| 京城飛行機 二式艦上爆撃機 満星 | ||||||||
| けいじょうひこうき にしきかんじょうばくげきき まんせい | ||||||||
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| 数ある日本海軍機の中で特に異色な機体で知られるのがこの『満星』である。 本機は開発中の、実験機的要素の強い13試艦爆を補填する機体として公募がかけられたものである。 いわば本命に対する保険としての機体であり、あまり無理をせず、量産が容易で稼働率の高いことを 要求されていたものである。この条件に対し大手航空会社は既存の機体を改造したものや、手堅く無難な構造をもつ機体を開発して公募に臨んでいた。 しかし、この公募を一種の見せ場として賭けに出た会社があった。 京城飛行機。 当時日本の支配下にあった朝鮮(今日の大韓民国)の航空機会社である。 当時の日本において植民地支配下の民族に対する差別は激しく、いくら優秀な技師や設計者であっても 日本の企業で高い出世をすることは望みが大変薄かった。そのような中たまたま軍が朝鮮半島での航空機部品の調達や機体の整備を民間会社に委託するために いわば国策の軍の下請けとしての企業設置を試みた。しかし日本の技師の多くはそのような本流から外れた会社に赴任する事を望むものは少なかった。 彼らは高給で日本の航空会社に雇われていていわばエリートとしての道を歩んでいるのであって何も好き好んでその道から外れる事など無かったからだ。 しかし在日の韓国人技師達は違った。故郷の地に航空会社ができる。なり手がいないので自分の思うような開発ができるかもしれない。 彼らは一斉に所属する会社に辞表を出し、あるいは大学の研究室を辞して京城飛行機に集まった。 ここに韓民族航空技術者の梁山泊ができたのである。 その中で一際異才を放っていたのが「金日守」「金正進」のキム兄弟である。 兄の「日守」は帝大を優秀な成績で卒業した理論化肌の技師であり、弟の「正進」はパイロットの資格をもち、実践方面からのアプローチを得意とする若者であった。 この二人のコンビはやがて京城飛行機の中核となっていった。 しかし、会社の現状は屈辱的とも言えるものであった。簡単な練習機すら設計の依頼がこず、部品の生産や機体の整備のみしか仕事は無かった。 その上納入しても「半島人に飛行機が分かるものか」とあらぬ差別を受けた。収めた機体を軍の整備士が彼らの目の前でオーバーホールを始めた事まであった。 俺たちは日本人の下僕なのか!口惜しさに唇をかんだ。 そのなかで今回の公募の話が出た。軍に納入経験がある航空会社ならどこでも参加できた。部品とはいえ納入経験はある。軍が作った航空会社としての免許もある。 このチャンスを逃す手は無い。 公試での結果なら差別などできない。 今こそどの日本製の機体より高性能な機体を作って高慢なイルボンサラムめの鼻をあかしてやるのだ! ウリナラの底力を見せてやるのだ! ジョッパリどものどの機体より速く高く遠くへ飛ぶ飛行機を作って見せるのだ! ウリナラを馬鹿にし卑下してきた倭奴(ウェノム)の連中がウリナラの機体が無くては戦争すらできないようにしてやるのだ! 彼等は燃えた。・・・・・・・ |
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諸元
京城飛行機 二式艦上爆撃機 満星 全長10.3m全幅11.68m全高4.2m(無負荷プロペラ部分頂点まで) 翼面積:主翼16.14u前尾翼5.51u合計21.65u 自重2638kg 正規全備重量4181kg 爆撃過載重量4687kg 機体形状 空冷先尾翼牽引式 車輪配置 前輪式 搭載燃料最大1820リットル 主翼主タンク260リットル×2 520リットル 主翼補助タンク170リットル×2 340リットル 胴体内主タンク860リットル 胴体内補助タンク100リットル 満載燃料重量1456kg エンジン 火星二五型(1850hp)空冷複列星型14気筒 プロペラ ハミルトン定速4翅、直径3.9m 最高速度:6000mで570km 航続距離 爆撃正規 1,560km(500kg爆弾×1) 爆撃過苛 2,070km(250kg爆弾×1) 武装 99式20o 2号固定4型×2(弾薬各190発) 92式7.7o 旋回改1×1 爆弾:500kgもしくは250kg爆弾1 米軍呼称コードネーム「ソフィー」 |
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| 概要 本機の特徴は、そのあまりもの特異な形状のため見逃されがちであるが直径3.9mという艦上機としては破天荒なそのプロペラの大きさにある。 火星系エンジン搭載機でこの大きさのプロペラを搭載した例はほかに二式大艇があるだけである。 プロペラ式の飛行機が大出力エンジンで推進力を上げる場合、プロペラの翅の数と大きさが問題になるが、大きさに限った場合 1.小さなプロペラを速く回す 2.大きなプロペラをゆっくり回す の2種類の方法がある。 しかし前者には限界がある。あまりにも速く回した場合プロペラの先端が音速を超えてしまい、能力を失ってしまうからだ。 従って出力が大きかった場合プロペラは大きければ大きいほど効率がよくなる。 なお大きいプロペラを速く回すという選択はありえない。直径が大きいほど旋回距離が大きくなるため早く先端が音速に近づくからだ。 小さなプロペラをゆっくり回すのは論外である。
しかし推進式配置にした場合大きなプロペラは大変厄介な問題を起す。 飛行機は離陸時に機首上げ運動をするので前輪式の機体の場合、 機体後部は下に下がる運動を行う。 この際大きなプロペラが地面に接触しないようにするには大変長い主輪を付ける必要がある。 また、接触防止用の予備車輪などをつけた場合でも、予備車輪が接地した段階で引き起こし運動は止まってしまう。 最初から後部が地面に近い尾輪式は論外である。 また、推進式はプロペラは胴体・先尾翼・主翼で乱された気流内に置かれるのでプロペラ効率が落ちる、トルク反作用が大きい、失速速度が高い、舵の効きが悪いなどの欠点がある。 なら牽引式で抵抗を落とすにはどうすべきであろう? 図1を見て欲しい。 空冷エンジンの場合エンジン前面の大部分がカウル内への吸気口となるのでこの部分はプロペラとして推進に貢献していない。 液冷機のほうが高速に適しているのはこのプロペラ効率の無駄になる部分が少ないからである。 (中には首をかしげざるを得ない位置にラジュエターをおいてこの効率を殺してしまうような配置もあるが)。 空冷でこのプロペラ効率を上げるにはどうすべきであろう? 図2を見て欲しい。 機首を伸ばし入気口を絞り込んでみる。 するとプロペラとして有効な部分が増える。局地戦雷電などで用いられた手法だ。 しかしこの形状だとプロペラにより絞り込まれた気流が、機体でまた押し広げられるため抵抗が増えてしまう。 また機首方面から押し広げられた気流はプロペラにより絞り込まれた気流と大きな角度で衝突することになりここでも抵抗が増える。 ならばもっと機首を伸ばしてみよう。 図3となる。 機体は前進しているのでプロペラにより絞り込まれた気流はプロペラから遠ざかるに従い相対流となって次第に平行に近づいていく。 するとプロペラ直径が大きかった場合外周部分から絞られた気流は胴体の影響を受けることなく後流していく事が分かる。 また機首から押し広げられる気流も入射角が浅くなるので圧力抗力がへり、またプロペラにより絞り込まれた気流との衝突角も鋭くなりスムーズに合流する事が分かる。 さらに伸ばしてみよう… これで分かるとおりプロペラと胴体最大幅部分が無限大に離れていた場合胴体における圧力抵抗は無視できる。 しかし有限の長さを持つ飛行機のプロペラと胴体最大幅部分の距離を無限大にすることはできない。 なら、胴体最大幅部分を機体の最もプロペラから遠い部分に設ければよい。 空冷機の胴体最大幅部分とはすなわちエンジンである。 また牽引式の機体の最もプロペラから遠い部分とはすなわち機尾である。 ならエンジンを機尾に設置すればよい。 エンジンが機尾に設置されているのなら重心位置は後方に来るので通常の主翼を前方に置く配置ができない。 従って先尾翼式となる。 この思想から導き出されたのが巨大プロペラを持つ空冷先尾翼牽引式という機体形状なのである。 さらに先尾翼になったわけにはもうひとつ理由がある。 それは翼面積である。 艦上爆撃機の場合、重い爆弾を抱えながら長大な航続力と機敏な運動性が求められる。 長大な航続力を持つには翼面積を増やして翼面荷重を下げやらなければならない。 翼を縦に伸ばしても揚力翼面積は増えないので必然的に翼は長くなる。 空冷エンジンを積んだ太い胴体を持つ機体なら横幅は大変大きくなる。 しかし機敏な運動をする場合横に広い形状は不利である。また狭い飛行甲板に並べる場合、横幅のある機体は扱いが難しい。 なるべくなら横幅は狭いほうがよい。なら翼は短い方がよい。この二律離反する要求を満たすにはひとつには複葉にするという手がある。 しかしこの方法は速度的に大変不利なものになる。なら単葉機で揚力を発生させてない部分にも揚力を発生させ、面積あたりの過重を下げてやるしかない。 理論家金日守は水平尾翼に注目した。通常の航空機の場合水平尾翼は揚力を発生させてない。むしろ下げ方向に力を発生させている。 さらに離陸時の最も低速で揚力が必要な時には水平尾翼の昇降舵は下げ舵にして主翼のむかえ角を上げている。 すなわち通常の航空機での必要揚力は主翼の発生させる揚力から水平尾翼の発生させる下げ方向の力を引いたものになり、水平尾翼は揚力に関してはマイナス効果しかない。 しかし先尾翼の場合先尾翼が揚力を発生させる事で縦の静的安定性を保っている。離陸時も先尾翼が浮くことにより重心より後方の胴体を押し下げる事でそこにある主翼にむかえ角を発生させている。 すなわち先尾翼機の必要揚力は主翼の発生させる揚力に先尾翼の発生させる揚力を足したものになる。 この結果先尾翼部分も翼面積として計上する事となり主翼を伸ばさなくても翼面積を増やす事ができるのである。 しかし、先尾翼式の場合急降下時など先尾翼が揚力を発生させてない時は大変不安定になる。 急降下爆撃機が急降下時に不安定なのは致命的である。そこで金日守は翼を若干後方にそらし後退翼にした。 後退翼が縦安定性の高い事は広く知られている。この後退翼効果で急降下時の安定性を保とうとしたのである。 しかし後退翼にした場合、翼面の気流が外側に流れ翼端で剥離しその面積部分の揚力が失われてしまう事が知られている。 いわゆる翼端失速である。これを防ぐために本機の翼面には気流が外側に流れるのを阻止する境界線板が設けられている。 このように本機の後退翼は急降下時の安定性を狙ったものであって速度追求のものではない。 時折本機は後退翼があるため速度が速いと解説している文献を目にすることがあるがそれは間違っている。 速度における後退翼効果とは衝撃波の発生を遅らせることで速度的に優位を目指すものであるが、本機のNACA230系の翼断面で500km前後の速度では衝撃波はほとんど発生していない。 従って後退角は速度的優位には何の関係も無いのである。 |
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| 胴体構造 エンジンが機体後方にあるのにプロペラが機首にあるのならこのあいだをシャフトで繋いでやらないとプロペラは回転しない。 そのため本機では機体中央部に長さ6.6mにも及ぶ長いシャフトが貫いている。しかしこれはエンジンのシャフトを伸ばしたものではない。 エンジンのシャフトを伸ばしたのでは長いシャフトがわずかなエンジンの振動でもそれを増幅して大きな振動になってしまう。 またさすがにエンジンまでは自作できないし、特注のエンジンもメーカーが相手をしてくれないであろう。 従ってシャフト自体は機体構造物としてエンジンとは別に取り付けられているものである。 シャフト自体は軽量化のため中空のジュラルミン製であり、内部に回転方向とは反対にライフリングを切ってねじりモーメントに耐える構造になっている。 このシャフトは機体内3箇所でボールベアリングを内蔵した軸受けで支持されている。 シャフトの両端は2軸の自在継ぎ手でエンジン及びプロペラ軸につながるジョイントと結ばれておりジョイント部の振動を拾わないようにしている。 またジョイント部分もエンジン及びプロペラの振動にともなうシャフトの有効長の変化を、ジョイント内のボールベアリングが 伸縮方向にスライド(約15mm)して吸収できるようにジョイントカップ内にベアリングのボールが移動するための溝を設けて吸収してしまうという画期的な構造になっている。 これは今日のダブルオフセット・ジョイント(DOJ)に相当する構造である。 エンジンそのものは胴体フレームと一体化したエンジンマウントにより前後からはさむように固定されており振動の多い火星系エンジンを極力固定しようとしている。 しかしこのためエンジンを取り外すには胴体後部を分解しなくてはならないため通常の整備はのちに述べる地上放熱ハッチを兼ねたメンテナンスハッチを解放して行われる。 コクピット前部には太さ100cm長さ150cmにも及ぶ大型の防弾胴体内主燃料タンクがある。ここのタンクの容積は860リットルと機体後部の主翼内主、補助燃料タンクを合わせたものと同じ容量となっている。 これは重心の片側だけに燃料タンクを置いた場合、燃料消費に伴いバランスが狂い機体が傾いてしまうからである。 タンクを重心部分に置けば問題ないのであるが、ここには爆弾があるし、この部分だけでは要求されている大航続を出すには燃料が不足する。 そこで本機では重心をはさんでの前後の位置に同容量のタンクを置き、同量づつ使用する事でバランスを保っている。そのうちの片方が胴体内主タンクで、もう片方が主翼内主、補助燃料タンクなのである。 またコクピット内の重心位置には100リットル入りの胴体内補助タンクがある。飛行の際には被弾した場合最も危険なこの胴体内補助タンクを真っ先に使い、続いて胴体内主タンク+主翼内補助タンク、その後に胴体内主タンク+主翼内主タンクの順で使用する。 これは防弾構造のないセミインテグラルタンクである主翼内補助タンクの燃料を戦場到達前に使い切るためである。胴体内補助タンクと主翼内補助タンク及びその容量に匹敵する胴体内主タンクの燃料を使用した場合その容量は780リットルになる。 本機の燃料全搭載量は1820リットル、半分910リットルでなのでこれでも戦闘の後帰路につける。また胴体内補助タンクと主翼内補助タンクは使用後外気を入れて乾燥させ被弾発火を防いでいる。これにより重い防弾タンクを少しでも少なくさせようとしている。 冷却構造 機体後部にあるエンジンが液冷ならばラジュエターを設ければ良いが本機のエンジンは空冷の火星エンジンである。従って外気を胴体内に取り込まないと冷却ができない。 しかし強制冷却ファンを使って取り込んだ場合その分パワーをロスするし振動も発生する。そこで本機では空冷エンジンそのものを一種の巨大なラジュエターと解釈し、エンジンを収めた後部胴体をラジュエターカバーとみなした構造をとっている。 これは弟の金正進の「熱くなるのは液冷のラジュエターだって同じなのになぁ」という何気ない発言からヒントをえたものであるといわれている。 本機の正面図を思い出していただきたい。大きな入気口が左右に飛び出しているように見える。しかしそれは正しくない。そこで胴体最大幅部分を赤円で示した図を用意した。
入気口直後からエンジン前部にかけての胴体内ダクトは急速に広がっている。これにより胴体内部で気流を拡散させ密度と流速を下げ、単位放熱量当たりの摩擦抵抗を小さくするようになっている。 また、胴体後部は急速に絞り込まれていてそこに開口部がある。このためエンジンを通過した冷却気はそこで流速をあげ、乱流を発生させなくするようになっている。 胴体外側を沿ってきた気流は後端で粘性に従って回り込もうとするがここに開口部があるため 回り込めず剥離して勢いを失うことなく後方へ流れていく。 すると開口部直後に負圧が発生し吸出し効果か生まれ胴体内の熱気をベンチェリ効果により吸い出してしまうのである。 胴体に沿ってきた境界層流は上部の一部が入気口との隙間にある溝により上面に逃がされ入気口内に吸い込まれてしまったもの内部に設けられた境界層排気ダクトに導かれバイパスを通って胴体上下面に設けられた排気口より排出されている。 これにより胴体最大幅部分と重なる高速のプロペラ後流のみを冷却気として取り入れているのである。 さて諸君。どこかで聞いた事のある手法ではないだろうか? そう奴がきたのである。 |
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| 狂気海を渡る 「兄ちゃん、まだダメだよ、エンジンが熱くて出力が出ない。それにまだ機体が重い。これじゃ運動性も航続距離も不足しそうだ・・・」 試作第1号機の実験結果を伝える。金正進の声が重い。もちろん操縦桿を握ったのは彼である。兄に設計した飛行機が落ちるはずはない。しかし思ったほどの感覚は伝わってこなかった。 「う〜ん液冷なら何とかなるんだけどこの出力の液冷エンジンは無いしなぁ」金日守も腕を組み考え込んでしまう。 「これじゃぁジョッパリどもにまた先を越されちゃうなぁ・・・どうしてダメなのかなぁ?熱くなるのは液冷のラジュエターだって同じなのになぁ?」 「進坊?今なんていった?」「い、いや兄ちゃんがウェノムに劣るとか思ってるわけじゃないよ、その、」 「違う!その後だ!」 「え?熱くなるのは液冷のラジュエターだって同じって・・・」
そう叫ぶと金日守は書斎に駆け込み、先日各航空会社に配られた日独技術交換の文献を取り出した。 熱くなるのは液冷のラジュエターだって同じ。しかし日本では液冷機はメジャーではない。しかし液冷機が主力のドイツなら何か有効なラジュエター冷却の方法を知っているかもしれない。それを応用すれば・・・ 金日守は難解なドイツ語の文献を凄い勢いで読みあさる。帝大トップクラスの彼には造作も無い事だ。そして彼は見つけた。 「境界層退避方法とベンチェリー効果を利用した拡散式ラジュエター冷却システムと翼端上反角の推進効果」 著ドクトル・ヴィリー・メッサーシュミット その恐るべき発見の数々を読み金日守は感動のあまりに身を振るわせた。 なんと言う男だ!正に天才。しかもこのような大発見を同盟国とはいえ他国の、しかも異民族の国に惜しげも無く公開するとは。 同じ陛下の赤子といっておきながら日本人達が我々に行っている態度とは雲泥の差だ! きっとこの方は紳士なのに違いない!知的で、鋭利で、しかも差別や偏見とは全く無縁の理性を持って高き大空を目指す大博士。 ドクトル・メッサーシュミット様(ニム)私は一生この感動を忘れません。メッサーシュミット先生(ソンサン)一生尊敬します! ことわざにその諸行を知らなければ人は彼に仏陀のように穏やかに接する事ができるとある。 一言で言えばこうなる「知らぬが仏」である。 しかし狂人が書いたものでも技術文献には狂気は伝らない。純粋に知性だけを刺激するものである。そして知性は個人の器量で決まる。国籍や民族は関係ない。 高い知性を持ちあわせるもにはその知性が伝わるものである。金日守にはその資格は充分にある。彼の優秀な頭脳の中でそれはたちまち消化され吸収されていった。 「境界層退避方法とベンチェリー効果を利用した拡散式ラジュエター冷却システムと翼端上反角の推進効果」には基本的な理論と数値が書いているに過ぎない。 一部嫌韓といわれる若者達が本機を「ドイツのまねをしただけ」などといっているがそれは大きな間違いである。 たとえるなら相対性理論を理解している人はユダヤ人のまねをしただけなのか?そのような馬鹿なことを言うものはおるまい。 差別による優越感は無能者の唯一可能な優越感である。なぜならその民族が他の民族より勝ってるとして得られる優越感は何も本人の努力なしで得られる優越感であるからだ。 さて話を元に戻そう このようにラジュエター構造を取り入れることで冷却問題は解決したかに見えた。しかし今度はもうひとつ厄介な問題が起きた。 過冷却である。航空機が高速で飛ぶと冷却機の流れが速くなり冷却効果が高くなりすぎる。 すなわちエンジンが冷えてしまうのである。 通常の空冷機の場合カウルフラップを閉じる頃で流入気を少なくさせこれを防いでいる。 しかしこの方法は抵抗が増してしまう。 カウル内に入るはずであった空気が機体前面で押し広げられてしまうからである。 また本機はベンチェリー効果を利用した吸出し式の冷却気排気を行っておりここを小さくしてもさほど効果がない。 かといって塞いでしまうと入気口前面はすべて抵抗面になってしまう。 そこで本機では入気口内にランプを設け高速時にはここを開け不要な冷却気は境界層排気ダクトから排出する手法をとった。 これだと入気量は一定なので抵抗は発生しない。冷却気もへらせる。 図はその構造である。。 |
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翼端上反角と方向舵問題
元来本機では主翼先端に直角に垂直尾翼を立てそれを翼端板としても使い誘導抵抗を下げる構造であった。 これを理論にもとづいて新たに解釈した結果、さらに後退させて大きく立ててやればより翼端上反角の推進効果はより上がる事が分かった。 しかしこの場合方向舵に大きな問題が発生する。仮にこの斜めの翼端垂直尾翼に方向舵を付けパイロットから見て左、正面から見て右に旋回してみよう。 正面から見て右の翼端垂直尾翼には揚力が発生しているので舵を切った場合斜め上にモーメントがかかる。 反対側のほうはちょうどエルロンを上げたように揚力が落ち斜め下にモーメントがかかる。これは旋回時に取るべき傾きの方向と逆に傾きを起すことになり主翼のエルロンの効きを悪くさせてしまう。 さらに問題な事がある。機首を上に機体の上面を見てみよう。方向舵は縦方向に重心に近いのに横方向には遠いこれでは方向舵の効率は大変悪い。元来このため2枚の方向舵で無理に回す方法を用いてたのである。 しかし今回その方向舵は斜めになってしまっている。これではさらに効率が落ちる。 それでも右の方向舵は何とか機体に対し斜め前の方向にモーメントをかけて旋回運動を起そうとするだろう。 問題は左の方向舵である。翼端上反角は機首方向に斜めのベクトルで揚力を発生させて推進力に変換している。 ここで舵を切るとどうなるか?翼端上反角部分の揚力はその面から見て垂直方向に揚力を拡大してしまう。 その方向には、なんと重心がある。これでは重心に斜め後方から押し付ける力を増加させるだけで機体は横滑りしていくだけで一向に旋回しない。 そこで本機では破天荒な方法で旋回運動に入ることにした。 翼端垂直尾翼には方向舵でなく制動板、すなわちエアブレーキをつけたのである。 重心から横方向に離れた位置で左右のどちらかで制動がかかった場合、制動がかかった部分は抵抗により減速するが、反対側は慣性に従って前進しようとする。 制動部分が横方向に重心に近かった場合はあまり効果がない。また制動部分が進行方向に対して広かった場合も効果は薄い。 しかし横方向に遠く、かつ垂直尾翼のような進行方向に対して狭き1点のような部分に制動がかかった時、機体はそこを中心に回転運動に入る。実際には完全に停止させるわけではないので円運動でなく旋回運動となるのである。 この運動は簡単な実験っで再現できる 両手を思い切り真横に広げ、全力疾走しながら手近の交通標識などを握り締めてみたらいい。 君は握り締めたこぶしを中心に旋回運動が起こすであろう。 ただし交通量のあるところや街中で実験するのは避けたほうがよい。 第一危険だし、衆人環視の元にこのような行為を働いた場合、 まず間違いなく数日中に君に関する不名誉な噂が町じゅうに飛び交っているであろうからである。 。 この運動は機体の傾きには何の影響も与えないのでロールは通常どおりエルロンで行える。 また、この翼端渦を積極的に利用するという発想は金日守に新たなひらめきを与えた。これまで翼端渦を弱めるため翼端を丸めていた先尾翼の翼端を鋭角に切り落とし、より翼端渦が発生しやすくしたのである。 翼端渦は誘導抗力としては抵抗であるが渦そのものの性質は陰圧である。また先尾翼の翼端渦は後方の主翼の上を通る。従ってこのように先尾翼でより翼端渦が発生しやすくなると主翼上面により陰圧が通り主翼上面の気圧を下げ翼を吸い上げる効果がある。 翼を吸い上げる力とはすなわち揚力である。 これはまた大仰角を取ったと機に主翼の失速を遅くする効果もある。 本機の場合先尾翼と主翼取り付け前縁部に今日でいうストレークのような構造を持たせここより積極的に渦を出すことによりさらに揚力の向上を試みている。。 急降下制動と溝付フラップ 本機は急降下爆撃機なので急降下制動板すなわちダイブブレーキがついている。 本機はフラップを上下に開く事で急降下制動板の役目を果たしている。すなわちフラップ兼急降下制動板であるのだ。 しかしそのまま開いた場合バフェッティングが生じてしまう。 そこでフラップにはスリットが設けられ余分な空気を逃している。 なお翼端制動板は操縦に不可欠なので急降下制動には用いない。 また離着陸時の揚力拡大のため外翼前縁には前縁フラップが設けられ、こののカンバーを変化させ低速時の揚力の拡大を狙っている。 また、先尾翼にも前縁スラットがついていて機首上げ時の失速を防止している。 なお本機胴体部にある大きなハッチであるがこれは地上エンジン放熱ハッチ兼メンテナンスハッチであり急降下制動板ではない。 あまりに目立つのでここを急降下制動板と勘違いしているものも多いがそうではないので注意が必要だ。 前述の通り本機の冷却は機体が前進している事を前提に行われている。従ってこのままだと地上アイドリング時にオーバーヒートを起す恐れがある。 そこで地上や艦上ではここを開け、エンジンを剥き出しにしプロペラ後流や艦の合成風を取り入れて冷却する。 翼端垂直尾翼は付け根から内側に倒すように要に折りたたむ事ができる。これはエレベーター幅に合わせたものである。翼そのものは急降下時の強度を保つためと燃料タンクの確保のために折りたたむ事はできない。 先尾翼の下から突き出ているのは無線アンテナである。ここから主翼まで空中線がはってある。無線機及びバッテリーは機首部のスペースに設置されているこれは重心があまり後ろに来すぎないようにするためである。 |
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主輪コクピット周りその他の構造 主翼に設けられた主輪は滑走時に先尾翼にむかえ角を与えるために大変短いものになっている。 主輪は内側に引き込めれるようになっており、一部が胴体内に収容される。 前輪はプロペラが接地しないようにやや長めのものが使用されている。しかし主輪が短いため、この配置にしてはそれほど長いものではない。 収容は前に引き込むようになっている。これは引き込み装置が故障しても風圧でロック位置まで前輪を引き下げる事ができる要にである。 着艦フックは収容時に胴体に沿うように、折れ曲がったデザインをしている。これは引き起こし時に着艦フックが接地しないようにするためである。 折れ曲がった部分は強化のため太くなっている。 本機は機体前部上面が中心に向かって細くなっているので三点姿勢を取った場合前方水平方向に障害になるものが無く大変視界がよいものになっている。 コクピットは長方形の箱状になっていてその側面に5mmの防弾板がついている。胴体外板とコクピット側面の間のスペースは機銃ならびに機銃弾の収容場所となっている。 飛行中無理して防弾板を外せば飛びながらでも機銃の整備は可能であるがあまりお勧めはできない。 下面も5mm防弾構造であるが、これはコクピットの床としても機能している。外せば爆弾倉が見えるがそのような事をしても何の意味もない。(第一操縦系がいっぱいついていて外せる床は少ない) 後面は少し厚い12mm防弾板となっている。 前面はわずか3mmの防火板しかない。 敵艦からの攻撃が集中する前面が薄いのは、そのさらに前方にある主燃料タンクを防弾に使用できるからである。 燃料があった場合1.5mに及ぶ燃料槽は敵弾をあっという間に減速停止させ、無い部分に当たったとしても敵弾は主燃料タンク外板や防漏ゴムを打ち抜いてから燃料が揺れないように備えられた沢山の仕切り板を打ち抜き、さらにもう一度主燃料タンク外板や防漏ゴムを打ち抜いてからでないとコクピット前面に到達できない。 これは十分な防弾効果があるとみなされたのである。 キャノピー前面は75mmの防弾ガラスでできている。材質はアクリルである。キャノピー最後部は回転して胴体内に収容できるようになっている。ここには92式7.7o機銃が設置されている。ここより後方上面には何もないので射界は大変によい。 なお一部には13mm機銃を搭載したものもあった。 |
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武装 前述した通り本機には後方機銃としてコクピット後部に1丁の7.7mm機銃と、固定機銃として重心位置の胴体外板とコクピット側面の間のスペースに各1、計2丁の20mm機銃が設置されている。 200mm機銃は99式20o 2号固定4型でベルト給弾式で各190発の弾丸を持っていた。
爆装は500kgもしくは250kg爆弾1発で太い胴体を利用した爆弾倉内に収められた。爆弾倉扉は500km爆弾が主要で切るように210mmにも及び、特に仕掛けが無く単純に観音開きになる。これは複雑化による故障を嫌ったためである。 爆弾はプロペラ旋回圏外に誘導する必要はありため、爆弾懸吊機と一体となった1本の爆弾誘導桿に懸架されている。投下ボタンを押すと爆弾懸吊機を固定しているカム状のフックが回転し爆弾懸吊機を機体から外す。 すると爆弾の自重で爆弾誘導桿は機体前方に振り子状に揺れ爆弾をプロペラ旋回圏外へ誘導する。 このとき爆弾誘導桿に取り付けられたゆれ止め腕が回転し爆弾を水平に保つ。投下位置にくると爆弾を吊っていた爆弾誘導桿先端のフックが爆弾からはずれ爆弾は投下される。 ゆれ止め腕には風車押さえがついていて爆弾が機体から離れるまで爆弾の安全装置の風車を抑えて信管が作動しないようにしている。 風車押さえは投下位置にくると機体とつながっているワイヤーが張ることで風車から外れる。 投下後は爆弾誘導桿は取り付け部に設けられたコイルスプリングで速やかにまた胴体内に収容される。 本機は先尾翼の構造上、重心位置にある爆弾倉以外に爆弾は懸架できない。したがって翼面下には何のハードポイントも無く全くのフラット状態(平たいという意味ではない)である。 このことは翼効率には有益だが反面搭載武装に制限があり、本機の弱点ともなっている。 |
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空へ!空へ! 「兄ちゃん!すげぇぜ!こんな手ごたえの飛行機は初めてだ!」完成型の試作機から下りた金正進は感動に震えながら叫んだ。 「今までのどんな飛行機より凄い!これなら倭奴の飛行機なんか目じゃない!ジョッパリ野郎が唖然として口惜しがるのが見えるようだ!今度こそ俺たちの恨(ハン)今こそ晴らしてやる!」 「進坊・・・もう俺には恨はないよ」 金日守はすがすがしい笑顔を見せながらいった。 「最初はそうさ、口惜しいし見返したいし、奴等に目に物見せたくて開発していた。だけどな、途中からどうでもよくなった。」 「兄ちゃん・・・」 「より速くより高くより遠く・・・自由に、この空の高みに、あらゆる困難を工夫や知性で乗り越え大空に舞い上がる。そのほうが面白くて地上での恨やなにやらといったみみっちぃ事なんかどうだってよくなったんだ。多分日本人もドイツやアメリカの航空開発者も同じだろう。おまえだってそうだろ?飛んでるとき恨なんて感じてたか?」 「そっ、それは・・・」 「わかるさ、いまに・・・空の上には恨を忘れられる何かがある」 かくして本機は公試に持ち込まれた。しかしまわりの態度は冷ややかであった。「チョンの造った飛行機なんて恐ろしくて乗れるか!」後部座席に座るはずの試験官はあからさまな侮蔑の態度を取ると機体から離れてしまった。 さすがに軍人のテストパイロットだけは敵前逃亡に当たるような真似はできないので慎重に機体を調べ点検した後他の試験官に人の変わりにバラストでも乗せますかとたずねた。 「私が乗ります!」金正進が叫んだ。 「兄の飛行機は完璧です!私の命をかけて保証します!落下傘なしで結構!」そういうとオーバーを着込み後部座席に座り込んでしまった。 試験官達はまぁいいかなどとぶつぶつつぶやきながらその場を離れた。 コンタクト 火星エンジンが響き、大きなプロペラが唸りを上げる。 満星はしばらくは走ったり止まったりと地上での操作の試験をした後滑走路に入り、猛然と離陸滑走を始めた。 ふわり そう表現できそうなくらいわずかな滑走で満星は軽々と空に浮き上がった。 試験官たちからどよめきが起こる。 しばらくは足を出したまま低空を旋回し機体を傾けたりわずかに引き起こしや引き下げなどを行っていた満星であったが、やがてすっと脚を収容した。パイロットはやる気だ。 操縦席のパイロットは後部座席の金正進に伝声菅で「飛行経験は?」とたずねた。「あります」と答えると「手荒くやってみるぞ。これをかぶっていろ。後、電話を繋いでおいてくれ。そのほうが便利だ」といって飛行帽を手渡した。 スロットルが思い切りいれられ、操縦桿がぐんと引かれる。 満星は猛烈なプロペラ音を上げると、これまで見たことも無いような急角度で上昇していった。 急旋回、急降下、八の字、宙返り、そして水平最大速度飛行。速度は560kmを越えた。 やがて満星は地上に戻る。着陸も問題なく、ゆっくりと舞い降りるとわずかな滑走でぴたりと止まった。 操縦席で肩を震わせていたパイロットは後部座席に振り返って叫んだ。 「こんな手荒く凄い飛行機は初めてだ!お前達は天才だ!文句をたれるやつがいたら俺がぶん殴ってやる!」 試験官たちも走り寄って来る。みな知的好奇心と尊敬の色を浮かべている。 金正進は泣いた。空を想う者の気持は同じだった。 「マンセ〜!マンセ〜!」遠くでスタッフ達が両手を上げている。それを聞いた日本人達は彼らが喜んで機体名を呼んでいるのかと思っていた。だがそれは彼らの禁じられた民族言語での感嘆を表す言葉であった。 |
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| かくして本機は二式艦上爆撃機満星として採用されることになった。しかし十三試艦上爆撃機の開発も成功したため、本機は補助爆撃機として空冷エンジンのラインでの生産が可能な機として量産された。 実際に生産ラインにつくとエンジンの供給が少ない彗星の穴を埋める機体として満星は海軍の主力爆撃機となる。 また、設計や形状はこっていても、仕組みに難しいところが少なく、手馴れた空冷エンジンであるため現場では彗星より満星のほうが喜ばれた。 やがて満星の名は海軍の整備士やパイロットの間で全面支持の代名詞になりたとえば 「パインの新しい女給だけど眼鏡の娘と巨乳な方とどっちがいい?」 「俺は眼鏡のほうが満星だなぁ」 などという風に使われるようになった。 これは戦後も技術者の間で伝統的に受け継がれ、今日ではインターネット上の専門用語として全面支持の意味で使われている。たとえば 「おたくインテル派?AMD派?」 「漏れはAMDマンセーだなぁ」 というようにである。 こうして京城飛行機は一躍大企業になる。国からの増資を受け工場は拡大しかつての彼らの首都に莫大な雇用をもたらした。しかしそれでも生産は追いつかず中島や三菱でも生産された。 しかしたった1機種の機体で戦局が変わるわけでもなく、次第に戦線は後退やがて日本本土は空襲に見舞われる。 するとB29の爆撃圏外での航空機工場として京城飛行機の重要性はさらに高まる。本土から疎開してきた他社の日本人技術者もここで研究をおこない、開発生産を行った。 満星も対B29用に斜銃を積んだ満星一二型丙や爆弾倉に30mm機銃つんだ満星22型などが作られた。またキム兄弟も新型の戦闘機の開発にいそしんでいた。 しかし沖縄の陥落後恐るべき事態が発生した。この日本の聖域といえる京城飛行機を壊滅せんがためにカーチス・ルメイひきいる爆撃団がマリアナより沖縄に進出してきたのである。 そして1945年7月10日ルメイひきいる334機のB29が京城飛行機の敷地並びそこに労働力や部品を供給している市街全域を夜間低空焼夷弾爆撃により燃やし尽くしたのである。 いわゆる京城大空襲である。このためこの歴史ある町は跡形もない焼け野原と化しそして韓民族航空技術者の梁山泊も多くの技術者と共に灰塵と化したのである。 | ||||||||
新たなる恨 戦後朝鮮半島南半分はアメリカ軍に占領された。彼等は言った。 「解放者である」と 「女子供ごと町を焼き払っておいてナニが解放者だ!」 爆撃により負傷した金正進を見舞っていた金日守は叫んだ。彼はその日たまたま市外に外出中だったため無傷であった。 「進坊、俺には新しい恨ができた。俺は北にいく。北にはソ連軍がいる。俺はソ連について憎いアメリカをやっつける。それに北にはあの伝説の将軍が帰ってきたらしい。将軍に飛行機をもたらしてウリナラの地からアメリカを蹴落としてやる。お前はそれまで待っていろ」 これが金正進が見た兄の最期の姿であった。 金正進は完治後、新制大韓民国の空軍の将校として迎えられた。韓国人初の航空機開発経験者として、パイロットしての経験も含め彼は新制韓国空軍の中核をになう立場になったのである。 その頃にはアメリカの軍政も一段落し祖国は独立への道を歩み始めた。 北に行った兄はどうなったのか分からない。 南北の対立は深刻化している。やがてその対立は戦いとなった。 朝鮮戦争の勃発である。この戦いの中で大韓民国空軍大領金正進は新制韓国空軍の部隊を指揮し懸命に戦っていた。 やがて戦局は有利になりそして膠着する。 その頃米海軍は日本海に空母を浮かべ北の地を爆撃していた。彼らは北の海軍をなめきっていた。せいぜい魚雷艇くらいしかないのだから当然であろう。わずかな駆逐艦以外に護衛はいない。 また航空兵力も対艦攻撃などできそうにも無い。Migは恐るべき戦闘機だが戦闘機では船には何もできなし、第一足が短くてここまで飛んではこれない。航空脅威は無いのだから上空支援は不要だ。 本日は北のトコリの橋を爆撃するためパンサーはほとんどが出撃しており、上空直掩部隊はバーンサイド大佐ひきいるわずかな部隊しかいない。 むしろ対空機関砲に被弾した機体を収容できるようにモット近づこう。 艦隊は北の地が肉眼で見えるところまで進んでいた。 そのときバーンサイドは北の海岸の山陰からものすごいスピードで接近する機体を見て慄然とした。あれは?ソフィー?(満星の米コードネーム)違う。少し機体が長い。それにあの特徴的な巨大なプロペラが無い。機体後部から火を噴いてる。ジェット機だ。 後に東側のベストセラー攻撃機となるキミルジュ設計局「Kim-11」のデビューであった。16機のKim-11はダイヤモンド編隊を組んで空母アンティータムに向かって海を渡り始めた。 「奴等にここを渡らさせるな!」 バーンサイドは味方を引き連れてKim-11を目指す。 しかし直線翼のパンサーでは後退翼のKim-11に追いつかない。 「くそ!」 やがて16機のKim-11はアンティータムの真横から接近し直前で16発の800kg爆弾を投弾すると編隊を組んだまま艦の上をフライバイしていった。高速のため弾道軌道に似た放物線を描いた16発の爆弾はそのすべてがアンティータムの舷側に命中。艦内で炸薬に化学反応をさせた。 アンティータムは木端微塵に吹き飛んだ。 バーンサイドは目的を果たしえずにアンティータムを失ったのである。 後に西側諸国はKim-11に「アリラン」と言うコードネームを与えた。 キミルジュ設計局長金日守は一躍北のヒーローになる。彼には人民航空英雄、人民技術英雄、名誉人民空軍大将、朝鮮民主インテリゲンチャ同盟代表などの肩書きが与えられ、西側からは赤いゲーリングとまで呼ばれるようになった。 休戦後もキミルジュ設計局は東側の得にソ連に航空機を供給する重要な外貨獲得源として北で重宝された。このため粛清を逃れ金日成一族以外で唯一建国から生き残った古参幹部となる。(朝鮮労働党の宣撫委員会は金日成と金日守は遠い親戚であると発表している) 1970年代に入るとキミルジュ設計局は航空機だけでなく空対艦ミサイルも開発AS-15「クムガンサン」AS-19「キムチ」などを開発している 金日成亡き後も忠実に金正日に遣え金正日をして「私の空のおじさん」と呼ばしめるほどの地位についていた。 ※コラム:キミルジュ設計局の機体とNATOコードネーム 「兄ちゃん・・本当に赤になっちまったのか。」 大韓民国空軍大将金正進は嘆いた。いまや朝鮮半島の空はたった一組の兄弟が38度線を境してにらみ合う形になったのだ。 今では朝鮮人民空軍次帥、人民武力部航空司令、朝鮮工業委員会委員長、朝鮮民主インテリゲンチャ総同盟代表、祖国統一委員会副主席と金日守は押しも押されぬ北のNo2であった。 彼はソ連時代に交流があったソ連空艇隊の友人の妹と結婚し、(病死したらしい)その友人を呼んで人民武力部航空隊内に特殊部隊まで作らせているらしい。 設計のほうはさすがにもう一戦を退いている。 「もう俺たちは分かり合えないのかな」 金正進はため息をついて外を見た戦後焼け跡から復興した京城はいまや韓国の首都ソウルとして近代都市になっている。ここを守るのが俺の仕事だ。もう2度とここを焼け野原にしない。たとえ相手が兄ちゃんでもだ。 この見方はある意味正しく、ある意味では間違っていた。そう2004年7月28日までは・・・ 2004年7月28日核査察を拒否した北朝鮮に対しアメリカ軍は第7艦隊を黄海に派遣して威嚇行動を取った。この段階では米国は示威が目的であり本格的な武力衝突の準備はまだ十分ではなかった。 北朝鮮にアメリカの意向を見せなくてはならない。アメリカは空母キティホーク、インデペンデンスは航空機でのデモフライトを行い発着を繰り返した。この日の風向きは北東。つまり北朝鮮側から吹いていた。すなわち空母は北朝鮮に向かっている。 護衛には政治的理由から海上自衛隊のひえいと第4護衛隊いなづま さみだれ、あけぼのがついていた。 しかしこの時点でまさか北朝鮮が反撃に出るとは夢にも思ってなかったのである。 民間機が多く飛ぶこの海域ではイージス艦は誤認発射を恐れオートスペシャルは切ってある。 ひえいのフェイズドアレイレーダーは怪しげな光点が急速に北朝鮮から接近してくるのを発見。警報を出すと共に護衛艦隊司令部に緊急報告を行った。 実は護衛と言っても指揮権問題が絡み、政治的配慮から実際は12000kmも離れた海域から空母を追いかけていただけであり。連絡は横須賀の米海軍第7艦隊司令部を介して行うことになっていたのである。 警報は自衛艦隊司令部を通して海上幕僚監部に通達。そして海上幕僚長に届いた。この時点で3分が失われた。 海上幕僚長は統合幕僚会議議長、長官官房に直ちに報告。情報の確認をとらせると共に防衛庁副長官・長官政務官・事務次官・防衛参事官と電話で根回しを行う。ここで7分が失われた。 そのころひえいのフェイズドアレイレーダーは光点からさらに複数の光点が伸びるのを確認。 ミサイル発射と判断したひえい艦長は自衛隊と米海軍の直接の連絡は禁止されているため携帯電話でキティホークの艦長を呼ぶ。 しかし圏外であった。 根回しのまとまった各次官は直ちに米軍に通報すべく防衛庁長官を呼び出す。しかしその頃彼はCNNの取材を受けていたため連絡がつくまで5分かかった。 この頃になると米軍の通常レーダーでもミサイルを確認。コンピューターはAS-19「キムチ」であると判断。直ちに迎撃に入る準備を警告。 しかし残された時間は24秒であった。 12秒後アメリカ大使館から第7艦隊司令部に警報が届いた時キティホークとインデペンデンスはファランクスシステムで絶望的な戦いを行っていた。 突如2つの閃光が空母のほうからすると次の瞬間猛烈な衝撃波がひえいをおそった。そして次に見えたのは日本人のトラウマとなっているあのきのこ雲2つであった。 その頃一昨日から平和訪問団を乗せ那覇港に停泊していた万景峰号から一筋の煙が嘉手納のほうへと飛んでいった。きのこは嘉手納にも生えた。 偉大な指導者金正日は世界に2回目の肉声を伝えた。朝鮮半島からすべての外国軍の撤退、及び周辺諸国の航空機、大型軍艦等侵略的兵器の放棄を条件にするなら我々もミサイルを廃棄する。そうでなければ在日米軍はならびに共和国南部に不当に駐留している米軍に空からそれを渡すことになるであろう。 が、先に動いたのは韓国軍であった。この情報は直前になって大韓民国空軍大将金正進を名指しして送られてきたのである。その末尾にはこう書いてあった 「進坊、もう飴玉は送れないよ」 誰からかは明らかであった。 韓国軍が休戦ラインを突破すると同時に北朝鮮内部で人民武力部航空隊特殊部隊によるクーデターが勃発。人民保安省は破壊され、労働党の幹部の主なものは逮捕拘束された。 保安部のくびきから解き放たれた朝鮮人民軍は一斉に韓国軍に降伏、あるいは一緒に歩調を取り北へ進撃した。 しかし金正日とあのおぞましいテポドンミサイルを持つ秘密基地は見つかっていない。その場所を知っているのは金正日とその側近そして朝鮮人民空軍次帥金日守だけである。 再び金正進を名指しした無線が届いた。数字を述べている。ロンドン郊外のグリニッジと赤道を基準にした座標の数字だ。何を言ってもそれしか答えない。 金正進はまた兄と理解しあえた事が分かった。 その座標は全韓国空軍により爆撃された。その中には86発のバンカーバスターが含まれていた。 24時間で北朝鮮全土は解放された |
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希望の星に満ちた空 一年後、ソウル。 祖国統一1周年記念日。空の上をリストアされた満星が飛んでいた。 韓国人が始めて造った飛行機としてプサンから飛び立ち新義州までのデモフライトを行うものであった。 思えばアレが独立した祖国を横切るのはこれが初めてではないだろうか。 解放後受け取った兄からの置手紙を思い出す。 「昔、恨を忘れた時。俺は自由になれた。なのに俺は恨を思い出し自由を失った。」 俺たちが恨を忘れられた飛行機が今祖国を横切ろうとしている。 「おじいちゃんのひこうき」 膝の上で孫娘が指をさす 「そうだね」 金正進はやさしく答える。 「わたしもね、ひこうきつくるの」 孫娘が答える。 「ひこうきでね、にほんや、あめりかや、ろしあや、もときたのおともだちたちとおそらにいくの。おほしさまにいくの」 金正進は空を見上げて兄の言葉を思いだした 「空の上には恨を忘れられる何かがある」 そうだ、もうこの子達の世代には恨はない。恨で飛ばす飛行機は無いんだ。彼女達の行く空はすべて希望の星で満ちているのだから。 満星は蒼空の中を悠然と飛び去っていった。 福田定一著 「空の家系」より抜粋 | ||||||||
| 作者たわごと どうもでした〜。島風高雄です。 せ、戦後編のほうが長くなってしまった(^^;; マンセー=満星でギャグかな?って引っ掛けておいて「希望の星に満ちた空」と言う落ちを狙ったものなのですがいかがでしたでしょうか。 無論元はアレです(w)御大唯一の完結したお話。守と進です。皆様はどのあたりで気付きました? 今回はかなり危険なねたなので表現があまりおかしくなりすぎないように気をつけました。私は差別が大嫌いです。エスニックジョークならまだしも真顔で罵倒したり 馬鹿にしたりするのは本当に嫌な気持になります。私の夢はいつか両国が独仏のようにエスニックジョークは飛ばしても下品な罵倒のしあいにならない関係になることです。 飛行機のはなしとして、今回の基礎になったのは実は雷電です。アレをどんどん変えていったら先尾翼機になってました(w) 実はこの御代の提示の序盤、無難案と過激案があったのですが、護搭載の中嶋機はあたりまえすぎるデザインになりそうだし、掲示板に次々よさそうな案が出てくるので無難案はどれもみな他の方と被りそうになってしまいました。そこで温存していた過激案、空冷先尾翼牽引式を出すことにしました。(最後まで残ったもうひとつは栄2発の串型機ですが足が長くなりすぎそうだったので没となりました。これも過激案ですが…) しかし元が元だけにこれ戦闘機のシルエットだなぁ 重心位置などにはかなり気を使ったのですがいかがでしょうか? 飛ぶかな・・・・・ 皆様のご批判ご意見をお待ちしております。m(_ _)m 2002・9.28 島風高雄 |