大本営における南方進駐計画での最大の問題は警備兵力である
南方と簡単に呼ぶが、その範囲は南はニューギニア西はビルマと極めて広大な範囲に及ぶ
また、その広大な面積の多くが海洋と島嶼で構成されており
警備に多大な手間がかかることが想像された
全ての点目標に兵力を貼り付けるのは手が足りない以上これは仕方が無い
海岸線とその近辺にある集落への影響力行使を考えた場合
巡回戦力を一定程度配することで大きな効果がある物と期待されたのである
また、占領地域は海軍と陸軍で担当地域を区分けする事が決定していたが
海岸線警備はどちらの領域でも必要とされており
ここで大本営は、基本的な構成と運用を共通化することで効率を引き上げる事を目論んだのである
勿論、警備に関する方針や手段で陸海の思惑は異なり
擦りあわせに時間と手間がかかったが
予算規模からみても効率的な手段を模索する必要性があるのは明らかであった
こうして生み出されたのが、この哨戒特務艇・遠発である
この艇は警備船舶ではあるが、戦闘艦艇ではない(陸軍の立場としては当然)
事態にあたっては、搭載物件である兵員と武器を用いて対処するのが基本である
言うならば、巡回する戦闘部隊であり、その移動手段が船舶なのである
構成は機械化歩兵小隊と近似しており
舟艇固有の要員と、同乗する歩兵に大別される
この一隻が一個小隊であり、数隻で舟艇隊を構成し、これを集成した物が一個連隊となる
連隊は警備担当領域をいくつかに分割して舟艇隊を配置して警備に用いる
舟艇隊は所属舟艇を適当にローテーションさせて巡回警備を行う
基本的に有る程度の港湾設備を持った漁村等を対象にしているので
大発のような接岸能力は持っていない
これは必要に応じて小発を曳航して対処する事とされている
海軍はこの方式に概ね高い賛意を示したが
彼らは海を主体として考えるが故に、舟艇に一定度の航行性能と居住性を求めた
この結果、搭乗兵員用区画の用い方で対処できる物と陸軍では主張し
兵員区画を広大な倉庫空間として用いる事で双方は妥協した
例えば、二個分隊(約30名)を乗せる場合、概ね120平方米が必要になる(雑魚寝だけ)
更に食料・装具・装備の場所重量も必要になる
もし遠距離行動をするなら、より広大な空間を兵員用に当てないといけない
反対に短時間の乗船ならば(例えば単なる艀として用いるなら)同容積で数倍の兵員を詰め込めるのである
この艇の固有乗員は8名とされ
他に長期作戦で12名、短期作戦で30名程度を収容可能な居住区画が設けられている
この艇の警備任務は、潜入工作員の移動手段となる舟艇の発見報告や
遺留物の捜索、海域のパトロールや、近在集落の巡回が日常業務となる
占領地域に対するものなので、重武装大型の舟艇との遭遇は基本的に考慮されない
それらは陸軍の装甲艇や海軍の大型戦闘艦艇等に任せるべきものである
この舟艇はそういった沿岸から沖合いの仕事ではなく、沿岸から内陸への仕事を担当するのが主任務である
勿論、それだけでは不安が存在するのも事実であり
警備舟艇連隊には一個隊の重装艇を配置することとされていた
これは容積と重量を戦闘用に回した物であり
兵員数を減らした代わりに速射砲等を装備している
海軍では、これに25mm機銃や5cm砲(正確には47mmないし3pdr砲)を搭載した
また、発動機は車両にも持ちられていた大発用の60馬力ディーゼルを採用
これを二発使い、単軸に結合して用い、巡航時には単発で航行する
これは長時間の洋上行動において機関が故障する可能性を想定したものである
また、補助的なものとしてマストに装帆する能力を持たせてある
船体は鋼鉄製だが、これは軽量で耐久性を持つものを望んだからであるが
ブロック構造にして分割できるようになっており(運搬を考慮した物)
最大で20に分割され(各ブロックは6〜3トン)現地で組み立てが可能にしてある
南方へは、分割状態での運搬か大型船舶に曳航されて送り込まれるものとされている
要目
全長 25.0m
全幅 3.8m
吃水 2.0m(最大)
速度 8.0ノット
排水量 基準 95t
満載 125t
機関 大発用60馬力ディーゼル 2基
燃料 1.5t
航続力 5ノットで1200浬
武装 重装歩兵2個分隊(最大)
もしくは1個分隊+重機関銃班
固有 7.7mm重機関銃2丁
爆雷3発
重装艇では、基準排水量が105tになり要所に軽便装甲を持ち
25〜57mm級の火器を数門に機関銃を数丁備える
この場合は武装程度によっては兵員搭載能力が大きく減少する
また、兵員搭載能力は活動時間によって前後する
30日の巡回を行う場合は乗員と合わせて20名程度が実用限界になる
有る程度の隻数ごとに一隻の母艦を充当するのが望ましいと判断されていた
☆:どうもー、いつも元気な佐祐理でーっす
★:えっと、いつもネクラな美汐です・・・
S:ども、真面目にやってみましたですーのSUDOです
S:こんな感じでやってみたです
★:洋上警備ではなく、巡回用兵員の足としての舟艇ですか
S:警備ってのはさ、結局そーゆーことだろ
言うならばパトカーの巡回を海でやってみようという考えだな
★:海で戦争するんじゃないよってのが、陸軍の海軍に対するポーズなんですね
S:海軍としても長時間の哨戒にはもっと大きな船使えるしね
★:帆走ってのは?
S:一つは擬装用だな、帆を出して武器隠していれば漁船に見える
勿論、良く見たらばれるけどね
☆:もう一つは燃料節約ですねっ
S:それにね、上手くすれば機力と変わらない速度出るしね
★:しかし、20m程度の船に30人も詰め込むんですか・・・
S:まあ、容積から見たら潜水艦よりはマシかなってレベルだね
実際に重武装の兵員を詰め込んだら大変だろうね、実用的には20人ぐらいだな
☆:えっと、エンジンは大発のですねっ
S:最初は装甲艇の350馬力を使おうと思ったんだけどね、あれってば思ったより大きいんだ
★:えっと4tですね
S:信頼性にも不安があったし、何しろ140浬しか行動しない奴だからね
だから690kgの大発用のディーゼルを二発にして信頼性というか冗長性を確保した
☆:大発なら教育や整備にも問題が少ないですからねっ
S:航続力は消費率から逆算したけど、まあ帆走もできるし、これで約10日の行動ができる
★:速度が低いですけどね
S:5ノットってことは一日で200km以上動けるって事だよ
警備担当領域次第だけど思うほど短いわけじゃない
半分の時間を移動に使って、100km、巡回パトロールでの速度としたら十分だよ
★:船体を鋼鉄にしたのは?
S:陸軍の大発だって鋼鉄製だよ、それが常識だと思う
建造は分割ブロック式だから大して手間かからないし
これは部品単位で南方に送ることも出来るし修理も容易って事だ
3〜6トンってのはつまり、貨車やトラックに載せることが可能って事
★:そういえば大発もそういう構造になってるのが有りますね
S:今回のはかなり陸軍式にやってみたんだ
★:武装は殆ど何も無いですけど
S:戦闘艦艇じゃないからね
兵員輸送用のトラックだと思えば判り易いと思う
そして兵員輸送装甲車があるように、軽便装甲のはあると思うし
装甲ハーフトラックに大砲載せるように重武装するのもあると思う
☆:それが、数隻ごとに配備される重装艇なんですねっ
S:これも陸戦の支援車両みたいなもんだ
武装はたぶん37mm級の速射砲とか、57mmの戦車砲になるだろうね
意外と迫撃砲とかになるかもしれんが
ま、どっちにしても対陸上用が主になるだろうね
★:海軍式の場合は多少乗員数や居住関連機材が変化する程度ですか?
S:他にいじる所無いもん
この時期だと魚雷艇や駆潜特務艇を見ても機関銃しか載せてないしね
つまり、火力に対する要求は殆ど無いんだ
駆潜特務艇は船団護衛中に空襲されるから、魚雷艇は敵魚雷艇と交戦するから重武装になったけど
この艇は後方での警備任務で、想像される敵戦力はゲリラのような連中とか
工作員の運搬に使われる潜水艦に対する監視ぐらいになる
浮上潜水艦に出会ったら多少武装していても勝ち目ないだろ?
他には漁船とかぐらいだから機関銃で充分
☆:警備任務では相手を殺すのも無意味ですよねーっ
S:そゆ事、陸上に対してもだ、機関銃があれば事実上十分なんだよ
しかも乗り込んでる兵員はそれなりの装備を持ってるでしょ
大隊砲程度の支援火器でも多すぎるぐらいだ、やばい状況だったら応援呼ぶなりすればよい
無線あるんだから、そしたらこの舟艇に沢山の歩兵を乗せてやってくるとか軍艦が来る
運がよければ襲撃機や軍偵、水偵が来てくれるぜ
つまりこれはまさに哨戒なんだよ、歩哨には重武装いらんだろ?
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