[_Ar197/Zwilling Schwanz]
_ドイツ空軍 - 大型戦闘機(アラド社案)

全長 11.6m 発動機 DB601Aa(1100hp)2基
全幅 16.0m 最高速力 510km/h
全高 4.0m 航続距離 1200km
乗員 2名 (C)Amagi
1938年、双発戦闘機Bf110の後継機が求められ、それに応じてアラド社が製作したのが本機である。操縦席からの視界の広さ、そしてエンジン架から後方に伸びた双ブーム。独特のその姿は設計者のK・S・ギィ技師によって決定された。しかし、姿も独特だが、武装はそれに輪をかけて特徴的である。

20mm機銃はMG151/20(日本で言う「マウザー砲」)が間に合わず、試作型ではやむなくエリコン20mmをプロペラ同軸と両翼に計4丁搭載している。当初はさらに大口径の物を搭載すべく計画されたが、それに適応する機銃がなく20mmで我慢したものである。それでもこの時期には陸上兵力として台頭してきた戦車でも装甲厚は知れており、技師の企図した地上制圧には十分な性能ではあった。また、中央胴体後方には遠隔式の7.92mm連装旋回機銃を搭載している。

ここまでは要求書にある通りで、別段違和感も無い。だが、爆弾の搭載となるとその変態ぶりが如実にあらわれる。そもそも要求書には「戦闘機」とあるにも関わらず、カタログには「800kgまでの魚雷1本、もしくは800kgまでの爆弾1発による急降下爆撃」と最初に記載がある。さらに、両翼のパイロンにも増加燃料タンクに替えて爆弾を搭載可能で「合計800kgまでの爆弾1〜3発による水平爆撃」とある。これは、設計者のギィ技師が軍用機に疎く、同時に非常に早とちりな人間であったため、要求書の航空機を指差して
「このBf110とは何かね?」
と問いかけ
「で、駆逐機とは何かね?」
と来て
「なるほど、戦車を破壊するのか。すなわち対地攻撃機だな」
と、要求書の一番最初の欄をすっかり忘れて勝手に解釈してしまい
「対地、ついでに対艦に使える高速攻撃機」
などと言う珍奇な機体と勝手に要求を取り違えてしまったのである。そもそも技師に説明された駆逐機の定義からして誤っているなんて、軍用機に疎い技師は気付こう筈も無い。よくこんな連中が軍用機を開発しているものだ。なお、雷装も可能としたのは技師の機転である。おかげで装備のバリエーションは増えたものの、一方で設計完了していた中央胴体を土壇場になって改設計せねばならなくなった。

ところがこれだけ奇妙な過程を経たにも関わらず、試作機を飛ばしてみると飛行特性そのものは悪くなかった。それどころか地上攻撃用に作られただけあって急降下性能においては出色のものがあったと言う。だが、いや、やはり。戦闘機としては今ひとつ───設計者本人には戦闘機のつもりは毛頭無いので全く気にも止めていなかったのだが─── で、模擬魚雷を抱きながら飛ぶ「戦闘機」を目の当たりにして良識ある部下達はこんな機体で本当に良いのかと戦々恐々だったと言う。

むろん、技師は自分が間違っているなどとは微塵も思っておらず、むしろ社内でのテスト結果に自信を抱いて審査に臨んだのであった。

_ [index / comment] _