独海軍装甲艦「プリンツ・オイゲン」

 

 

 

※要目

 

全長    208m
全幅      26m
基準排水量 23030t
満載排水量 29550t
航続距離  18ノットで10000海里
最大速力  32.0ノット
機関出力  140000馬力
舷側装甲  120o
甲板装甲   50o
主砲    28cm3連装砲塔2基・連装砲塔1基
副砲     15cm連装砲塔4基
高角砲   10.5cm連装砲塔4基
 
 
※解説
 
独海軍は、1934年に3隻、35年に2隻の重巡を計画したが、36年
以降「条約型巡洋艦に準じた艦を建造するより『シャルンホルスト』
級の隻数を増やしたほうがよかったのではないか」との意見が大勢を
占めるようになってきた。数的劣勢を自明の理とせざるを得ない
以上、列強同様の20p砲巡洋艦を建造していたのでは、個艦性能に
おいても優位を得られないのではないか?という主張である。
 
 また、出現当初は世界を瞠目させた「ドイツチュラント」級につい
ても、英仏の高速新戦艦の出現による陳腐化を問題視する意見が
生まれるに至り、独海軍は中型戦艦・装甲艦・条約型巡洋艦の三艦種
を統合した新艦の建造を検討し始める。その成果が本級である。
 
 本級の原型は、かつての装甲艦Dであるが、武装と速力がDよりも
強化されている分、装甲は薄めに抑えられている。これは、かつて
の「ドイツチュラント」級に倣って「強い艦より早く、早い艦より強
い」を主眼としたことによっており、大量建造に必要とされる鋼材
を四ヵ年計画全権たるゲーリングが出し渋ったため、という説は誤り
である。
 
また、本級の発令時期が38年9月というズデーテン危機の最中で
あった点も偶然の一致であり、総統の建艦計画への注意を喚起して、
軍需資材の配分に関する海軍の立場を主張しようとしたもの、という
見方も正確なものではない(そのように利用された面は否めないが、
最初から意図されたものではない)。
 
 性能と外見に関しては「シャルンホルスト」級の簡易量産型、との
表現が適当である。事実、第一・第三砲塔は「シャルンホルスト」
級と同じものを搭載しているほか、艦形も酷似している。これは、設
計および建造を急ぐために同級から流用した部分が多いため、また
戦時の識別を困難にするためでもある。本級は艦隊の前衛および遊撃
を主任務として考えられていたので、特に後者の識別困難という点
は撹乱の意味で重要とされていた節が窺える。
 
 このように、一定の性能を持つ本級は、主力たる戦艦の支援に期待
されており、独海軍は、すでに起工済みのJ級巡洋艦三隻の建造や
O級巡洋戦艦案、P級装甲艦の設計を中止してまで、本級の大量建造
を「Z計画」に盛り込んでいた(本級をO級装甲艦型とも称するの
は、別案の巡洋戦艦型との区別のためである。また、本級のうち39
年起工分の1〜3番艦に、建造中止となったJ級巡洋艦の予定艦名が
そのまま振り当てられる予定だったのもこの辺の事情による)。
 
 しかし、39年9月の開戦によって「Z計画」は中断の憂き目を見
ることになり、本級六隻も同年春から夏にかけて起工されていた三隻
のうち二隻が建造中止、残る三隻も計画中止とされた。一番艦「プリ
ンツ・オイゲン」についても建造中止の予定だったが、同年12月の
「アドミラル・グラーフ・シュペー」喪失に伴い、その代艦として建
造計画が復活。以後は突貫工事で建造が進められ、一時その速度は
落ちたものの、43年2月に竣工している。
 
 しかし、すでに41年11月に対英戦が終了して以来、戦局の焦点は
42年に開戦した独ソ戦に移っており、第二次世界大戦において本艦
が活躍する機会は殆どなかった。また、47年からの第三次世界大戦
においても、独海軍水上部隊そのものが圧倒的な米英海軍の前に全く
太刀打ちできなかったため、本艦も休戦までバルト海で逼塞する羽目
になっており、結局その有効性は実戦で証明されていないと言える。
史家には「J級巡洋艦の建造を続行していれば、その一番艦が『ライ
ン演習』作戦に参加できたので『ビスマルク』喪失は避けられた」
と主張する向きもある。
 
第三次大戦休戦後、独軍内での「大型艦無用論」と共に本艦は51
年に除籍解体された。同種艦として帝国海軍の「愛鷹」級や米海軍の
「アラスカ」級が一定の活躍を見せていることを思えば、実に不運な
艦であると言えよう。なお、第二次大戦開戦と共に建造中止された
2・3番艦は、44年再開の「改Z計画」で「ライヘナウ」級として
復活している。
 
※同型艦
 
 プリンツ・オイゲン 43年竣工・51年解体
 ザイドリッツ    39年建造中止
 リュッツォー    39年建造中止
 仮称艦名R     39年計画中止
 仮称艦名S     39年計画中止
 仮称艦名T     39年計画中止
 
 
追記 えぇ、みなさん、はじめまして。パパゲーノです。
 お読みいただいた通り「シャルンホルスト」の装甲を削って三万
トン以内にしただけです(P1を三万トンにしただけ、の方が適切
やも)。「『シュペー』の代艦なのに、その戦訓が防御面に反映されて
いない」とか「32ノットでは大して優速といえない」とか「実質二年
間で建造できるものか」とか、その辺りは、「戦時急造なんですぅ」
ということで宜しくご容赦ください(汗)。
特徴もこれといってなく、止めに絵もないという……せめて戦歴
を派手なものにしてやればよかったでしょうか。まぁ、枯れ木も山の
賑わいということで、ハイ。ともあれ、ここまで読んでくださってあ
りがとうございました。