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最大速度700km/hの高速偵察機。この仕様を聞いたときに、川崎の設計陣はみな、 「フッ、何だ、うちの会社のために作った仕様か」 と、考えた。 それというのも、社員全員が快速機の代名詞である「液冷機」の分野では、我が川崎の独壇場だと思い込んで、いや思い上がって、いや確信を持っていたからであった。 ちょうどおりもおり、別の設計チームが試作高速戦闘機であるキ64の試作中であった。そこで、その設計ノウハウを生かすべく、同様にハ40を縦に連結したハ201を搭載することを考え、その設計チームから情報をもらいつつそれに基づいて設計を進めていったのであった。このエンジンなら、比較的高空性能も高いと思われた。 しかし、キ64については艤装がなかなかうまくまとまらず、特に前後とも可変ピッチのプロペラを装備する方法については、暗礁に乗り上げたカタチとなっていた。 しかし、そんなおり、愛知が海軍用に造った試作陸上攻撃機のエンジン配置を見て、 「あ!こっちにすれば、すべて解決じゃないの!」 と、思ってしまったのだった。 そうなると、 「キ64・・・ケッ!」 てな感じで、今までの設計はおじゃんにして、エンジン配置をやり直すことになったのである。 社内からは、 「他社の設計をマネするなんて、仁義に反するんじゃないのか!?」 という声も挙がったが、 「お国のためにいいものは取入れる!」 という(自分らで勝手に作った)大義名分を振りかざし、設計を進めることにしたのであった。 幸いにして設計変更は、エンジンの間にあったコクピットを2つのエンジンの後方に配置換えするだけで済んだ。しかしながら、元々の設計が高速性を意識するあまりかなり無理なものであったため、それなりに進捗は遅れていった。 さて、機体について見てみよう。 まず基本形態であるが、中央ナセルにパイロットと偵察員と2つのエンジンを配置し、その両側に後方に尾翼を持つ2つ胴体を配置する、いわゆる「双胴型」であった。これにより、軽量化と大馬力エンジンに対抗した安定性の確保を目的とした尾翼の大面積化が達成できた(と彼らは思っていた)。偵察員席後下方は透明風防張りとされ、抜群の下方視界を確保した(左右と後方はあんまり良く見えなかったが)。後方防御用の武装も、高々度を飛行することを考え、密閉された独特のものとして乗員に配慮した(むちゃくちゃ射界が狭かったが)。 ラジエータは、左右の主翼前縁に張り出しを設け、そこに配置することで前面投影面積を減らすことに成功した(内翼の空力特性が思いっきり悪くなり、失速性能は悪化したが)。エンジンも試作途中でさらパワーアップしたハ140が完成したため、それを前後に連結した「ハ401」に換装することになり、要求性能クリアは楽勝となった(と、少なくとも設計陣は考えた)。 そうして、昭和18年4月、設計陣は大いなる自信を持って本機を初飛行に送り出したのであった。 ・・・その後どうなったかですって?・・・・私の口からはとても・・・。 全長・・・・:13.8m 全幅・・・・:14.4m 全備重量・・:6750kg エンジン・・:川崎 ハ401液冷倒立V型24気筒 最高速度 682km/h 航続距離 1600km(通常)、4800km(増槽装備) 武装 7.7mm テ4×1(後上旋回) |