本機の特徴を一言で言えば、『普通』である。
これは実験機的要素の強い13試艦爆を補填する目的の計画であった為、冒険的なことや複雑化
することはなるべく避けるという方針からきたものだった。
この競作に参加した愛知にとっては、正当に九九艦爆の後継機という意識で開発が進められた
のは想像に難くない。
まず問題となったのは爆弾倉を設けるかどうかだった。
この時期に造られる艦爆としては当然設けるべきだろう。爆弾搭載時の飛行性能に大きく影響
するからだ。そのぶん、当然胴体が太くなる。構造的にも複雑化するので生産性の面からも
逆に爆弾倉を設けなければ、胴体を細くまとめられるので、爆弾が無い状態での運動性は向上
し、防空任務には都合が良い。
この問題は、発動機に火星が選択されたことにより必然的に胴体が太くなり、どうせ太くなる
のなら爆弾倉も設けてしまえということでなしくずし的に解決してしまった。
爆弾倉の採用により、必然的に主翼は中翼形式となった。
主脚は九九艦爆では固定脚だったが、さすがに今回は引込式にした。
主翼が中翼になって脚が長くなった為、引込脚が始めてだったこともあり強度には必要以上に
気を配ったという。主脚を短くする為に逆ガル翼という案も出されたが、補填機としての方向性
からこれは見送られた。
主翼には可能な限りセミインテグラル式の燃料タンクが組み込まれた。
機銃は主脚が長いために、脚の内側に設けられた。
爆弾倉には500kg爆弾か250kg爆弾が搭載可能で、当然のことだが、500kg爆弾を積んだからと
いって扉が閉じなくなることなどありえなかった。
翼下には落下タンクか小型爆弾の装備が可能だった。
ダイブブレーキに関しては、翼下に張り出す九九艦爆の方式では通常飛行時に抵抗が大きい為、
別の方法を取ることとした。
13試艦爆の方では補助フラップをダイブブレーキとしても利用するという方法をとっており、
この方法だと、飛行時にはフラップ同様に翼と一体になっていて、その意味では優れていたが、
こちらはそもそも補助フラップが無いのでフラップの前に別にダイブブレーキを設けた。
補助フラップのように連動しているわけではなく独立した単純なもので、通常飛行時は同様に
畳まれた状態になっている。
このダイブブレーキは1枚板ではなく、簀の子のような構造をしているが、これは1枚板だと
激しい振動を起こすであろうと考えられたからだった。
こうして、特に目新しい技術を採用しないで開発された機体は、昭和15年の後半には早くも
初飛行に成功した。
その後、本格的な各種テストが行われ、いくつかのトラブルとその対応を経て、若干の改修を
加えた機体の飛行特性は、基本的には概ね良好だった。
火星一一型を装備していた試作1号機は500km/hには若干届かなかったが、その後に発動機を
火星二五型(1,850hp)に換装した改良型では、最大速度は512km/hに達している。
性能的に特筆すべき点は無い、ある意味平凡といっていい機体だが、その開発経緯からみても
それは妥当といっていいだろう。
愛知 十四試艦上爆撃機
要目(試作1号機)
全長 :10.5m
全幅 :12.8m
全高 : 3.8m
自重 :2,738kg
全備重量:4,236kg
発動機 :火星一一型 空冷複列星型14気筒(1,530hp)
最大速度:486km/h
航続距離:
爆撃正規 1,512km(500kg爆弾×1)
爆撃過苛 2,048km(250kg爆弾×1)
武装 :
前方固定 20mm×2
後方旋回 7.7mm×1
乗員 :2名
初飛行 :昭和15年10月
準「ふぅ…」
司「…だから、いきなり溜息から入るなよ」
準「なんで私がこんなこと…」
司「こんなこと言うな!
全くうちのやつらはなんだってこう…どいつもこいつも」
準「…私の知ってる司はペドフィリアじゃなかった」
司「関係ねーだろっ!!
っていうか今も違うわっ!」
準「……ムキになって否定するところが怪しい」
司「違うっつーに。つーか、ホントに関連も脈絡ねーだろ」
準「寛さんが、とりあえずはそう言えと」
司「ヤツか! あの野郎か! アイツ、いつか泣かす!」
準「司には無理だと思う」
司「って、おまえも素直にいうこと聞いてんなよ!」
準「二千円で」
司「金かっ! しかも二千円!」
準「アルバイト。ここと同じ」
司「むう、そう言われると、準だしなあ…」
準「……その言葉はかなり不本意なんだけど。なんで今更私達が?」
司「…絆箱記念」
準「……ふぅ」
司「だから溜息をつくなよ」
愛知 十四試艦上爆撃機
司「で、この機体について説明するわけだ」
準「でも、あんまり言うこと無い」
司「まあ、上の解説にもある通り、普通をウリにした艦爆だからな。
ただ愛知にとっては引込脚も爆弾倉も初めての試みだったんで、
それなりの苦労はあったらしい。
……あとは…おまえも金貰って引き受けた以上は何か考えろ」
準「う、まだ貰ってないけど…」
そう言いながらも、準もなんでも屋としてのプライドがあるのか、少し考えた。
準「……テスト中のトラブルとか」
司「それは……それもいいか」
司「トラブルはいくつかあったが、その最大のものは試験中に
強度不足でダイブブレーキが吹っ飛んだことだな」
準「それは、大事なんじゃ」
司「うむ。おおごとだった。
幸い、この時は墜落はしなかったんで、調査及び対応は迅速に行われたんだが」
準「……愛知は九九艦爆の時にも…
司「ダイブブレーキの取り付け位置とかで苦労してた実績(?)があるな。
この後、ダイブブレーキは少し小型化っていうか切り詰められて、
同時の畳んだ状態での抵抗を減らす為に表面を整形されてる。
主翼からはみ出してでこぼこしていたのを、ちゃんと翼に埋め込まれるようにしたんだな。
準「簀の子状の抵抗板というのはドイツのJu88も採用してた」
司「…そうだ」
ちょっと驚いた。
司「日本でも確か陸軍の試作機でこの方式だった」
準「……ちなみに…どちらも双発機」
準がこのての話題に詳しい、ということは考え難いから、今回の為に少し調べたのだろう。
マメというか、律儀である。
司「個人的には米海軍のドーントレスのやり方が好きなんだけどな。
フラップ自体の能力の問題はあるかもしれないけど、
ダイブブレーキと兼ねてしまうのが一番無駄が少ない気がするし」
準「…そう」
でも興味は無いらしかった。まあ、そんなもんだ。
全くわかってないまま報道を行うTVのアナウンサーなどよりは余程マシだろう。
司「機体の改修は何箇所かあるが、垂直尾翼の面積を増やした他は、
抵抗を減らすように整形したりと細々としたことがほとんだな」
準「1年ちょっとで初飛行って、結構早いのかな?」
司「まあ、あんまり冒険してないし、問題が出るのは初飛行の後だからな。
それも、この後『流星』の開発があるからあまりのんびりしてられないんだが」
準「そっちか…」
司「他に言っとくことあったっけ?」
準「えーと、……図の方は、改修されていない初期の機体に、テストの為に
エンジン換装をしたもので、正式な型番は無い…ってあるけど」
司「ああ、火星二五型を装備した機体なんだな。推力式の排気管になってるし。
なんでわざわざ初期型にって気もするが」
準「これは私の推測だけど」
司「ん?」
準「絵の発注のみ先に行ったせいで、いろいろと設定上の不整合がおきたのではないかと…」
司「…やな推測だな」
|