社の艦爆「スクア」を基に、発展、再設計を施した、艦攻/艦爆兼用機である。
 その基本的な発想は、発動機換装/機体構造の強化などで艦爆の搭載量を拡大し、雷装に対応可能としたものである。

 下記に、その特徴を列挙する。

 ・基本的に艦爆として設計されている。
 ・発動機出力の向上、機体構造の強化により、雷装が可能な
  搭載量を確保している。
 ・原型機の「スクア」に比べ翼面荷重/横方向の機動性は悪化したが、
  馬力荷重の改善により、縦方向の機動性は向上し、
  総合的に見て「スクア」の良好な機動性を継承/発展させている。
 ・固定火器の火力において、複座艦戦に匹敵し、また機動性も決して
  複座艦戦に見劣りしないことから、充分に複座艦戦として使用可能。
 ・主脚は「スクア」の外側引込み式に対し、内側引込み式に改善。
  これにより、主脚間距離を確保し、着艦時の安定性を改善。
 ・主翼は後方折畳式で、基本的に「スクア」の機構を継承。


 以降は、各特徴、および開発経緯について記述する。

 前述のとおり、ブラックバーン「クロウ」は、開発中である同社の艦爆「スクア」を基に、発展、再設計を施した、艦攻/艦爆兼用機である。
 基本的には発動機をマーキュリー/パーシューズから、ハーキュリーズへと換装し、雷装が可能な搭載量に耐えるべく機体構造を強化したものである。
 ブラックバーン社は、M15/35仕様による陸上雷撃/爆撃機「ボウタ」で、ハーキュリーズ使用の要求を空軍に蹴られ、出力不足に泣いた経験がある。このため、「クロウ」ではかなり強硬にハーキュリーズの使用を主張した。
 今回は相手が空軍ではなく海軍航空隊であり、海軍の空軍に対する対抗意識もあってか、意外にすんなりとハーキュリーズの使用が認められた。
 発動機自体の重量増、および機体構造強化による重量増で、機体自重は「スクア」の2,490kgから3,450kgと、38.5%増となったが、出力はパーシューズの905hpからハーキュリーズ2の1,375hpへ、52%増しとなって、総合的には強化されている。またハーキュリーズ2の搭載は原形機のみにとどまり、試作機2号機以降はハーキュリーズ11(1,595hp)を搭載している。(出力76%増)
 翼面積は「スクア」と変わり無いことから、翼面荷重の悪化により横運動性は低下したが、馬力荷重、翼面馬力で数値が強化された点から、縦の運動性、速度は向上している。

 「クロウ」の初飛行は40年2月。同時期に開発中であった、o.8/38仕様の複座艦戦フェアリー「フルマー」が、やはり40年2月に初飛行を遂げているが、「クロウ」試作1号機は、「フルマー」の412km/hを上回る425.9km/hの最大速力を記録している。(発動機をハーキュリーズ11の換装した2号機は444.5km/h)
 また、旋回性能では若干「フルマー」に劣るものの、縦の運動性は確実に「クロウ」の方が良好な結果を示しており、火力でも「フルマー」に対等であることから、複座艦戦としてかなり有望であることが証明されている。

 さて、肝心の艦攻/艦爆としての性能であるが、素直な性能を示す「スクア」を基にしただけのことはあり、艦爆としては何ら問題の無い試験結果を示した。また、艦攻としても充分な出力/機体構造強度が証明された。「スクア」を基に設計した効果から、操縦性も素直な特性を示しており、幸いなことに、改設計に伴なうトラブルは殆ど見られなかった。
 搭載発動機であるハーキュリーズも、すでに初期トラブルは克服された発動機であり、ハーキュリーズは空冷であることも手伝って、「クロウ」は整備性面でも良好な機体であると言える。

 ブラックバーン「クロウ」は性能的には際立った面は一切無いが、要求仕様に対し、欲張った性能追求をしなかったこと、また複雑な機構の使用を一切排除し、ごく当たり前の保守的な設計に徹したことから、ごく早期の試作/試験の完了が期待できる。稼動率/操縦性/生産性などの面においても何ら問題を抱えていないことから、量産体制への移行も順調に進められると考えられる。
 つまり「クロウ」は、かなり早い段階での戦力化が期待できることが、最大の利点と言える。
 また、艦攻/艦爆としてだけでなく、複座艦戦としても使用可能なことを考慮すれば、艦上機としてはかなり有望であると考えられる。