日本海軍警備艇 第1号型

警備艇 第1号型

    要目
 
    基準排水量:100t
    全長:27.8m
    水線長(最大):5.25m
    喫水:1.87m
    主機:艦本式51号10型ディーゼル機関4基 2軸
    出力:1,200hp 
    最大速力:17.5kt
    乗員:28名
    武装:25mm単装機銃1基 爆雷投下軌条2基 爆雷22個
       吊下式水中聴音機1基 軽便式水中探信儀1基

    

 警備艇「第1号」型 解説


 「インドシナ島嶼域の沿岸警備のため、警備艇を設計せよ」
 設計者(私ことA-140)としては、この要求に対しては戸惑いを禁じえませんでした。この時点で設
計者は、日本海軍はこうした沿岸警備のための専門艇など考えもしなかったろうという印象を抱いてい
たからです。
 それでも、実在した駆潜特務艇などを参考にして、何とか一つの案とすることができたかと思います。
拙いものではありますが、これより解説させていただきますのでお付き合い願います。


1.本警備艇の用途に関する考察

 今回の要求において、本警備艇の用途は「インドシナ島嶼域の沿岸警備」とされています。この「沿
岸警備」という言葉から、具体的にどのような使用法が考えられるのか。設計にあたり、まず考えたの
はこの点です。
 インドシナ沿岸を警備する目的といえば、近い将来に南方資源地帯を占領した際、近海を通過する輸
送船団の航路を確保する、ということが第一に考えられると思われます。よってこの警備艇の仮想敵と
なるのは、まず敵の潜水艦であることが想像できます。
 よって今回の警備艇設計で重要視するべきは「優秀な対潜攻撃力を持つ艇にすること」というのが、
設計者の出した結論であります。


2.用途から考えられる本艇の必要とする性能、および装備

 船体については、量産のため木造船を製作している造船所を動員するため、駆潜特務艇と同じような
漁船型の船型を採用しています。なお、全体的に構造物が低くなっているのは速度性能を重視したから
です。

 これは私見なのか常識なのかは今ひとつ定かでありませんが、敵潜水艦への有効な攻撃には、一定の
速力が必要とされるようです。この時期の日米の潜水艦の水中速度は約8ノット程度。これに近い速度
では既存の駆潜特務艇と同じ程度になり、新たに警備艇として設計する意味が低下します。
 設計者としては、敵潜水艦より8〜10ノット程度の優位があれば、有効な対潜攻撃が可能であり、
また優秀船で編成された高速船団の護衛任務にも耐えうると考えました。この条件を満たすための機関
出力は約1200馬力ですので、艦本式51号10型ディーゼル機関を4基搭載することで対応しまし
た。現地、あるいは陸軍の船舶兵にとっては扱いが難しくなるかもしれませんが、その点は多少目を瞑
りました。

 武装は、当初は爆雷投射機の搭載も考慮しましたが、重量過大の可能性があったので爆雷投下軌条の
みとしました。爆雷22個は実在の駆潜特務艇と同等なので、この規模の艦艇には充分な装備と考えら
れます。火器は25mm単装機銃のみとしましたが、これはこれ以上大型の火器を装備することが困難
でしょうから、これはそれほど選択の余地はないようです。一瞬、潜水艦の船体を破壊するために8セ
ンチ高角砲を搭載しようとも思いましたが、重すぎるため取りやめました。実際、このあたりの装備の
バランスなら、一応現実的だろうと設計者は考える次第です。


3.本艇の運用について

 本艇はあくまで拠点防衛用の対潜艇であり、また排水量に比して重武装、高性能ですから、乗員の居
住性は犠牲にされていると考えるべきでしょう。当然、その活動範囲は各拠点を中心とした狭い範囲と
なりそうですが、凌波性が極度に不足しているとも思えないので、割と広い範囲で護衛作戦に用いられ
るであろうと想像しています。
 具体的な運用法の案ですが、4隻を一隊として、共同で対潜攻撃に当たらせるのが基本と考えます。
小型で搭載能力に限界がある故に探知能力の不足が予想されるので、旧式駆逐艦や海防艦などを旗艦と
して、その下に複数の警備艇隊を配属、特定海域での潜水艦狩りに使用するという方法もあるだろうと
考えます。駆潜特務艇よりも航行性能が優れているので、こうした積極的な運用にも便利だろうと期待
しています。

 量産に関しては、同じ機関を4基も使用しているので、その供給に問題が生じる可能性もあります。
この場合、速力の低下を忍んで中速400馬力ディーゼル(特務艇に広く使用されたディーゼル機関)
を装備して生産するという方法も考慮できると思います。この場合の速力は11〜12ノットですから、
辛うじて実用に耐えうる速度は維持できそうです。

 余談ですが、本艇の速力は通常の商船を優越するものですので、平時は領海内の臨検などの警備任務
を勤めることも可能でしょうし、また木造船ですので、駆潜特務艇が実際行ったような掃海任務への転
用にも、何ら問題は生じないであろうと考えています。


    作者より


     今回、初めて競作に参加させていただきましたA-140です。

     冒頭でも書きましたが、正直「警備艇を設計せよ」という要求には面食らいまし
    た。全く想像外のことでしたし、またこうした小型艇に関する知識が全くなかった
    からです。
     それでも、ここ「架空機の館」掲示板や、こちらの本館であるWar birdsのAns.Q
    で数多くの質問をさせて頂き、またそれに対して暖かい回答を多数頂きまして、そ
    の結果、未熟ながらも何とか一つの形として出品することができました。恐らく皆
    様のご協力がなければ、私は今回の競作には参加できなかったであろうと思います。
     私の質問に答えてくださった多くの皆様、この場にて改めて御礼申し上げます。

     今回は初めてということでわからないことも多く、また諸般の事情で設定の練り
    こみが充分にできず、他の皆様の作品に比べて劣るところが多いと思います。しか
    し、今のところ自分のできることはすべてやった、という意味ではそれなりに満足
    しているつもりです。いい経験をさせて頂きましたし、また小型艦艇の知識も蓄積
    することもできました。

     これを糧にして、これからの競作も頑張って参加したいと思います。皆様、改め
    てよろしくお願いします。


                             平成14年1月4日 投稿