中島14試艦爆 D4N「新星」

14試艦爆



諸元    
      
全長   11.1m
全幅   12.5m
自重   2,900kg
全備重量 4,400kg
発動機  中島「護」11型
      空冷星型複列14気筒、離昇出力1,870hp(1,600hp/4,900m)
プロペラ 直径3.5m(4翅)
最高速度 529.4km/h(4,900m)
     480.5km/h(SL)
巡航速度 392.1km/h
海面上昇率1,075m/min
航続距離 1,400km(爆装500kg、正規)
      2,010km(爆装250kg、過荷重)
武装   20mm機関砲×4(翼内)
      7.7mm機銃×1(後席旋回)
武装   500kg爆弾×1、または
      250kg爆弾×1(300リットル増槽×2装備)
乗員   2名



軽量小型の機体に大出力発動機。
機体の軽量化を計る事で、最大の空力抵抗源である主翼の小面積化により高速力発揮を試みた。
主翼折畳機構の廃止を目論んだ小面積の主翼は結果的に高翼面過重を招き、離着艦補助のために二重間隙式フラップ(ダイブ・ブレーキ/空戦フラップ兼用)、前縁スラット、および全可動式水平尾翼の使用を余儀なくされた。


※外翼部に翼面一体化スポイラーを装備。ダイブブレーキの補助として使用する。




       
航空技官Yつまりだ、高速化のために大出力発動機の使用が不可欠だったんだが、
      大出力発動機の大重量ゆえに、機体の軽量化も限度があったわけだ。
航空技官N艦爆としての機体強度に支障の無い範囲で軽量化しても、
      翼折畳機構の不要な翼面積の範囲内で低翼面過重を成立させるのは無理だったんだね。
航空技官Y結果的に高揚力化装置を採用せざるを得ず、若干の重量増加を招いてしまった。
      爆弾倉も採用してないし、確かにコンパクトで頑丈な機体ではあるんだけどね。
航空技官N一番気になるのは・・・・なんでこれ、固定脚なの?
      高速化のためにかなり無茶な翼面積削減までしてるのに、これだと台無しだと思うんだけど。
航空技官Yああ、燃料容量と軽量化のためだね。
      主脚収納機構を廃止すれば、その分軽くなる。
      軽くなった分、主翼面積が削減できるわけだ。
      固定脚でも、空力設計を慎重に行なえば、かなり低抵抗には出来るはず・・・・との目論見だったんだ。
航空技官N軽量化と空力を天秤にかけて、軽量化を優先したんだね。
航空技官Y軽量化によるメリットは、翼面積削減だけでなく、他にも効いてくるからね。
      もっとも軽量化云々は後付で、最大の理由は燃料容積確保だったらしい。
航空技官Nえと・・・・主脚収納部の容積を燃料槽に充てているってこと?
航空技官Yまあ、そういうことだな。
      主翼を小面積化した分、容量が確保できなくなって、ついには主脚を外に追い出してしまった、と。
      結果的には軽量小型かつ頑丈な機体構造に貢献してるので、
      けっして悪い判断ではなかった・・・・・・と思う(汗)
航空技官N主脚収納機構とは言え、稼動部が減れば、それだけ整備の手間も省けるもんね(笑)
航空技官Yもともとが高速化を追及した機体だったもんで、固定脚化による速力低下を見込んでも、
      要求性能をクリアできる見込みがあったんだね。
航空技官Nそれなんだけど、固定脚化による空力損失で、ほんとーに要求速度クリアできる見込みはあったの?
航空技官Yそうだな・・・・・・例えばだ。
      時系列的には前後するけど、例をあげてみよう。
      零戦/二式水戦、強風/紫電の例だ。
航空技官Nフロート付による空力損失の例示?
航空技官Yそう。
      この場合だと二式水戦の速力低下は約16%、強風の場合は約17%と計算できる。
      強風から紫電へは、発動機出力の向上分も考えないといけないから、
      だいたい16%と考えていいと思う。
航空技官Nでも、フロートだよね。
      固定脚ならもう少し空力損失は小さくならない?
航空技官Yそれじゃあ、もうひとつ例示を。
      これも時系列的にはわずかばかりあとなんだが、
      昭和15年、キ43(一式戦/隼)の試作7号機は、
      軽量化による格闘性能向上を狙った試験のために、固定脚化されている。
      この場合の速力低下は約10%なんだ。
航空技官Nうにゅう。
      そうすると、この14試艦爆も、固定脚化による速力低下は10%程度を見込んでおけば大丈夫だね。
航空技官Yつまりだ。要求速力500km/hを達成するためには、
      収納脚と仮定した場合の設計で555km/h突破が必要だね。
      さて、大丈夫かな?
航空技官Nあのね、大出力発動機と高翼面過重の組み合わせだもん。
      これで550km/hも出せないようなら、とっても『へなちょこ』だと思うの。
航空技官Y言うな(泣)
      大陸の向こうの西の端の島国で気を悪くする設計者が出るかもしれないから。
航空技官Nほえ、なんのこと?
航空技官Y・・・・・・・・悪意がないなら、まあ良いか。
      固定脚化による空力損失を見込んでも、速力性能が達成できる見込みはたったわけだ。
航空技官Nうん。
      だったら固定脚化のメリットも生きてくるよね。
      爆弾倉も無いことだし、軽くて頑丈な機体が作れるよ。
      艦爆としての機体強度を考えると、結構大きい利点だね。
航空技官Y複雑な主脚収納機構の設計に喰われる時間も節約できる。
      それにだ。収納スペースを考慮しなくても良いから、少々脚が長くなっても問題ない。
航空技官Nえと・・・・つまり、大直径プロペラを遠慮なく採用できるってことかな?
航空技官Yそういうこと。
      主脚固定化による空力悪化を補える方策は、そこにもあったね。
      そんな訳だから、固定脚化を提案しても・・・・
設計主任A了承。
航空技官Yと、まあこういうわけで。
航空技官Nでもね、固定脚の艦爆が主力艦戦の零戦21型より高速なのは、とっても理不尽だと思うの。
航空技官Y巡航速度でも零戦より高速なんだな・・・・(汗)
      
     
航空技官Nところでね、防空任務での運用は大丈夫なの?
      高翼面過重で、運動性はそんなに良く無さそうなんだけど。
航空技官Y二重間隙式フラップを空戦フラップ代わりに使用するからね。
      見かけの翼面過重ほど、運動性は悪くないよ。
      それに防空なんだから、高速力を生かしたインターセプトでも良いんじゃない?
航空技官Nそれって、14試局戦・・・・中島だから、陸軍の二式単戦?
      要求は良好な運動性能なんだけど、本当にいーのかな・・・・?
航空技官Y良いのだ。
      武装の要求を見てみろ、20oだぞ。
      これはどう見てもインターセプターとしての要求だ。
      つまりは、「インターセプターとしての範囲内で良好な運動性」を保持できていれば充分なんだ。
航空技官Nそーなんだ。だったら固定脚でも何でも、零戦より高速でも問題無しだね(をぃ
      
      
航空技官Y小型軽量、丈夫な機体。
      まあ悪くない機体だよな・・・・・・だから、多少の不具合は目をつぶっても良いよな。
航空技官Nそうだね。
      大出力発動機のプロペラ後流を垂直尾翼のオフセットでかろうじて回避してるとか、
      機首が太くて長いから離着艦時の前下方視界が悪いとか、発動機の護の不調とかなんて、
      些細な問題だよね(笑)
航空技官Yごめんなさい。私が悪かったです(泣)