日本陸軍 試製4式中戦車改T型・U型

ちゅう戦車


諸元(改T型・38式15cm榴弾砲搭載)

戦闘重量  : 34.5t
自重    : 30.0t
全長    : 6.25m
全幅    : 2.87m
全高    : 2.87m
発動機   : 空冷V型12気筒ディーゼル400馬力
武装    : 4式15cm戦車砲(38式15cm榴弾砲・車載改造)――(砲塔装備)
        1式37mm戦車砲――(車体前面装備)
        97式7.7mm重機関銃――(車体前面装備)
装甲厚   : 100mm(砲塔前面)、75mm(砲塔側面)、50mm(砲塔後面)、20mm(砲塔上面)
        100mm(車体前面)、35mm(車体側面)、50mm(車体後面)、20mm(車体上面)
履帯幅   : 450mm
乗員    : 6名
最高速力  : 40km/h
行動距離  : 220km


諸元(改U型・14年式105mm加濃砲搭載)

戦闘重量  : 34.5t
自重    : 30.0t
全長    : 7.55m
全幅    : 2.87m
全高    : 2.87m
発動機   : 空冷V型12気筒ディーゼル400馬力
武装    : 4式105mm戦車砲(14年式105mm加濃砲・車載改造)――(砲塔装備)
        1式37mm戦車砲――(車体前面装備)
        97式7.7mm重機関銃――(車体前面装備)
装甲厚   : 100mm(砲塔前面)、50mm(砲塔側面)、50mm(砲塔後面)、20mm(砲塔上面)
        100mm(車体前面)、35mm(車体側面)、50mm(車体後面)、20mm(車体上面)
履帯幅   : 450mm
乗員    : 5名
最高速力  : 40km/h
行動距離  : 220km



 基本的には昭和17年より開発が始まっていた4式中戦車(チト)の改良型である。
 タ弾(整形炸薬弾)の使用を前提に、可能な限り大口径の砲を搭載する対戦車用中戦車として開発された。
 このため、15cm砲としては軽量な、38式15cm榴弾砲を小改造を加えて車載転用している。
 いかに38式15cm榴弾砲が軽量とは言え、その運用には複数の装填手を必要とし、また広い装砲スペースも必要とすることから、砲塔は大型化を余儀なくされた。幸いなことに38式15cm榴弾砲の後座長は590mm程度であり、駐退/復座器の改造はほとんど不要で、大型化した砲塔もかろうじて4式中戦車の車体に装備することが可能だった。
 ちなみに大型化した砲塔を鋳造で製作するのは困難とされたため、従来どおり砲塔はリベット接合で組み立てられている。

 15cm砲ともなれば装弾に手間がかかることは明白で、射撃速度が落ちることは免れ得ない。
 この発射速度を補うため、副砲として車体前面に37mm砲を装備している。
 歩兵・対戦車砲を標的と想定すれば炸薬量の多い57mm砲が適していると言えるが、あえて37mm砲を装備したのは、対装甲車両戦闘も考慮したためと考えられる。

 さて、搭載砲である38式15cm榴弾砲の改造が小規模で済んだことから試作車両の完成も早く、早速戦車学校で運用試験が行われた。
 戦車学校での評価は――ある意味、予想通りと言うか――まあ、次のようなものである。

 「初速が遅く、移動目標に命中させることが困難」
 「装弾に手間がかかり、射撃速度が遅すぎる」
 「砲弾装備数が少なすぎる」

 15cm榴弾砲と言う、大口径短砲身砲を装備した以上、どれも当然と言うべき評価である。
 一応は直射照準儀を装備しているものの、戦車学校の厳しい――百発百中と言っても過言でない――命中性能要求を満たすのは無理であったようで、結論を言えば対戦車戦闘用としては失格、と言うものである。
 ただ、機動性や防御面では格別な問題点は指摘されていなかった。
 問題は搭載砲である。
 タ弾使用などとひねった考えは捨てて、素直に大口径長砲身砲を装備すべき。
 かくして、15cm榴弾砲搭載の車両をT型とし、大口径長砲身砲を搭載するU型の製作が開始された。
 搭載砲の候補としてあがったのは2種類。14年式105mm加濃砲、92式105mm加濃砲である。
 威力の点でいえば92式105mm加濃砲は魅力的だが、すでに15cm榴弾砲搭載のT型開発のため時間を費やしていたため、U型の開発には時間の余裕がない。
 それはつまり、搭載砲を車載転用するための改造に時間がかけられないことを意味する。このため砲架の改造は可能な限り小規模に済ませなければならない。
 このため、より軽量な14年式105mm加濃砲が搭載砲として選択された。
 14年式105mm加濃砲の後座長はおよそ1,500mm。砲塔内に砲を収めるためにはこの後座長を1,000mm以下に抑えなければならない。しかし駐退/復座器の改良は砲架改造規模を大きくしてしまう。
 結果、駐退/復座器には手をつけず、制退力30%の砲口制退器を装備することで後座長を1,000mmに減少させる事となった。
 このような付焼刃な改良で開発された車両がU型である。
 この車両では、装填手を減らすことができ、また装砲スペースを減らすこともできたため、砲塔をやや小型化することが可能となった。車載改良したとは言え、14年式105mm加濃砲は38式15cm榴弾砲よりかなり重く、この重量差を補うため、砲塔を小型化し、砲塔装甲重量を節約したのである。それでもまだ重量差を補いきれず、砲塔側面装甲がやや削減されている。

 さて、対戦車戦闘には不適とされたT型であるが、捨てる神あれば拾う神あり。
 野戦砲兵学校では好評価を得ることができ、歩兵直協戦車――自走砲として採用される可能性が出てきた。  こうなると戦車学校も黙ってはいない。機甲師団用の機動砲兵――砲戦車としてT型を採用する動きも現れるようになってきたのであった。

 このT型――「15cm榴弾砲搭載重装甲自走砲/砲戦車」が実際に採用された場合、同じ車体――コンポーネントの共用が多い――U型を主力中戦車として採用するメリットは大きいと思われる。



おまけ

車体を大型化した、重戦車/砲戦車兼用車両。
その絶大な火力は別として、驚異的な装甲防御で「壁戦車」との異名を奉られている。

ぢゅう戦車

諸元(96式15cm榴弾砲搭載)

戦闘重量  : 48.5t
自重    : 42.0t
全長    : 8.05m
全幅    : 2.87m
全高    : 2.87m
発動機   : 空冷V型12気筒ディーゼル400馬力
武装    : 5式15cm戦車砲(96式15cm榴弾砲・車載改造)――(砲塔装備)
        1式37mm戦車砲――(車体前面装備)
        97式7.7mm重機関銃――(車体前面装備)
装甲厚   : 100mm(砲塔前面)、100mm(砲塔側面)、75mm(砲塔後面)、20mm(砲塔上面)
        100mm(車体前面)、100mm(車体側面)、75mm(車体後面)、20mm(車体上面)
履帯幅   : 450mm
乗員    : 6名
最高速力  : 35km/h
行動距離  : 180km