ブルンヒルデ戦車の物語

ブルンヒルデ1938


@スペインの教訓
はっきり言って、1号戦車は操縦練習用、20mm砲を搭載した2号戦車も
ソ連製T-26にまったく太刀打ちできなかった.
民族の優劣どうこう以前の問題であって、戦車は一に火力、二に機動力と
防御、これらが高度に調和していないと役にたたないことを認識したい.
 
---そして、ブルンヒルデ・プロジェクトがブローム・ウント・フォス社を中心に、
ユンカース社、国民車製造会社の協力体制のもとでスタートした.
 
Aエンジン開発サブシステム
ハイラックスサーフやパジェロを運転した方には理解いただけると思うが、
あのような図体で2.7-3リットルガソリンエンジンのトルクの細さでは、とても
快適なドライブにはなり得ない.
戦車はそれらよりも10-20倍は重い. この場合、中低速トルクの太い、ディーゼル
エンジンが適切なのだが、驚くべきことにドイツ陸軍車両には、戦車に使えるような
ディーゼルがなかった.
 
そこで、Bv222飛行艇で採用する、ユンカース製JUMO207Cディーゼルを戦車用に
転用改造することになった.
これは液冷・直列6気筒で、定格出力1000馬力のものを850馬力にデチューンする.
 
Bシャーシ開発サブシステム
エンジン配置は、乗員保護の視点もあり、フロントエンジンという形式が早くから
決まっていた.また、新兵器登場のテンポが、より早くなることが想定され、その都度
新シャーシを開発していたのでは時間がかかりすぎる.
それらを解決するために、パワートレーンは、フロントエンジン/フロントドライブとする.
こうすれば、車体後半部の変更が容易になる.
 
Cトランスミッション開発サブシステム
ミッションは前進5速、後進1速で、2-5速間には同調装置が付けられることになる.
 
---こうして、1938年も暮れる頃、試作車両が出来上がった.
(ここで、画像kpz1938を掲載してください)
当時は、2号戦車C型が大量に就役し、本格的な中戦車・3号は37mm砲を搭載した
D型が量産に入ろうとしていた.
そんな中、長砲身(60口径)50mm砲の搭載要求は画期的ともいえなくもないが、
ブルンヒルデ・プロジェクトが目指すものは、そのような目先においたものではない.
 
とは、いいつつも、陸軍のコンペを断るわけにもいかず、次のような仕様で臨んだ.
車体長:6.6m(パンターより0.3m短)
車体幅:3.5m(パンターと同等)
車体高:2.7m(パンターより0.3m低)
車両重量:30トン
機関:JUMO207改・直6ディーゼル850馬力
装甲:前面傾斜板/砲塔前半・60mm、他は15〜30mm
兵装:主砲・60口径50mm砲(76発搭載)、7.9mm機銃x2、他、砲塔後面に、機銃眼あり
最高速度:65km/路面
 
エンジンが大きく重く・さらに車体全面が傾斜しているため、車両のほぼ半分を
パワートレーンが占めている.
重心がやや前部にあるために、車体を短くできない上に、最初から重いディーゼル搭載
を企画したため、キャタピラ幅が広く、それらをささえるために二重転輪を採用したので、
装甲を対45mm砲弾にとどめても、どうしても30トンをきることができない.
 
砲塔は、前部が鋭くとがり、ここに駐退器が納まる.そして幅広く扁平で、ターレットリング
は直径2mに達している.乗員5名のうち、3名は砲塔に着座するが、天地が薄いために、
3名個別にハッチが用意されている.
 
操縦士・通信士は、車体内に着座する.念のため、画像ではアンテナが短いが、
これは画像サイズを小さくするためで、実際はもっともっと長い.
 
大出力ディーゼルの威力は格別で、加速性・不整地走行性に優れ、かつ、パワーに
ゆとりがあるために、故障も少ない.
 
また、平面・面積の大きな砲塔は、将来の発展を見越したもので、その搭載能力は
50mm砲などにとどまるものではない.
 
---その後、東部戦線での戦訓により、兵装・防御ともに重装備の変更仕様が要求され、
さっそく原型を改造、1941年年頭には試作車両が出来上がった.
ブルンヒルデ1939
1941年は、東部戦線の戦訓に基づく、新型車両開発が急がれた年である. 史実では、ダイムラーベンツ社のパンター試作車(VK3002)、 MAN社の5号戦車パンター(Sdkfz171)、さらには、パンターでも不十分と考えたのか ヘンシェル社のVK3601試作車(後のティーゲル)などの開発準備が急ピッチで 進められる・そんな頃だった. ブルンヒルデは、そんな中にあって、開発が先行した利点を擁して、選考に臨む. 車体長:6.6m 車体幅:3.5m 車体高:2.7m 車両重量:34トン 機関:JUMO207改・直6ディーゼル850馬力 装甲:全面傾斜板/砲塔前半・80mm、他は20〜40mm 兵装:主砲・48口径75mm砲(64発搭載)、7.9mm機銃x2、他、砲塔後面に、機銃眼あり 最高速度:65km/路面、50km以上/不整地 ---ブルンヒルデが実際に採用されたかどうかは解らない. だが、緊迫を増していく 戦況は、より強力な戦闘車両の投入を要求するはずで、その場合に、クイックに対応 可能なF/F方式シャシーが功を奏すことになるだろう. ブルンヒルデ1943
ブルンヒルデが1943型に発展するとしたら、こんなカタチになるのだろう. 車体長:7.4m 車体幅:3.5m(原案通り) 車体高:2.7m(同)・ただし、砲塔の長さも0.6m延長拡大 車両重量:48トン 機関:JUMO207改2・直6ディーゼル1000馬力 装甲:全面傾斜板/砲塔前半・100mm、他は30〜60mm 兵装:主砲・128mm砲(36発搭載)、7.9mm機銃x2、他、砲塔後面に、機銃眼あり 最高速度:55km/路面、45km以上/不整地