立川キ624 試作司令部偵察機
 キ70の開発要求が提示されたのは14年3月である。  キ46はそれなりに満足の行くものであったが、将来の敵戦闘機の高速化、 さらに、後席の視界を考えると、なおいっそう改良された偵察機が必要と 判断されたのである。  その結果、キ70はガラス張りの機首に偵察員をおき、空いた後部座席には 電信員兼射手を置くことになった。  しかしながら、キ70は要求の肥大化と共に重量が膨らんでいき、 完成した試作機は設計重量よりも350kgも重くなっていたのである。  性能も奮わなかった。要求速力が700km/h、計画速力は670km/hと WW2最末期の戦闘機を振り切れる速力を予定していながら、 実測値では580km/hがせいぜいだったのである。  普通の設計者なら、あきらめてしまうだろう。だがしかし、一人だけ。そう、 ただ一人だけ、空気抵抗を極限まで減らし、要求性能を満たす事を考えた 技術者が居た。  軍が開発中止を立川に下そうとしたなか、彼だけは頑として 言い放った。「キ70をベースにして、実測700km/h、超えてみせましょう」  キ624の開発史はここから始まる。
 ってーわけで、以下概略。  ・キ70の前部胴体を流用。後席に居た通信員を  操縦席直後に移動。旋回銃も前部に移動。  ・旋回銃射界確保のために中部胴体から後部にかけて高さを  削る。これによって減少するタンク容積は長さで補う。  ・胴体内、前後位置としては主翼後縁部分に位置していた爆弾槽は  高さを削りならも一応は残す。これは、キ70の爆弾槽は照明弾を  搭載するための物だったからである。後方火力と違い、この爆弾槽の  有無は運用性を大きく左右するのだ。    ・キ70の大きい正面投影面積を減らすため、右舷エンジンは  後部胴体に移動。延長軸を使って左舷ナセルの後端に付けたペラを  駆動する。  ・降着装置は三車輪式。操縦席下部の空きスペースに  首輪、主車輪は外翼に外方引き込みで装備。  ・主翼面積を25平方メートルに縮小。キ70でさえ150km/hと速い  着陸速度がさらにとんでもないことに。これに対し設計主任は  「司令部偵察機が配備されるのは写真現像施設のある限られた  基地だけですから、そこだけ滑走路を幅を広げるなり、延伸すれば  問題ないですよ」とのたまった。
 その結果はこれである。「そもそも飛ぶのか」との声も出たが、 それも当然であろう。想定離陸距離は一式陸攻のおよそ倍である。 諸元(計算値)  最大速力:710km/h  巡航速力:420km/h  離陸速度:300km/h  着陸速度:280km/h(但し燃料半載)  航続距離:4098km  空虚重量:5579kg  離陸重量:10114kg  燃料容量:5260リットル  発動機:ハ104双発  ペラ直径:3.8m  武装:爆弾700kg+7.7mm旋回機銃1丁  
 あとがき  いざ描き始めようとしたら、なんだか凄い電波を受信しちゃいまして、 これを形にしないのはもったいない。この一心しか有りませんでした(笑)