Northrop XF2T Raven

同じ海の上で


要目(XF2T-3)

全長  :9.8m
全幅  :12.67m
全高  :3.8m
自重  :3,432kg
全備重量:4,894kg
発動機 :ライト R-2600-20 サイクロン 空冷複列星形14気筒(1,900hp)
最大速度:608km/h
航続距離:1,500km + 600km
武装  :12.7mm機銃×6
     爆弾454kg×1
乗員  :1名


この時期、ノースロップ社は陸軍むけのXP−56の計画を推進していた。
これは「架空機のような実在機」のお部屋で紹介されているような、
ノースロップらしい、無尾翼で、推進式で、キテレツな機体である。
当初はこれをそのまま艦上戦闘機化しようとしたらしいが、これはさすがに止められた。
というか、まわりが必死に止めたらしい。
Black Daggerという名前まで考えられていたともいうが、
「どこがダガーやねん」の一言で没になった、…というわけではたぶんない。
他にも、これを元にさらに変な方向に発展させた案(仮称 Scorpion 串型翼らしい)もあったというが、
いずれにしろ、革新的なXF4UやXF5Fの保険的な意味合いもあるこの計画に
さらに革新的な機体を出そうとするあたり、さすがはノースロップというべきか。

結局、基本的にはたいへんオーソドックスな案が採用された。
その外見はあまりアメリカ機らしくないという声もあるが、
ノースロップ社にしては(?)珍しく普通な機体となった。
単発単座の低翼単葉機で、XP−56の方に力を注いでいた為か、
こちらはかなり手堅く、手っ取り早くまとめたともいわれている。
しかしそれなりに頑丈で運動性もアメリカ機としては結構良く、
要するたいへん普通で扱いやすい機体となっている。

実のところこれは、XF4UのというよりXP-56の保険的な意味合いがあったのかもしれない。
一方で突き詰めた(突き抜けた?)ような設計を、もう一方でオーソドックスな設計を
同時に進めることで、双方の技術情報の交換及び蓄積を行い、
様々なパターンの技術力の維持を狙ったのではないかとも言われているが、
何も考えていなかったとする説もそれなりに説得力があり、真偽のほどは定かでない。

問題のエンジンはR-2600が指定されていたが、
14気筒のくせに下手な18気筒エンジンより大きいこのエンジンは、
B-25やアヴェンジャー、ヘルダイバー等、爆撃機や攻撃機に大量に使われているものだが、
この機体が採用されれば艦上機トリオで同じエンジンを使うことになるわけだ。
そういえば日本にも雷電とかいうのがあったが、これは大出力の発動機が無かったから
爆撃機用の大直径エンジンを使わざるをえなかった為で、
保険だからと指定されたこちらとは、だいぶ事情が異なる。

R-2600-8(1700HP)を装備した初号機は、1941年末に早くも初飛行に成功した。
このXF2T-1の最大速度は587km/h。要求値には届かなかったが、機体の素性は概ね良好だった。
武装は12.7mm×4、爆弾45kg×2 。
全長9.6m、全幅12.67m、全高3.8m、自重2,948kg、全備重量4,089kg。

テストの結果いくつかの改修点があげられ、開発が続けられることになる。
機銃を4丁から6丁にするなど、武装及び防弾の強化、垂直尾翼の拡大等の改修によって
自重は300kg程重くなり、全長が20cm伸びている。
XF2T-2と呼ばれるこの型は、しかしエンジンはそのままだったから最大速度は569km/hと落ちている。
自重3,278kg、全備重量4,625kgで、武装は要求どおり12.7mm機銃×6の他、
爆弾は225kg×1または454kg×1とも言われているが定かではない。
性能低下がはっきりした時点で、発動機をR-2600-8からR-2600-20に換装したXF2T-3の開発に入ったからだ。

エンジンをR-2600-20(1,900HP)に換装したXF2T-3は、最大速度が600km/hを越え、
爆弾も454kg×1が搭載可能になっていた。


青葉「どういうことか説明なさいこの下郎」 司 「…」  相変わらずお姫様にあられましては不機嫌麗しゅう…って、目がマジで怖い。 司 「なんの話だ?」 青葉「これよっ!」  ビシッ、と集中線のエフェクト入り(?)で突き出されたのは、  今回の競作用の設計資料だった。  別段、おかしいところは無い。…ように見える。 司 「これが?」 青葉「この名前は何?」  青葉の指は最初からキッチリと機体名のところを指していた。  曰く、「NORTHROP XF2T BLACK BEETLE」と。 司 「いや、ノースロップだし、Black BulletとかBlack Widowとかいう名前が出てくるだろう。    だからそんなところでいいかなと…」 青葉「お断りよ、このファシスト野郎」 司 「それはあんただ!    てか、この時代だとシャレにならんぞそれは」 青葉「変えなさい」  聞いちゃいねー。 司 「…Black Witch(ボソッ)」 青葉「何か言った?」 司 「空耳だろ」  危ない危ない…。つい本音が出てしまった。  とはいえ、さすがに Black Witch(黒衣の魔女)や Black Beetle(ゴキブリ)というのは、  ちょっとな、と思わないでもない。 司 「Black Bird とか、Black Wing とか候補はいろいろあったんだが…」  まず間違いなく青に塗られるだろう機体に敢えて黒の名を冠するのもなんだし。 青葉「クロード」 司 「なぜに?」 青葉「なんとなくそう思ったからよ」 司 「全然わかんないって。    だいたいそんな固有名詞じゃ戦闘機の名前としてはおかしいだろう」 青葉「うるさい黙れ」 司 「…」  既知の外の存在だな、コイツは。前から知ってたけど。 司 「もうちょっとこう、一般受けするというか、売れそうな名前がいいかなとか」 青葉「それが Black Beetle だと? あなたにはお似合いの名前なんでしょうけどね」 司 「……#    いや、まだ決定してなくて、いいの無いかなって状態なんだけど」 青葉「仕方ないわね」  仕方ないのはアンタだって。 青葉「何か言った?」 司 「言ってません!」 青葉「では Crow になさい」 司 「…烏ね。だったら Raven とかは?」  ギロリッ  俺は思わず目をそむけた。  ま、魔女め。なんて目をしやがる。  コイツは絶対視線で人を呪えるに違いない。  と、 青葉「まあ、いいでしょう」 司 「…だったら睨むなよ」  思わず脱力した。 青葉「情けない男ね」 司 「…すみませんね」  コイツにとって情けなくない男というのが存在するかどうかは、はなはだ疑問だ。 青葉「まあ、それはもういいでしょう」 司 「っていうか、肝心の機体の話を全然してないぞ」 青葉「そのような些細なことはどうでもよいのよ」 司 「些細かっ!? 些細なことなのか!?」 青葉「興味無いし」 司 「持てよっ!」 青葉「そんなに私の意見が聞きたいの?」  青葉はあやしい笑みを浮かべた! 司 「…」  だらだらだら・・・(←冷や汗の流れる音)  墓穴か? 墓穴を掘ったのかっ!? 司 「い、いや、無理強いはよくないよな」 青葉「ふん」  青葉はバカにしたように笑った。 青葉「まあ、よいのだけれどね。    ノースロップにしては普通に過ぎるわね」 司 「失礼なヤツだな。ガンマ、A−17、BT1(ドーントレスの原型)、    後のタロン、F5シリーズ、YF−17(ホーネットの原型)と、    むしろノースロップは普通の機体造らせたら結構優秀なんだぞ」 青葉「…そう言われてみると」 司 「だろ」 青葉「原型を造っても、自社の製品としては採用されていなかったり」 司 「ぐふっ」 青葉「あまつさえ他社の製品として採用されたり」 司 「ごほっ」 青葉「発展型の機体を名称を変えてまで造ってもろくに買い手がつかなかったり」 司 「がふっ」 青葉「なかなか大した結果だわね」 司 「ちょっと運が悪いだけだっ!」 青葉「…」 司 「うっすらと笑うなっ」 青葉「ところで話はかわるけど」 司 「いきなりか」 青葉「XF2Tというからには当然XFTもあったはずね」 司 「がはっ」  ここで追い討ちかけますか。 青葉「FTという正式採用機の話は聞かないけれど、どうなったのかしら」 司 「…」 青葉「どうだったのかしら?」 司 「……すいません。失敗作でした」 青葉「ふっ」  鼻で笑いやがった。 青葉「まあ、正直だったのでよしとしましょう」  コイツ…、興味無くても知識はあるのな…。 司 「さっきノースロップにしてはって言ってたけどな、系統的にはA-17とかBT1に近いラインなんだよ。    だからやっぱりこれもノースロップなんだ」 青葉「そのあたりの主任設計者は今ダグラスでしょう」 司 「だからそのまんまじゃなくて、ちょっと違うんだけどな。    とりあえずXF4Uのバックアップ用ってことで、無茶せずに扱い易い機体にはなってる。    XF4Uはわりととんがった感じの機体だから、相互に支援しあうことで理想的な状態を    つくれたらいいというもくろみだな」 青葉「…バックアップ用ね」  青葉は少し面白くなさそうな顔をする。  ので、言わなくていいことまで言ってしまう。 司 「実はノースロップ社の自費開発でR-2800を搭載した改良型の開発もしてるけど、    こいつは最高速度637.6km/h、爆弾の搭載量も2倍と、XF4Uのバックアップどころか、    本命をくいかねないスペック出してるんだけどな」 青葉「F-20は結局買い手が付かなかったのよね」 司 「だから不吉なこと言うな!」