三菱 十三試大型陸上攻撃機

十三試大攻





美:にゃんがにゃんがにゃー♪
  というわけで、今回は陣内美緒がお送りするのだ!
耕:…いきなりそれか?
薫:陣内、耕介さんの邪魔をするなと言っておいたろう。
耕:はりきるのはかまわないんだが、他と比べるとちょっとマイナー気味だから、
  みんなわからないんじゃないかな。
美:ガーン!
薫:みんなというのは誰のことですか?
耕:いや、こっちのこと。ところで十六夜さんは、さっきから何を?
十:はい、お茶など入れましたので、よろしければいかがでしょう。
薫:十六夜、何を呑気な…
耕:ああ、いいですね。いただきます。
薫:耕介さん…
耕:いや、だってせっかくだから…
十:薫も、ほら。美緒様もいかがですか?
美:…
薫:まだ固まっとるよ…
耕:お菓子もあるぞ。
美:食べる!
薫:…


耕:というわけで、大変安直だが十二試陸攻(後の一式陸攻)の4発化でいこうと思う。
薫:い、いきなりですね。
耕:あくまでも出発点としてね。美緒、図面。
美:らじゃった。
耕:こんなこともあろうかと、流用できるよう図面も手に入れてきた。
十:さすがは耕介様です。
薫:いつのまに? というか、それはまずいのでは?
耕:まあ、同じ会社だし。いいんじゃない。
薫:…

耕:さて、基本方針を決めるに当たり、まず要求仕様を見てみよう。
美:最大速度460km/h以上、かなり速いのだ。
薫:爆弾3000kg、または航空魚雷2本以上、まあこれはこんなものでしょう。
耕:航続距離が攻撃時5500km以上、偵察時8000km以上…って、ムチャだろ。
十:無茶なのですか?
耕:まあ、無茶な要求は日本の伝統ですが、この航続距離はちょっと…
美:おーぼー反対なのだ!
薫:しょんなかよ。こういうのは、いつものことだから。

耕:具体的に、わかり易いところから考えていこう。
  まず高速性、雷撃の為の良好な運動性を確保する為に機体は極力小型化する。
薫:はい。
耕:基本的に機動兵器はハイパワー&コンパクトが理想だから。
美:うむ。ちっこくて強いのだな。
十:運動性、というのは…
耕:ええ、まあ、雷撃機ですから、低空での運動性はある程度…
美:宙返りとかできる?
耕:できるかっ!
美:なーんだ。
十:そうですか。
耕:いや、そもそも4発機に雷撃させるのが無茶なんですよ。急降下よりはマシだけど。
薫:…そうですね。
耕:いっそのこと、魚雷は積めるけど雷撃運動はできないとか…
薫:それでは、意味無かですよ。
耕:雷撃運動に入ったらそのまま失速して墜ちたりしてな。
美:にゃはは。
薫:笑い事じゃなか!
耕:ちなみに高空性能は捨てる。
美:何故に?
耕:陸攻だから。
薫:は?
耕:いや、雷撃機だし、水平爆撃だって高度3000mぐらいだろ。
  運用高度は6000mあたりだろうから、10000mとか高々度の運用は考えない。
十:必要無いという判断ですね。
耕:そういうことです。

薫:それで、問題の航続距離ですが、
耕:結局、燃料の搭載量をひたすら増やすしかないんだけど…、
薫:限度がありますからね。機体の大きさにもかかわりますし。
十:駄目なのですか?
耕:十二試陸攻の方でも苦労していて、同じ方法を取ればたぶん不可能ではないんですが…、
十:何か問題があるのですか?
耕:ええ、主翼内部を水密構造にしてそのまま燃料タンクにするんですけど、
薫:インテグラルタンクですね。
耕:そう、この方法、防弾が皆無だからヘタをすると一撃で火を噴く。
  こっちは4発機だし、防弾も充分考慮するという方針もあるんだけど…
十:そうなのですか。
耕:一撃で火を噴いて落ちる4発機…、ある意味壮観だな。
薫:それは、どうかと思いますが…
美:ちょっと見てみたいのだ。
薫:陣内!
耕:ネタ的にちょっといいかも…
薫:…耕介さん。
耕:いや、それは冗談だけど、結局何を優先するかって話だから、
  航続距離優先ならこれはこれでしょうがないのかな…
薫:それは、賛同できませんが。
十:そうですねえ…
薫:防弾すればよいのでは?
耕:…そだね。じゃあタンクは防弾して、いや、翼内構造をなるべく単純化して、
  ピッタリとはまり込む形でなるべく容量増やすとか、考えてたんだけどね、うん。

薫:それで、爆弾3000kgで5500km以上ということですが…
耕:いや、爆弾は最大で3000kg積めさえすれば、あとは爆弾1000kgで、
  かわりに燃料を多く積んで5500kmでいいと思うんだ。
薫:ああ、なるほど。
十:そういうものですか。
耕:まあ、それでもキツイんだけど。期待値で、正規4000km、攻撃過荷重5500km、
  ただ偵察時8000kmが可能なら、攻撃過荷重で6500kmくらいいくかな。
十:期待値、ですか?
耕:実際にはたぶん1割減ぐらいかと…、それでも充分な性能だと思いますけどね。
薫:というか、それでも充分無茶な性能ですね。しかし要求に届かなくて良いのですか?
耕:良くはないけど、しょうがないし。たぶんそれでも、最大搭載時は
  胴体内にタンク増設して、機内通路とか凄く狭くなってる状態だと思うぞ。
薫:はあ…
耕:最悪、落下式タンクも併用すれば届くだろうけど、そこまで必要かな。
薫:そうですね…

耕:で、主翼は航続距離のこと考えたら、アスペクト比を高くしたいんだが…
薫:速度のことを考えると、極端な値はとれないですよね。
耕:理想は10くらい、速度とか考えたら8くらい…
薫:機体の小型化はいいのですが、そうするとやはり、翼面積の不足が
  かなり問題になるかと思いますが。
美:足りないなら増やせばいいのだ。
薫:今までの話聞いとらんね。そう簡単な話じゃなかよ。
耕:…おまえ、飽きてるだろう。簡単にできれば…って、そう、だな…
薫:耕介さん?
十:何か良い案がありましたか?
耕:フラップをこう、後ろにせり出すようにして、翼面積を増加させるという話が…
薫:蝶型フラップですか? (※ 二式単戦に使われたもの)
耕:ああいうふうに開くんじゃなくて、そのまま後ろにスライドさせる形で…
薫:所謂、ファウラーフラップということに…
耕:で、だな、操縦席からの操作で、適当に何段階か角度を調節できるようにして、
  離着陸モードとか、雷撃モードとかで運動性を良くする為にも使えるようにしたら、
  結構いいんじゃないかな?
薫:それは…、俗に言う空戦フラップというやつになるのでは?
耕:気のせいだって。さすがに空戦はしないだろうし。
薫:…十三試大艇(後の二式大艇)ではフラップを2重にするという話もありますが。
耕:うーん、これ以上複雑化するのもなー。
  あと前縁スラットというのもあるけど、なんとなくちょっと不安だし…
薫:それは単に好みの問題なのでは…
耕:今ふと思ったんだが、いっそのこと補助翼も離着陸モードではフラップとして
  使用するというのはどうだろう?
薫:どう、と言われましても…
十:よろしいのではないですか。
耕:じゃ、決定。
薫:十六夜、わかるのか?
十:いえ、耕介様の良いと思うようにするのがよいのではないかと。
薫:…

耕:胴体は十二試陸攻に似てるけど、もう少し横幅がある。
  しかし、十二試って双発機としては結構大きいよな。
  小さ目の4発機を全長20mから25mとすると、全長19.97mってほとんど変わらない。
十:では、胴体は少し延長させてそのまま使うということはできないのですか?
耕:いや、それも考えたんですが、あれって爆弾1000kgしか積めないから、
  あの構造のままじゃ無理なんです。
薫:それで3000kg積めるように設計し直したとですか。
耕:積もうと思えば4000kg積める。
薫:そうなんですか?
耕:スペース的にはね。爆弾は積まないけど、燃料余計に積めるように。
薫:ああ、そういうことですか。

十:他には何かありますか?
耕:主翼の構造は、従来のものより外板を厚くして、桁の数を少なくしてる。
薫:それは?
耕:これで、強度も上がり、重量も減り、生産性も上がった。
薫:なるほど。
耕:っていうのは結果論で、
薫:は?
耕:実はこれ、燃料タンクを大きくとる為に、内部構造を極力単純化するところから
  始まった考え方だったんだけどね。
薫:はあ、航続距離延長の為の処置が、結果的に強度、軽量化、生産性の向上に繋がったと。
耕:びっくりだね。
十:なによりです。
耕:武装は要求通り。上、下方は連装のつもりだったんだけど、まあとりあえずはいいか。
薫:そういえばこれ、前輪式ではなく、尾輪式なんですか?
耕:十二試陸攻がベースだからね。十三試だし、今回ここは冒険は避けました。
  十五試あたりなら前輪式にしてみようかなとも思うだろうけど。
  参考というか対抗というか、微妙なところだけどB−17も尾輪式だし、いいかと思って。


耕:だいたいこんなところかな。美緒、付いて来てるか?
美:くー
耕:やけにおとなしいと思ったら…
十:美緒様には少々退屈な内容だったようですね。
薫:静かになってよかよ。
耕:ま、いいか。で、今回は雷撃可能な4発機という方向に特化してみた。
薫:随分と偏った機体になりましたが、本当に雷撃できるのですか?
耕:雷装時の方が軽いはずだし、フラップ使えば、たぶん…。
薫:たぶん、ですか…
耕:航続距離の要求を満たす方向に特化しようかとも思ったんだけどね。
薫:一撃で火を噴く4発機ですか。
耕:あるいはもっと巨大化するか。しかしこれ、出撃の度に莫大な燃料消費しそうだよね。
薫:そうですね。
十:使わないで済めば、それにこしたことはないのでしょうね。
薫:…
耕:それ言っちゃったら…



三菱 十三試大型陸上攻撃機  機体解説 昭和13年、海軍は開発中の十二試陸攻(後の一式陸攻)よりもさらに攻撃力や航続力に勝る、 4発大型陸上攻撃機の試作を内示した。 参考にする為に購入したダグラスDC−4が失敗作であることが判明したため、 後に改めて新設計の機体の試作を発令されている。 三菱では開発中の十二試陸攻の拡大型として、より高速で、攻撃力や航続力が大きく、 強固な耐弾性を持つ機体を開発した。結果、尾翼や胴体形状などよく似た機体となった。 高速性を重視し、機体は4発機としては小型にまとめられ、小翼面積、大翼面荷重による 離着陸性能、運動性の低下は、ファウラーフラップ(実質、手動式の空戦フラップ)及び、 特に離着陸時においては補助翼もフラップとして利用することで対処した。 主翼の構造は、従来の薄い外板と多数の縦通材から、厚い外板と少ない縦通材による構造とされ、 機体強度、軽量化、生産性向上に効果的だった。 慣れない大型機のこととて、いろいろ問題はあったものの、昭和16年に試作1号機が完成し、 5月に初飛行に成功した。発動機は火星11型(1,530馬力)で、最大速度は要求値をクリアしたが、 航続距離はやはり要求には届かなかった。 また、運動性は4発機としては抜群で、フラップ使用時では「4発機同士の空中戦も可能」 とも言われたという。  三菱 十三試大攻 全長  :23.4m 全幅  :32.52m 翼面積 :127u 自重  :16,500kg 総重量 :25,600kg  過荷重:28,000kg 発動機 :三菱 火星11型 1,530馬力×4 最大速度:470km/h 航続距離:  正規  :3800km  攻撃過荷:6000km  偵察過荷:7200km 爆弾  :3000kg  魚雷×2 or 800kg×3 or 500kg×6 or 250kg×8、60kg×36 武装:  前方・7.7mm×1  上方・20mm×1  側方・7.7mm×各1  下方・7.7mm×1  尾部・20mm×1 乗員  :7名 初飛行:1941年5月