■空技廠/中島 13試 陸上攻撃機『恚山』〜けいざん〜■
米軍コード『シンシア』(シンシア・ランドラヴィジャー)

13試_陸上攻撃機『恚山』

●概要●
本機は横浜航空技術工廠が中島飛行機と共同で設計・製作した大型陸上攻撃機である。
非常に特異な機体で、他国にも本機のような設計の機体は存在しない。

●機体●
本機は日本国内の内情から、多数の大型陸上爆撃機を揃える事は不可能である、との判断から量産性よりも優れた性能を重視し、多くの先進的試みが内包されている。
本機は高速性を追求して設計され、空力的洗練に最大の注意が払われた。
胴体部は真円形の断面を持ち、主翼は肩翼配置とされた。
主翼には空前絶後の直径7.11mにも及ぶ、巨大な2重反転プロペラが装備された。
主翼はアズベクト比を高く設定し、巡航性能の向上が目指され、低速時への対応としてファウラー式フラップが搭載された。
翼型は層流翼に近く、翼内にセミ・インテグラル式の燃料タンクを装備していた。
垂直尾翼は大型の1枚翼で、爆撃時の直進安定性を確保し、水平尾翼も十分な面積が設定されている。
前輪式降着装置を搭載し、前輪はダブル式タイヤ、主脚は捻りながら格納する大型単タイヤ式とされた。

●発動機●
本機は搭載発動機に中島内で当時開発中の液冷『ハ15』×6の搭載を予定した。
『ハ15』は公称出力1,960馬力/2,500回転/1,780mの液冷発動機で、離床馬力は2,000馬力/2,600回転である。
現在開発中(昭和14年内にテスト終了を予定)の発動機を選定した事で、試作1号機は暫定的に同じ水冷の『熱田20型』を同数搭載する事とした。
発動機は胴体内に2列3段で、爆弾倉直上に装備された。
■ハ15発動機_諸元■
陸軍名称/ハ15(中島社内名称:NWE)
排気量: 51.2リットル
シリンダー直径:146mm
ストローク:170mm
公称出力: 1,960馬力/2,500回転/1,780m
離床出力: 2,000馬力/2,600回転
寸法:幅 1,100mm/高さ 1,350mm
乾装重量: 950kg

●駆動方法●
本機の発動機搭載方法、及びプロペラ駆動方式は他に例を見ない独創的なものであった。
これはトルク・コンバーターにヒントを得た油圧駆動方式で、プロペラ軸に設けられた軸スクリューを油圧で回転させる事でプロペラを駆動させるものであった。
この機構は、機体レイアウトをする上で非常に好都合で、推進プロペラは主翼前面に何ら空気抵抗を受けることなく設置された。
発動機冷却器(ラジエーター)は環状とされ、機体側面に爆弾倉を外すように上方へずらして設置された。
この冷却器空気取り入れ口上方には、発動機用吸気口が設けられた。
本機の巡航状態では合計6基の発動機を2基、4基と停止させ、航続距離を延長させる事が計画された。
これは胴体内に発動機を装備し、整備員の手によって容易に再始動が行える本機ならではの方法であった。
更に特筆すべき事は、飛行中にも発動機整備が実行可能な点であった。
整備員は自由に発動機周辺で何ら制限を受けることなく作業が行え、6基にも及ぶ液冷発動機を装備する本機の稼働率を、少しでも向上させる事が可能となった。
■駆動方法概要図■
機内レイアウト

●武装●
武装は要求以上の強武装が施され、前方:7.7mm×1、上方:20mm×2、側方:7.7mm×各1、下方:7.7mm×2、尾部:20mm×1とし、上方、及び下方は動力銃座とされた。
要求以上の武装を搭載した事で、用兵側の今後の武装増強には一切答えない方針とされた。

●防弾●
本機は発動機が胴体中央部に集中装備されている為、防弾は容易であった。
環状に配置されたラジエーター、発動機、及び搭乗席周辺には薄弱ながら装甲板が貼られ、燃料タンクは部分的に防漏式を採用した。

●公試●
機体は大型機としては異例の速度で進行し、試作1号機は昭和15年10月に完成した。
その影には、米国ダクラス社での大型機製作現場研修が大きく影響していた。
『DC-4E』で学んだ事は、全くの無駄にはならなかったのだ。
搭載予定発動機『ハ15』が現在製作中である為、完成した試作1号機は『熱田20型』が装備された。
1号機の公試では当初の懸念通り、出力不足が表面化し、最高速度は要求された460km/hを下回る440km/hしか発揮できなかった。
上昇力も惨憺たるものであったが、飛行性能、安定性、操縦性は非常に優れているとの報告であった。
本機の運動性能は非常に優れたもので、大型機ながら暖降下爆撃が可能であり、もしダイブ・ブレーキを装備したならば、急降下爆撃も可能なのではないか、との搭乗員談話が提出された。
公試の問題は駆動系・不慣れな2重反転プロペラにも発生し、多くの修正が行われた。
特に駆動油のシーリング(各種パッキン)部のオイル漏れが相次ぎ、日本の工作技術の低さが大きく表面化した。
中島は優れた熟練工を優先的に本機製作に動員し、何とか実用に耐えうるギリギリのレベルまで向上させることで対応した。
昭和15年末、100時間耐久試験を見事突破した『ハ15』は、直ぐさま試作2号機に搭載された。
この『ハ15』搭載型は、『熱田20』搭載型を遥かに凌ぐ能力を発揮し、最大速度は要求値を80km/hも越える530km/hを記録した。
しかし、この試作2号機は4回目の公試飛行中に、発動機、及び油圧系のトラブルを起こし緊急着陸を行うも、残念ながら機体は中破してしまった。
熟練搭乗員の適切な操作によって、乗員に被害がなかったことは不幸中の幸いであった。

非常に高性能な本機ではあったが、新型発動機と斬新な駆動方法に問題があったことは確かで、実用機としては今後の円熟・改良は必須であると言えるだろう。

『ハ15』は現在、性能向上を目指し改良が続けられており、離床出力2,500馬力を目標としている。
この出力向上型『ハ15』を搭載した場合、本機の最大速度は実に680km/hを超過するものと計算されている。

●諸元(括弧内は『ハ15搭載予定値』)●
全幅:38.00m
全長:28.13m
全備重量:27,800kg
乗員:8名
出力:1,200馬力×6基(1,960馬力×6基)
速力:440km/h(530km/h)
航続距離:攻撃時/5,500km_偵察時/8000km
固定武装:前方/7.7mm機銃×1、上方/20mm機銃×2、側方/7.7mm機銃×各1、下方/7.7mm機銃×2、尾部/20mm機銃×1
搭載武装:魚雷2本または爆弾3,000kg


■設計技師olympiaから一言■
皆様、お久しぶりです。olympiaです。
やっと『競争試作』に参加できました。
またもや、いい加減な設定の飛行機ですがお許し下さい。

中島の『ハ15(NWE)』は、耐久試験中のトラブルによって開発中止になった実在の発動機で、その日本離れした性能が非常に惜しまれます。
そこで耐久試験にはギリギリ合格したが、円熟は足りない・・・と言う私の大好きな状況で復活してもらいました。

機体名『恚山』は、『月刊アフタヌーン』好評連載中の私の好きな作品『女禍〜JOKER〜(著:大西巷一)』より採らせていただきました(ちなみに『恚』とは、主人公の名前で“玉のように美しい心”と言う意味だそうです)。
・・・米軍コードですか?
本当は『グレース』にしたかったのですが『流星改』と被ってしまうので『シンシア』です。
これらの名前から、元作品が分かった人は私と同じ嗜好ですので、要注意です(同じ著者の他の作品も所有していると、更に危険度増大!!)。
周りから白い目で見られないように、己が言動に十分気を付けましょう。

最後に本機製作に当たり、助言を頂きました『山賊改』氏、『TAKA』氏、ありがとうございました。


それでは失礼いたします。
olympiaでした〜♪