独逸空軍 単発ジェット戦闘機 He140

He140V1〜2
He140V3〜



諸元    
      
全長    8.5m
全幅    9.2m
自重    2,400kg
全備重量  3,200kg
最大重量  3,900kg
発動機   ハインケルHeS8aターボジェット
       推力600kg×1
最高速度  750km/h
航続距離  900km(通常)
       1,500km(最大:300リットル増槽2基使用時)
武装    20mm機関砲×4(翼内)
       爆装、最大500kg(250kg×2:両翼吊下)
乗員    1名



 He140は、ジェットエンジン開発で他社に先行するハインケル社が開発した単発ジェット戦闘機である。 前年の双発高速ジェット戦闘機の発注で、事実上蚊帳の外に置かれた形となったハインケル社が、発動機指定のない単発戦闘機の開発要求に対して掲げた、挑戦的な機体である。



      
 航空技官Y  今回、なにか地の解説文が短くないかな?
 航空技官N  解説者が『面倒くさい』んだって。
         代わりに説明もしてくれって話だけれど。
 航空技官Y  おいおい(汗)
         でも説明が必要なのは確かだな。
         ・・・・・・でもやっぱり面倒くさい。箇条書きで要点を列挙するぞ。
        
        
        ・初期の機体はレシプロ高速試験機の設計を流用。
        ・翼厚比が小さく、薄い主翼。
        ・薄いにも関わらず、翼弦長が大きく内容積の大きな主翼。
         20mm機関砲4門を主翼内に収納。
        ・整備性を考慮し、発動機は機外装着。
         主胴体下面に装備したジェット発動機に外板を被せて整形する。
        ・着陸脚は三車輪式。機首輪は捻りこんでインテイク下面に収納。
        
        
 航空技官Y  レシプロ高速試験機の設計流用か。
 航空技官N  『高速』試験機にしては主翼面積が大きいみたいだよ?
 航空技官Y  ああ、これはもともとBf109に対するBf109Rのような、He100の高速型だったんだ。
         だが、ハインケル社の設計陣は妙に生真面目だったのか、
         『名目上だけとは言え、戦闘機が空戦できなくてどうする』と、
         一応は空戦可能な機動性を持ち得る機体構造にしたんだ。
 航空技官N  それで、面積の大きな低アスペクト比の主翼・・・・・・なんだね。
 航空技官Y  ま、そういうことだ。
         もともと機首にレシプロ発動機を搭載した高速機だったから、
         操縦席がこんなに後ろにあるわけなんだな。
         重心調整に苦労しただろうに・・・・・・。
 航空技官N  無線機とか、重い補機類を機首付近にまとめたみたい。
         でもかなりの無理があったのは確かみたいだよ。
 航空技官Y  だから、試作3号機以降は、操縦席を機首に移したんだな。
         この頃にはHe280の試験結果のフィードバックが得られたらしい。
         だから3号機以降は視界/重心ともに大きな問題は出ていない。
 航空技官N  薄い主翼はジェットに変更してからなの?
 航空技官Y  いや、これはレシプロ高速試験機のときからのものだね。
         翼面積を大きくした分、翼厚比で抵抗を軽減しようとしたんだ。
         翼厚比は小さいけれど、翼弦長が大きい分内容積が大きくてね。
         翼内に液冷の冷却系を収納する予定だったらしい。
 航空技官N  表面蒸気冷却?
 航空技官Y  多分ね。なにしろハインケルだし(笑)
         ま、おかげで薄く低抵抗にも関わらず内容積の大きい主翼が得られたわけで、
         着陸脚は言うに及ばず、燃料タンクも一部は主翼内設置だ。
 航空技官N  でも20mm機関砲まで翼内装備はヘンじゃないかな。
         邪魔な発動機がないんだから、機首に集中配置したほうが良さそうだけれど・・・・・・。
 航空技官Y  どうだろう。もともと重心に問題のあった機体だから、
         20mmの弾薬消費によるバランスの変化を警戒したのかも知れない。
 航空技官N  えとね、もしかしてもっと別なものを搭載しようとしていたのかもしれないね。
 航空技官Y  別のもの・・・・・・?
         もしかして、昼夜を問わず酷使するつもりかよ。
 航空技官N  だって、用途で「本土防空」が要求されてるもん(をぃ
        
        
 航空技官N  今度は発動機のお話だね。
 航空技官Y  他社に先行しているとは言え、
         この時期、HeS8aはまだ熟成しているとは言えない発動機だった。
         He280でも発動機から漏れた燃料がナセルに溜まって引火するのを防止するため、
         ナセルカバーを外して飛行試験をしていたぐらいだしな。
 航空技官N  He140が機体下面に発動機をぶら下げて整流カバーを被せた設計になってるのって、
         同じような理由なの?
 航空技官Y  ああ。いざというときには機体下面の整流カバーを外して飛ぶつもりだったのかもな。
         もっとも、He280の試験が先行していて、He140はその試験結果を参考に出来たから、
         さほど大きな問題も無しに調整は進んだらしい。
         まあ、整流カバーを外すと簡単に発動機にアクセスできるので、
         黎明期のジェットとしては整備も換装も楽なので現場の評価は悪くなかったらしい。
 航空技官N  初期型ジェットって寿命が短いもんね。
         確かに換装が楽なのは好評価に繋がると思うよ。 
        
        
 航空技官N  あのね、ジェットってコンクリート滑走路でないと運用できないんだっけ?
 航空技官Y  さてどうだか。確かにジェットが路面の小石だとか、
         障害物を吸い込まないよう、クリアな滑走路が好ましいのは確かだろうけど。
         アスファルトはジェット排気で溶けるとかの問題があったかな?
 航空技官N  でも、コンクリだとすると、前線の急造滑走路では運用できないよね。
         ドイツ空軍の戦闘機としては問題あるんじゃないかなぁ・・・・・・。
 航空技官Y  それは確かなんだけれど、今回に限って言えば大丈夫だろう。
         要求仕様に「前線での運用」に相当する用法がないからね。
 航空技官N  えと、「制空」と「対地攻撃」は?
         前線で求められる内容じゃないの?
 航空技官Y  ジェット機だぜ。巡航でも600km/hは出るんだ。
         最前線からでなくても、第ニ線以降の基地から進出したってかまわないだろう。
 航空技官N  うーん・・・・・・本当に大丈夫かなぁ。
         それだと航続距離も必要だし。
 航空技官Y  ああ。だから要求仕様には、この時点での欧州戦闘機としては相当長い航続距離が
         要求されているじゃないか。
 航空技官N  これって、「最大」だよ・・・・・・。
         戦闘装備で1500km飛べと言うわけじゃないと思うんだけど・・・・・・。
 航空技官Y  うぐぅ・・・・・・まあ大丈夫。機内燃料だけでも900kmは飛べる「はず」だから(汗)
 航空技官N  何とかなるかどうか、微妙に長めな航続距離だね(笑)
 航空技官Y  逆に爆撃機護衛のほうが、速度が合わなくて苦労しそうだな。
 航空技官N  同航しようとするからだよ。
         先行してスイープかけちゃえば?
 航空技官Y  おいおい、そんなにうまくいくもんかい(汗)
        
        
 航空技官Y  さて機内容積と大きな翼内容積を使って多量の燃料を搭載して
         航続距離を稼いでいるわけなんだが、問題は、この燃料なんだよな。
         ジェットって燃費が悪いから。
 航空技官N  えと、それって燃料供給体制の不安?
 航空技官Y  まあ、そういうことだ。
         無駄遣いは避けないとな。
 航空技官N  それは問題ないと思うけど。
 航空技官Y  ん、何故だ?
 航空技官N  勝てる戦争なら燃料はたっぷり消費できる兵站が維持できると思うよ。
         燃料/弾薬の節約を考えながら戦わなくちゃいけないような戦況になったら、
         その戦争の負けはもう確定的だから、気にするだけ無駄だもん。
 航空技官Y  勝つためにはまず、贅沢な戦争ができること/できる体勢を整えることか。
         前線での勝利よりも、そっちのほうがよほど難しいと思うぞ(泣)