ヘンシェル Hs131


1938年、Bf110の後継となる、いわゆる「駆逐機」の試作要求仕様が各社に提示された。
これを受け、ヘンシェル社では「やっほーい!戦闘機だ〜!燃えるぞ〜!」という意気込みで、まずは設計技師たちによる設計仕様決定会議が開催されたのであった。



ザクレロ設計技師(以下・ザ技師): 「えっとぉ、戦闘機ってことだけど、まず、双発戦闘機にしようって思うんだけど、いいよね?」
ブラウブロ設計技師(以下・ブ技師):「つーか、それ要求仕様」
ザ技師:「んぢゃあ、爆弾を500kg積めるってのはいいかな?」
ブ技師:「つーか、それも要求仕様」
ザ技師:「やっぱこれからの戦闘機は7.92mmx2と20mmx2ぐらいいるよね?」
ブ技師:「だから、それも要求仕様」
ザ技師:「んで、後ろ向きの機銃は動力銃座がトレンドだと思うんだ」
ブ技師:「・・・おまえ、要求仕様書読んでないだろ?」
ザ技師:「でさあ、急降下爆撃なんかできたら最高だよね」
ブ技師:「だから、要求仕様書読んでないよな!?」
ザ技師:「ばか言っちゃいけないよ。・・・でも、あり得ないとは言えないよな」
ブ技師:「・・・もういい。だいたい、なんでおまえが仕切ってんだよ。代われ!」
ビグザム設計技師(以下・ビ技師):「やらせはせん!やらせはせんっ!」
ブ技師:「おわっ!びっくりしたぁ!いたのかデカブツ」
ビ技師:「この駆逐機が完成した暁には、連合軍の戦闘機にはいいようにはさせねぇずら」
ブ技師:「なんだよそりゃ。『連合軍』って何だよ!今は1938年だぞ!それに、なんで語尾が『ずら』なんだよ!」
ビ技師:「なにぃ!きさま、『細腕繁盛記』を見てないのか!?」
ブ技師:「どこの国の話だよそりゃ!」
ビ技師:「昔、テレビでやってただろ!?」
ブ技師:「テレビってなんだよ!わかんねぇよ!」
ザ技師:「・・・なんかツッコミかたが『爆笑問題』の背の低い方みたいだ」
ブ技師:「だから、『爆笑問題』って何だよ!あーも、どいつもこいつもぉ!」
ザ技師:「いや、そんなにテレなくても」
ブ技師:「怒ってんだよ!もういい!おれが仕切る!」
幕間・・・
ブ技師:「ふむ、まずはエンジンの配置だな。こいつには、おれにアイディアがあるんだ」
ザ技師:「・・・まあ、聞いてやろう」
ブ技師:「ふん、偉そうに。・・・いいか、この機体はな、左右の主翼に一基ずつエンジンをつけるんだ」
ザ技師:「・・・普通じゃん」
ブ技師:「話は最後まで聞け。そのエンジンを主翼前縁から突き出させてその先っぽにプロペラをつける」
ザ技師:「・・・それも普通じゃん」
ブ技師:「だから、話は最後まで聞けって。そのプロペラ面を中央胴体の先端より前に出すんだ」
ザ技師:「・・・で?」
ブ技師:「そうすることによって左右のエンジンの間隔を詰められるンだな、これが」
ザ技師:「・・・で?」
ブ技師:「そうすりゃあ、重量物がより中央に寄って、横転性能が単発機並になるって寸法さ!」
ザ技師:「・・・・・・ホントかなぁ」
ブ技師:「次に、動力銃座の配置だ」
ザ技師:「エンジンの話はあれで終わりぃ!?」
ブ技師:「コイツは尾端に持ってくる」
ザ技師:「はぁ?・・・むちゃくちゃ射界が狭そうな・・・」
ブ技師:「大丈夫。それをカバーするために機銃を13mmにするのだ」
ザ技師:「・・・13mmを2丁も入れたら、胴体がむちゃくちゃ太くならない?」
ブ技師:「いや、1丁だ」
ザ技師:「要求仕様満たしてないじゃん!」
ブ技師:「要求仕様は7.92mm2丁だ!13mm1丁の方が破壊力が大きい!」
ザ技師:「・・・破壊力だけの問題かなぁ・・・。その前に、13mmの量産機銃ってあったっけ?」
ブ技師:「そんなものは、この機体が完成するまでにできてるに決まってる!」
ザ技師:「・・・・・・ホントかなぁ」
ブ技師:「次に尾翼だが、これは当然、双垂直尾翼だ」
ザ技師:「・・・なんで『当然』なんだよ」
ブ技師:「そうしないと後方銃手の視界が遮られるからに決まってるだろ!?」
ザ技師:「・・・そんな理由でいいのかなぁ・・・」
ブ技師:「いい。おれが許す!」
ザ技師:「・・・許すとか許さないとかの問題なのかなぁ。だいたい、『おれが』ってなんだろ?」
ブ技師:「んで、機銃の軸線と銃手の視線のずれを小さくするために、後部席はなるべく後ろだ」
ザ技師:「・・・そんな理由でいいのかなぁ・・・。だいたい、機銃撃つだけが仕事なのかなぁ・・・」
ブ技師:「主翼は、内翼の前縁に後退角をつけよう」
ザ技師:「・・・なんでだ???」
ブ技師:「カッコイイからだっ!」
ザ技師:「・・・ああ、それは大事だね」
ブ技師:「ついでに、コイツはスピード命だから、機体は極力小型にしよう!」
ザ技師:「・・・機内スペース足りんのかなぁ・・・」
ブ技師:「以上終わり!さあ、作業にかかるぞ!」
ザ技師:「ちょっと待ったぁ!前方機銃や燃料タンク、艤装品の配置とかはどうすんだい!コクピットのレイアウトも決めてないよ〜!」
ブ技師:「そんなもんは入るとこに押しこんどきゃいい!」
ザ技師:「・・・あのねぇ・・・。『急降下爆撃』ってのもあんだけど」
ブ技師:「そんなもんは、うちのHs123のかJu87のでも付けときゃいい!」
ザ技師:「・・・うまくいくのかなぁ・・・」
ビ技師:「やらせはせん!やらせはせんっ!」
ブ技師:「おわあ!びっくりしたぁ!まだいたのかデカブツ!・・・何だ?不服か?」
ビ技師:「このビクザムが完成した暁には・・・」
ブ技師:「おまえが『完成』って何だよ!」
ビ技師:「連邦のモビルスーツなどイチコロに粉砕してくれるわっ!」
ブ技師:「『連邦』ってどこだよ!『モビルスーツ』って何だよ!」
ビ技師:「ふははははははははは!」
ブ技師:「・・・はいはい」



てなわけで、会議はなごやかな雰囲気のまま終了。未決定の部分は行き当たりばったりに設計作業を進めながら、なんとか機体は完成したのであった。



初飛行の日。とある飛行場・・・。
ブ技師:「ううむ、さすがにみっちりと時間をかけて設計しただけに見事な完成度だ」
ザ技師:「・・・・・・ホントかなぁ」
ブ技師:「さあ、飛ぶぞ!」
ザ技師:「おお!」
みなの見守る中、機体は見事に空に舞い上がった。
グイーーーーン。・・・・・ぷすぷすぷす・・・・。
ブ技師:「ああっ!?なんだなんだなんだ!?」
ザ技師:「・・・・・」
ぶすっ!
ブ技師:「どしたどしたどした!?」
ザ技師:「なんか、エンジン止まったみたいだね」
ブ技師:「おまえ、燃料点検したよな!?まさか入れ忘れたってことは・・・」
ザ技師:「そんなはずないだろ。・・・でも、その可能性は否定できないよな」
ビ技師:「落ちろ落ちろ落ちろぉ!」
ザ技師:「ああもう、なんか、どうでもいいや・・・」



全幅:15.2m
全長:11.2m
全備重量:7120kg
エンジン:Jumo211F-1 1340馬力×2
最大速度:602km/h
航続距離:1380km
武装:MG131×1,MGFF/M×2
爆弾:250kg×2(内翼下面)
乗員:2名
(いずれも計画値)

恐怖!機動ビグザム?