
ヴァルトブルク級装甲艦 諸元:
同型艦 なし
全長:245m 全幅:27m
排水量:26,000t
機関: MAN式9気筒ディーゼル12基 165,000馬力
速力:34kt
武装ほか:
54.5口径 28cm砲 3連装 2基
65口径 10.5cm高角砲 連装 8基
37mm 連装機関砲 8基
20mm 4連装機関砲 8基
533mm 4連装魚雷発射管 2基
アラド水偵 6機
ヴァルトブルク級装甲艦 について ビスマルク級の建造に続き、ドイツ海軍では、大幅な海軍戦力の増強が計画された。その中心は、ビスマルク級を上回 る40cm砲搭載戦艦6隻と、その補助となる装甲艦8隻の建造であった。 このうち、装甲艦として建造されたのが、ヴァル トブルク級であった。 ドイツ海軍にとって、破格の大建造計画であったが、イギリス海軍方でもも、軍縮条約による代艦建造の縛りがとけ、同 時期にその多くが新型艦に入れ替わることを考えると、必ずしも優位を確保できるものとは言えなかった。 そこで、計画中の戦艦の半分の大きさながら、ヴァルトブルク級には、戦艦艦隊の補助として、様々な任務が与えられた。 1. 通商破壊戦による、敵艦隊の誘い出しと分散を狙う。 2. 敵戦艦艦隊の発見と、味方決戦海域への誘致。 3. 戦艦同士の決戦では、敵主力の牽制や、敵巡洋艦や水雷戦隊による味方主力への攻撃の阻止。 このような多くの任務に対応するため、ヴァルトブルク級では、常に敵戦艦艦隊に対し自己の位置を自由に取れる機動 力と、敵砲火の下でも行動できる防御力が優先され、その結果ある程度の攻撃力の低下する。 特に、速力は、最低でも34ktが求められた。1937年完成のフランス海軍のダンケルク級戦艦が、31ktの速力を与えられた ことから、新世代の戦艦は、30kt前後の速力をもつと予想されたからである。 34ktの速力を得るため、また、建造費を圧縮するため、艦体の大きさは基準排水量で26,000t程度、最大幅で27mとし、 この艦体に、160,000馬力強の機関を搭載することを、基本方針とした。 まず、艦体は、主要防御区画にシャルホルスト級と同等の防御力を持たせるため、シャルホルスト級を基本として、主 砲塔1基と副砲全てを減らすことでを主要防御区画を短縮し、艦体の軽量化と、艦体幅を縮小を図った。一方で、速力増 大のため、全長をシャルンホルストよりも約10m長い245mとしたため、主要防御区画は全長の50%となり、それ以外は 、軽量化の為、やむおえず巡洋艦程度の軽防御となった。 この艦体に、新たに大型化に成功したディーゼル機関を12基積み、3軸で165,000馬力を発揮、最大速力34ktを達成した。 武装については、 シャルンホルスト級と同じ28cm砲を、2基の砲塔に3連装で収めることは、すんなり決まった。副砲を 搭載するスペースが無いため、巡洋艦戦隊を相手にする場合、有効打を期待できるのが主砲のみであり、もともと発射 速度の遅い38cm砲の連装2基では、対応能力が不足すると考えられたからである。特に、敵艦隊の誘い出しや分散の ための遊撃任務では、1〜2隻の装甲艦で戦隊を組み、行動することから、その戦力で巡洋艦戦隊を相手にすることを考 えると、発射速度は重要な問題でった。 もちろん、28cm砲では戦艦に対しては有効打を期待できないが、あくまで敵戦艦艦隊との直接対決は戦艦艦隊の任務 であり、ヴァルトブルク級の任務は、その戦艦同士の戦闘に際し、様々なサポートを提供することであることから、28cm砲 で十分と割り切った。 高角砲は、副砲が搭載できないことから、艦隊戦での使用も考え、シャルンホルスト級の7基よりも1基増やし、8基16門 を搭載している。 また、ドイツ海軍では、通商破壊戦への投入を考え、ドィッチェラント級装甲艦以降、全ての装甲艦に6〜8管の魚雷発射 管装備しているが、ヴァルトブルク級でも同様の考えから、4連装発射管を艦体中央両舷に1基づつ搭載した。 それ以外の特徴としては、充実した航空兵装による、高い索敵能力がある。ヴァルトブルク級は、軽装甲部分にかなり の積載スペースをもっているが、それを利用し、艦体後部の上甲板下に水貞6機分の格納スペースを設けた。カタパルト は、後部主砲の射撃の邪魔にならないように、埋め込み式とし、2番砲塔後方に2基、30度づつ両舷の舷外に向けて設置 されている。 計画では、8隻の建造が予定されていたが、1番艦ヴァルトブルクの建造開始直後から、第2次世界大戦が始まり、特に 対ソ戦が始まって以降は、大規模な陸上戦が続いたため、大型艦の建造は次々とキャンセルされていった。唯一建造が 継続されたのはヴァルトブルクも、その工期は遅れに遅れ、ようやく完成したのは1943年終盤であった。しかし、その頃に は、もともと劣勢であったドイツの大型艦は、その半数が失われており、もはやヴァルトブルクに活躍の場は残っていなか った。 Making 編のかわりに カララン 「あら、いらっしゃい。ミューラ先生。」 「今日は、チャロさん。いつものブレンド、お願いします。」 「ねえ、ミューラ先生。たまには、他のも試してみたら。今度のスペシャルブレンド、自信あるんだけどなぁ。」 「チャロさん。いろいろ試した結果が、このブレンドなのです。今さら、他のものに変える気はありません。」 コポコポ 「まったく、張り合いのない。どうして、ドイツ人ってのは、なんでもこだわる人が多いのかしら。」(ボソ) 「チャロさん。何か?」 「あ、いえ、何でもありません。アハ、アハ、アハハ・・・・・。 あ、そうそう、ミューラ先生って、戦争の時は、戦艦の艦長さんしてたんですって。」 「チャロさん、そんなこと、どこで聞いたんですか?」 「へリック先生から。このまえの宴会の時、ミューラ先生から、聞いたって。」 「まあ、ほんの一ヶ月だけですけど。」 「一ヶ月で、沈められちゃったんですか?」 「いや、別にそういう訳では。」 「じゃ、異動ですか。その後は、司令部か、どっかに?」 「はは、倉庫の管理人みたいなことを。」 「えー、戦艦の艦長から、倉庫の管理人って、いったい、なにやらかしたんですか。」 「まあ、いろいろと・・・」 ゴソゴソ 「その写真、何です? ミューラ先生。」 「これがその戦艦、私の最後の指揮艦、ヴァルトブルク号です。」 「写真、いつも持ち歩いてるんですか?」 「まさか、たまたまですよ。額縁が古くなったんで、買い換えたんです。」 「それにしても、戦艦にしては、ずいずんスマートな艦ですねぇ。戦艦って言うから、もっと、大砲の多い、いかつい艦を想像しまし たけど。」 「まぁ、正確には、装甲艦ですから。」 「?」 「チャロさんのお国では、ポケット戦艦と呼ぶのかもしれませんが。」 「???」 「ハハ、つまり、小型の戦艦です。」 「はぁ。でも、なんで、わざわざ小型の戦艦なんか、造ったでんすか?」 「ドイツは、その前の大戦でも、負けましたから。それで、アメリカやイギリスから、同じ大きさの戦艦を造るなと・・・」 「それで小型の戦艦になったんですね。」 「まあ、そうです。でも、ただ小さいだけじゃなく、速度を速くすることで、、輸送船団を攻撃して、敵戦艦が出てくる前に去るとい う作戦で、使うことにしたわけです。」 「んー、つまり、軽くして、速度を速くするために、大砲を減らしたってことですか?」 「ええ、このヴァルトブルク号は、そうです。」 「ヴァルトブルク号は、てことは、違う形の艦も、あるんですか。」 「最初の頃の装甲艦、ドィッチェラント号やシェァ号は、敵の戦艦と戦うことを、まったく考えていないので、防御力を減らしたんです。 といっても、このヴァルトブルク号は初代の装甲艦の2倍の大きさはありますから、大砲を減らさずに防御力を増すために、艦その ものが大きくなったって方が正しいんですが。」 「あれ、大きな戦艦は、造れなかったんじゃ・・・。」 「まあ、ヴァルトブルク号が計画された30年代後半には、もっと大型の戦艦も建造してましたから。」 「あ、でも、戦艦、造れるんなら、別に無理に装甲艦造んなくてもいいんじゃ・・・・」 「チャロさん、戦艦つくるには、とてつもない費用がかかるんです。車や飛行機みたいに、年に何十隻も建造するって訳にはいきま せん。その点、装甲艦なら、戦艦1隻の費用で、2隻造れますから。」 「そりゃそうですけど。でも、大砲少ないんじゃ、戦艦と戦っても、勝てないんじゃないですか。」 「艦隊決戦だけが、海軍の作戦じゃないですよ。チャロさん。 例えば、装甲艦何隻かを、別々の海域へ送って、それぞれが攻勢にでれば、それを止められるのは戦艦だけですから。相手は それぞれの海域へ、戦艦艦隊を送らなければなりません。 そうすると、一つ、一つ艦隊は、小さくなりますから、ドイツの少ない戦艦部隊にも、勝算が出てきます。」 「あー、なるほど。」 「それに、戦艦といっても、距離や方向を計る部分や主砲以外の砲は、それほど装甲が厚くないですから、ある程度の損害は、 与えられます。それに魚雷もありますから、装甲艦戦隊といっても、相手もまったく無視するわけにもいきません。 戦艦艦隊と同時に攻撃をかければ、相手に難しい対応を強いることができます。」 「はぁ、いろいろ、考えてるんですねぇ。」 「まあ、装甲を増やしたといっても、実際はこの2つの主砲の間だけですから、まともに撃ち合うと、そう長くは持ちませんが。」 「でも、それって、大問題なんじゃ・・・・」 「戦艦艦隊と交戦している時に、わざわざ装甲艦と本気で交戦する余裕はありせんよ。それに、弾火薬庫とエンジン以外なら、1発 や2発、当たったところて、沈没や戦闘不能にはなりませんから。」 「それ以外の部分って、何があるんですか?」 「そうですねぇ、乗組員のねぐらや、予備の偵察機や食料なんかの倉庫ですね。」 「ねぐらや食料やられたら、帰るとき困るでしょうに。」 「それはそうですけど、戦闘に生き残らないことには、帰りの心配してもしょうがないですから。」 「そりゃそうですけど・・・。」 「まあ、急造の海軍ですから、多少の無理はしょうがないです。」 「ところで、ミューラ先生、どうして、艦長、クビになっちゃたんですか?」 「はは、覚えてましたか。それにチャロさん、人聞きの悪い言い方しないでください、べつにクビなった訳ではありません。 砲がなくなった艦じゃ、倉庫ぐらいにしか使えませんから。」 「大砲、無くなっちゃった、て。まさか、盗まれた訳じゃないですよね。」 「まさか、装甲艦の砲って、何十tもあるんですよ。そんなもの盗めませんよ。」 「じゃ、いったい?」 「ヴァルトブルク号が就役したときには、第3帝国もだいぶ左前になっていましたから。 大型艦の半分は失われていましたし、陸軍の方も防戦だけで手一杯の状態だったので、 ヴァルトブルク号の砲を、 建設中の要塞に転用した訳です。」 「そういうことだったんですか。」 「結局、戦闘艦として機能したのは、一ヶ月だけ。 まだ、艦に慣れもしないうちに、戦闘艦の艦長としての仕事は、終わりました。」 「まぁ、人それぞれなんでしょうけど。 いいんじゃないですか、おかげで生き残れたわけだし。」 「そうかもしれません。 じゃ、チャロさん、コーヒーご馳走さま。」 「ありがとう。ミューラ先生。 また、寄ってくさい。」 カララン |

潜水母艦 ヴァルトブルクについて
1943年終盤、就役時に、すでに活躍の場を失っていたヴァルトブルクに対し、ドイツ軍首脳部は、英仏海岸線の防衛要塞 強化のため、備砲全ての転用を決断する。 備砲を全て失ったヴァルトブルクは、その大きな艦内容積を利用して、ドイツ海軍で唯一行動可能であったUボート群の母 艦として、補給品の備蓄・乗組員の休養・訓練施設として利用された。 前甲板には、訓練用の20mm、37mmの対空機関砲、後甲板、水貞格納庫には、Uボート乗員の講習、宿泊施設が設けられ た。 空襲時に、艦橋後方に直撃弾1を受けた以外は、たいした被害もなく、終戦時、小破残存。 機関の整備状況が悪かったこともあり、賠償艦に指定されることもなく、1946年、解体された。 |