フォッケ・ウルフ Fw193 アードレル
実質的にはFw187 ファルケ(Falke)(※1)の改良型である。
この時期、フォッケ・ウルフ社としては単発のFw190の方がメインであり、
そちらの設計に主要メンバーが集められた結果、こちらは若手がメインで担当することになった。
若手の育成もかねて競作に対応しただけで、あまり期待をかけていなかったフシもある。
Fw187をベースにしたのも、この高性能機を埋もれさせたくないというのもあるが、
設計陣の負担を減らす目的もあったようだ。
基本方針としては、主翼については基本的な平面形状はそのままとし、
余りにも余裕がない胴体は、新規に設計されることとなった。
その高速性能と、双発機としては抜群の運動性能を誇ったFw187であるが、
もともと単座機として設計されたほっそりした胴体は、複座化はともかく、
後部動力銃座の搭載には無理があった為だ。
とはいえ、要求仕様にある「後方旋回・7.92mm×2以上(動力銃座)」という項目については、
Bf110採用の経緯(※2)からもその是非についてかなり論議されたらしい。
Fw設計陣はあまり後方機銃を信用していなっかったらしく、
これを搭載するスペースは設けたものの、取り外した形での設計を進めていたという。
実際、当時の主力戦闘機より高速性が見込まれていたこの機体には、
後方機銃そのものの必要性すら疑問視されていた。
折から起こったバトル・オブ・ブリテンで、後方機銃を搭載したこの手の
長距離援護戦闘機は単発単座機の相手にはなり得ないことが実証され、
軍が搭載を勧めていた遠隔操作式の動力銃座もかなり評価も悪かったのであるが、
これはもうちょっとだけ後の話である。
胴体は新規設計とはいえ、基本的な形状は似ており、わずかに太く、全長が長くなっている。
コクピット後部に余裕を持たせたこともあり、コクピット位置が前方に移動しているが、
機首部分も前方に延長されている為、バランス的にはあまり変わった印象を受けなかった。
水平尾翼も横に引き伸ばしたように幅が広くなっている。
主翼は基本形状はそのままという方針だったが、内翼部分がわずかに長くなっている。
また全体的に後端が後退している。(フラップ部分がでかくなったと言えばわかりやすいか)
エンジン取り付け位置がやや後退し、それによってエンジン後部が主翼後端からはみ出ている。
さらに若干外側に寄っている。これらの変更が、主翼の内翼部分にも影響したようだ。
ラジエーターが垂直に切り落とした形状から、斜めのラインに変更されているが、
これはラジエーター本体が少し後方に位置しているため。
取り敢えず主翼はそのままで、胴体のテストの為の試作機は早くも1939年には完成した。(Fw193 V0)
この機体は、あくまで新規設計の胴体の社内テストの為の機体で、軍へのお披露目はされていない。
武装は機首にMGFF 20mm×4を搭載する予定だったが、このテスト機には2挺のみだったらしい。
後方機銃MG17 7.92mm×1で動力銃座無し。
エンジンはDB601Aで、最大速度608Km/hを記録し、概ね良好との評価だった。
これで調子に乗ったのか、1940年に完成した2号機(Fw193 V1)のお披露目バージョンは、
機首に20mm×2、7.92mm×2に加え、コクピット後部に遠隔操作式の動力銃座(7.92mm×2)を搭載していた。
さらに翼付け根にも20mmクラスを搭載できるようになっていたというから大変な重武装である。
エンジンはDB601Eを使用する予定だったが間に合わず、暫定的にDB601Nを搭載している。
武装は強化されたものの、やはり重量増加による悪影響は免れず、
双発機としては良好な運動性能とはいえ、初号機に比べるとかなり動きも重かったらしい。
出力が増しているにもかかわらず、最大速度が598.5km/hと落ちているのが端的にそれを現わしていた。
バトル・オブ・ブリテンの戦訓もあり、今回のテストでも評価が散々だった遠隔操作式の動力銃座は、
結局搭載を見合わせる方針が決定する。
同年(1940年)、3号機(Fw193 V2)完成。
この機体は動力銃座が廃止され、機首に20mm×4、後方7.92mm×1を装備し、
622km/hを記録して、ようやくその真価を認められ始めた。
1941年、当初の予定通りDB601Eを搭載した4番目の機体(Fw193A-0)が完成。
先行量産型であるこの機体は、機首に20mm×4、後方7.92mm×1を装備し、
641km/hを記録して順調に評価を固めていった。
Fw193A−0
全長 :11.62m
全幅 :15.95m
全高 :3.95m
翼面積 :34.00u
自重 :3,980kg
全備重量:5,780kg
発動機 :DB601E 1350hp ×2
最大速度:641km/h
航続距離:1600q
武装:
前方固定・MGFF 20mm×4(機首)
後方旋回・MG17 7.9mm×1
爆弾 :500kg
乗員 :2名
舞:舞だ。芝村をやっている。
速:速水厚志です。
の:えーっとね、東原ののみです。
舞:それで我らにどうしろというのだ?
速:えーと、解説とか、裏話とか…
の:いいわけなのよ。後から付け足しなの。
舞:成る程な。ヤツの考えそうな事だ。
速:いや、それで納得されるとちょっと…
速:まず、機体名についてだけど、
の:あーどれる?
舞:鷲という意味だな。
の:わしって、とりさんの?
舞:そうだ。
速:英語読みだとアドラーなんだけど、独逸語読みだとちょっとわかりにくいね。
舞:そうか? 私はすぐにわかったが
速:そ、そう? 僕はすぐにはわからなかったな…
の:ねえねえ、どうして「かいりょーがた」なのに名前がちがうの?
速:ああ、それはね、Fw187は軍にあまり関心を持たれなかったみたいだから、
そのままじゃ受けが悪いと思ったんだろうね。
の:同じなのに名前だけ変えたの?
速:胴体は新設計だし、主翼にも手が入ってるから、結果的には別物に近いんだけどね。
舞:それでFalkeからAdlerか。悪いとは言わぬが、短絡的だな。
の:おくがふかいのね。
舞:次は?
速:ネタ決定に至る経緯。
舞:そんなものをここで暴露してどうするのだ?
の:ののみは知りたいな。
舞:…
速:最初はハインケルにするつもりだったらしいよ。
He112(※3)でBf109に負けたから雪辱戦にって。理不尽に不採用になってるの多いしね。
舞:いわくつきの採用が多いのは確かだがな、文句の出ないものを造ればよかろう。
速:いや、それでも良いものが採用されるとは限らないんだよ。
舞:発言力が足らんのだ。それは無視できない程に社会的な影響力を持つという事だ。
速:確かにハインケルはそのへんが弱点かもしれないけど・・・
の:それでどうしてフォッケウルフに変わったの?
速:この時期の機体を調べてたらFw187が出てきたわけだけど、これがえらく気に入ったらしくて
舞:安易に流用ものに流れたというわけか。
の:はいぶつりようとか、きぞんのもののりゅうようとか、好きなのよ。
速:…なんか後ろの方で血ヘドを吐いてるけど…
舞:突っ込まれるのが嫌なら文句を言われないものを書けばよい。
自分の未熟を嘆くより陰で努力せよ。努力は恥だが、哀しむよりは良い。
速:まあ、世の中の多くは、弱者で、ただの人だから…
の:次のお話は何?
速:えーと、採用された場合の発展型についてだって。
舞:捕らぬ狸のなんとやらだな。
速:はは、そうだね。ちなみに量産型(Fw193A-1)のエンジンはDB601Fを予定しているらしいよ。
舞:…成る程な。で?
の:びーがた!
速:Fw193B。エンジンを空冷のBMW801系に換装した型だって。
舞:戦闘爆撃機仕様とあるな。機体下面に装甲を施しているあたりはいかにも対地攻撃用だ。
空冷エンジンの方がダメージにも強いしな。
の:がんじょーなの。
速:翼付け根にも機銃を搭載してたり、翼下に30mmや37mmを吊り下げたり、
胴体下に500kg、翼下に250kgの爆弾搭載、主翼上に燃料タンク装着と、装備も様々だね。
舞:…、他には?
の:うんとね、しーがた!
速:Fw193C。エンジンをjumo213に換装して高空性能を高めた型。
これ、翼が少し長くなってるみたいだね。
の:どこかで聞いたことあるような気がするけど…
舞:Fw190と同じだ。
速:まあ、同じ会社だから…。で、Fw193D。
舞:機首にレーダーを搭載した夜間戦闘機型、というところか。
速:その通り。(苦笑)
の:まいちゃん、すごいの。
舞:パターン通りだろう。
速:そうなんだけどね。コクピット後部、試作機で動力銃座を積んでいたあたりに
斜め上方向きの機銃を搭載してるのとかあるよ。これは30mmだね。
舞:ふむ、その辺で打ち止めか?
速:うん、そうみたいだね。
の:それじゃ、これでおしまいね。
ここまで付き合ってくれてどうもありがとう。
むかしといまを見て、そうでないすべてを決めるのは、めーなのよ。
むかしといまでないどこかは、どーなるかだれにも分からないの。
分からないことはいいことなのよ。だからみんないっしょうけんめいなの。
舞:昔は思い出、今は腰掛、全ては我らが好き勝手をする為に、そういうことだな。
速:(? それって、今回は酷い出来でもそれで全てを判断するなってこと?)
舞:では、私はもう行くぞ。
の:それじゃあ、かいさん。
速:(しかもしきられてる!?)
※1 Fw187 ファルケ
クルト・タンク氏の計画した双発戦闘機。初飛行は1937年。
双発戦闘機を限界まで引き絞ったらこうなるというような機体で、
1938年にDB600(1000HP)装備で630km/hを記録している。
当時の主力戦闘機であるBf109と比較しても圧倒的に高速、運動性も双発機としては抜群で、
なぜ軍が興味を示さずうやむやのうちにお蔵入りなったのか疑問である。
その切りつめた余裕の無さは、後の発展性を考えるとどうかとも思うが、
Me109が改良を重ねて使われ続けたことを考えると、なんとかなったかもしれない。
Bf109を喩えた競走馬にあたるんじゃないかとも思えるが、
Fw190の成功は、実のところこの機体の不採用にあったのかもとか、勘ぐってみたり。
※2 Bf110採用の経緯
長距離援護戦闘機構想から要求された仕様には、3座、後方動力銃座、爆弾槽が盛り込まれており、
それを忠実に盛り込んだFw57やHs124が爆撃機並の機体になってしまったのに対し、
Bf110は要求仕様を無視して飛行性能に重点を置き、動力銃座も爆弾槽も無い複座機だった。
結局これが採用されたのだから文句の一つも言いたくなるだろう。
※3 He112
Bf109との競争試作に敗れたハインケルの単発単座戦闘機。
当初、操縦性のよいこちらの機体の方が、パイロットにも人気で有望視されていたが、
いろいろあってBf109の採用が決定したのである。いや、ちゃんと理由はあるけどね。
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