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1930年10月10日
給k湾造修所設計部 能登広重
駐日イブクーロ大使館付武官 ****殿
先日、依頼されたる警備艦に関する設計・建造見積もりを下記に記します。
設計社 給k湾造修所 設計部 (基本設計/商船部分)
日本海軍艦政本部 (改装計画/兵装部分)
建造所 播磨造船 (船体建造担当)
呉海軍工廠 (兵装工事、公試担当)
建造開始日時 起工 1931年 3月中旬
進水 1931年10月末
改装開始 1931年11月中旬
竣工 1932年 5月(公試込み)
回航・引渡し1932年10月(イブクーロ国内にて引渡し)
主要目
基準排水量 5,000トン
公試排水量 7,200トン
水線長 109.5メートル
幅 16.2メートル
平均喫水 6.5メートル
主機 三連成機関 2基2軸 6,500馬力
蒸気タービン1基1軸 13,000馬力
主缶 重油専燃缶 3基
出力 巡航時 6,500馬力
最大時 19,500馬力
速力 最大 25,0ノット
燃料搭載量 重油 1,000トン
航続力 10ノットで、12000浬
(8週間の哨戒に耐える程度の艤装を有する)
主兵装 14cm連装平射砲 2基(防盾式)
8cm単装高角砲 3基
装甲 特になし
艦橋、砲座及び機関室側壁には5mm鋼板を適時取り付ける。
乗員数 運行要員 45名(商船運航として最低限必要なもの)
追加要員 65名
計 110名 |
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特記事項1)弊社案の解説
弊社の提案する警備艦は、民間優秀船を改装せる仮装砲艦案である。
今次計画において貴海軍が必要とせる艦艇は、平時においては領海警備、海難救援を為し、戦時においては航路警備、長期哨戒を実施する警備艦と理解している。
また、内々ながら建造、維持費の安価な事、同型艦の確実な国内建造を保障しうる事、適度な居住性能を有する事を確認する。
上述の任務に服する艦艇は補助任務艦艇にして、後方の雑務を主力艦隊の手を煩わせることなく、早期に独力で処理する事が望ましいが、個艦能力優劣より、隻数の多寡が問題となるものの、所要数を常時配備する事は財務情勢から難しい事は当方も理解している。したがって、戦時においては停留せざるをえない民間商船を早期に特設艦船へと改装し、その任に当てる事が適当と思われる。
仮装砲艦(巡洋艦)であるが、今次大戦では艦隊戦に参加した例は見られぬものの、大西洋上での本案の最大の利点は、優秀商船を母体とする砲艦であり、英国の洋上哨戒、独国の敵国航路遮断、日露戦役における我国仮装砲艦群の活躍をみるに、使用法さえ誤らずば、相応の任務に耐えれる事は明白である。
また、平時において、民間船の特設艦船への改装要領を纏めておれば、有事の補助艦船群の緊急配備に寄与する事は間違いないと言える。
特記事項2)弊社案の改装要領
本案の、中型民間船(三連成機関)であり、日本国の南洋航路(横浜〜パラオ方面)へ配されたるものを参考に設計されている。昨今登場しつつある内火式機関船は建造費が高価につき、また全船腹数に大しては少数派に属する事、貴国民間造船能力等を加味し、今回は選択から除外した事を明記しておく。
本船の最大の改装内容は、船橋の前後に位置する船倉を上下2段に分かち、前船倉下段に追加缶室(後部)、弾薬庫・燃料油槽(前部)、後船倉下段に追加機械室(前部)、弾薬庫他(後部)を設けている。
追加装備品及び、弾薬庫、糧秣庫などは全て船倉部へ収容しているため、居住区を圧迫する事なく、改装を終了する事ができる。
兵装関係は、船橋直前および船尾楼上に14cm連装砲を各1基、船首楼及び船体中央部両舷へ8p高角砲を各1基ずつ配備している。列強各国の有する条約型巡洋艦と打ち合うには不足であるが、駆逐艦級が相手であるならば相応の門数であると考えられる。
機関系統であるが、最大25ktと要求は、既存の商船用で満たす事は無理であるため、駆逐艦用機関1組を追加配置する事とする。缶・機械は貴国海軍に就役しておる駆逐艦のものを転用することとし、2軸商船設計+追加1軸の計2万馬力弱で25ktを出すものとする。巡航時には、三連成機関2軸のみを用いて10kt航行、8週間の長期哨戒に従事するものとする。
(日本には日露戦役後の義勇艦隊と称する商船を有していたが、設計は巧緻にすぎ、燃費は悪く、建造費も暴騰したため、参考にはしていない)
無線設備は、艦橋を後方に延長し、無線室を強化する。
その他の部分、デリックや船倉部は、急速改装実験の面から不要な工事は行わず、撤去しない事とする。
最後に、当方の試算であるが、他特設艦種への再改装の場合
甲) 兵員輸送船 /兵員250名(空倉部を居住区)及び、15m級艀4隻(船倉上、甲板)
乙) 敷設艦 /繋維機雷350個(空倉部を機雷庫)
へ、それぞれ六週間で完了する見込みがあることを、艤装図(別記)と共に報告する。
![]() なお、本案に関しては、艦政本部および播磨造船の多大な支援をえるものの、予算処理の関係上、本年度中に起工せねば、竣工が大幅に遅れることが見込まれるため、早期の回答を望むものである。
以上
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