
| ハインケル社は1938年8月にドイツ空軍から提示された次期駆逐機の要求性能実現のため、最新の研究成果を結集して開発にあたった。 完成したHe120の試作1号機は期待にたがわず、すばらしい性能を発揮した。最高速度は軽く650km/hを越え、他の諸性能もすべて要求を満たすものだった。 だが要求性能実現のために機体にもりこまれた高度な技術は工数を膨大に増加させることとなった。このため設計変更を繰り返し、工数削減に成功したものの性能は試作1号機よりも落ちてしまった。 本機は要求仕様にはない雷撃も可能にした。そのため胴体は爆弾または魚雷を収められるギリギリの断面形とし、胴体表面の整形は、断面を2次曲線を基本とし、前後方向には高次代数式の係数を滑らかに通す方法で曲面を整形した。胴体構造はセミモノコック構造としたが、下部が長大な爆弾倉のため大きく切り欠かれ、上部も搭乗員スペースの都合で切り欠きがあり、その上、急降下時にはエアブレーキによる大きな尾翼荷重を受けることなどから、胴体四隅の上下4本の縦通材には特にESD押し出し型材を使用し、現在の強力縦通材構造ににた構造にしたのが特徴的といえた。 主翼の取り付け位置は、胴体との干渉抵抗を最小限にするため中翼配置とした。これによりフィレットはごく小さいものを取り付けただけですんだ。 He120はハイレベルの諸性能が要求されていた。加えて、運動性能や操縦性に対してもかなり高度なものが要求された。これらの矛盾する条件をいろいろ組み合わせて検討した結果、ようやく次のような主翼と尾翼が決定した。主翼の大きさは、全幅20m、翼根弦長4.15m、翼端弦長1.38m、アスペクト比7.28という値をとった。翼面積は55u、翼面荷重は正規全備で180kg/u、過荷重においては218kg/uという、当時では非常に大きい値を選んだ。このアスペクト比と翼面荷重との組み合わせは、最高速度の要求を十分に満足させ、その上航続距離に至っては要求の1500kmをはるかに上回る4000kmとなった。運動性や強度などに関しても十分満足できるものとなった。 翼型は抵抗が小さくてすむ層流翼型も当然検討されたが、設計図通りの正確な翼型を作る工作技術面や、前線でのラフな取り扱いなどを考えて、高性能ではあるが、デリケートな層流翼の採用は見送った。しかし、翼形はこの層流翼も含めて既存機の主翼を比較研究した上で、数種の翼形を設計し、風洞実験により最終的な型を決定した。翼厚は、翼根で17%、翼端で8%とし、翼端失速を防ぐため2°のねじり下げをつけた。ねじり下げは、抵抗を出来るだけ減らすために翼端に近いところでねじりを大きくつけた。さらに前縁半径を翼幅方向に変化させて失速性能をよくすることにした。 尾翼に関しては、本機がかなりの高翼面荷重であることと、急降下爆撃もすることから尾翼容積、とくに重心から尾翼までの胴体を長くし、水平、垂直尾翼のモーメントアームを大きくして各方向の安定性をやや強めにした。 諸元 全幅 20.00m 全長 15.00m 全高 4.30m 翼面積 55u 自重 7,265kg 全備重量(正規) 10,500kg (過荷) 13,500kg 乗員2名 最高速度 645km/h 巡航速度 370km/h(高度4,000m) 航続距離 1,890km(正規) 3,950km(過荷) 武装 機首 7.92mm 2門 20mm 2門 後方 7.92mm 2門 800kg爆弾 1発又は 500kg爆弾 1発又は 800kg魚雷 1発 |
