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●主要諸元 基準排水量:4785t 満載排水量:6970t 全長:142.8m 全幅:16.8m 喫水:6.5m 機関: MAN2サイクル9気筒ディーゼル2基1軸 13200hp シュルツ・ソーニクロフトボイラー4基/ ゲルマニアギアードタービン2基 2軸 30000hp 最高速度:25.2ノット 航続距離:10ノットにて12500海里 兵装: SkC31 8.8センチ連装砲3基 6門 SkC30 20ミリ機関砲9基 9門 機雷投下軌条 2条 爆雷投下軌条 2条 機雷・爆雷併せて80個程度 ●ドイツ受注の経緯 当時、主力艦としてアイディア頼りのポケット戦艦と、戦艦とは名ばかりな前ド級戦艦しか所有し得なかったドイツ海軍にとっては正面切っての艦隊戦よりは、第一次世界大戦で戦果を実証した通商破壊戦が現実的な戦略であった。 通商破壊戦に求められるのは何よりも長大な航続距離である。商船改造の仮装巡洋艦でも任務にはそれ程事欠かないし、ポケット戦艦でも任務に当たれるものの現状ドイツ海軍の最後の切り札の艦でありそういった任務にあてる余裕が無い可能性がある。できれば専門の艦(Uボートは別として)が欲しい。 しかし折りしも世界恐慌の煽りを受けそういった事に回る予算はない。 そこへ来たのがイブクーロの大型航洋警備艦コンペティションであった。 少なくともここで"長大な航続距離とそこそこの武装を持つ艦艇"の試作が可能であるわけだ。公試で若干の運用データがとれ、さらに外貨が得られる。ウマーな話である。 ●船体 船体構造はコスト削減と居住性を優先した商船構造だが、砕氷船のそれである。頑丈な商船構造を求めてである。そこへ、「折角だから」とトリムタンクも取り付けられ、「どうせなので」と船首に20ミリの鋼板を仕込んでいる。つまり、砕氷可能。 南国に砕氷船を売りつけるのはどうかと思うところだが、折角近くにあるんだし足も長いし長期活動用の装備があるから南極でも観測してみては、というオマケらしい。作った国が国だけに冷房のみならず暖房も完備である。(むしろ暖房のほうが良く効くらしい。) 正面から敵主力と殴りあうことはあまり考えていないので船体に装甲は施されていないが、主砲および機関砲の防盾と艦橋の一部には10ミリの防弾鋼板を使用している。これは通常の警備任務に際して小火器との交戦を考慮したものである。 機関はドイッチュラント級装甲艦の複式ディーゼルを単式に簡易化したものを2基積んでおり、この一軸を巡航用としている。高速度が必要な時はタービンを併用することでなんとか25ノットの速力を確保した。 ●武装・装備 主砲としているSkC31 8.8センチ連装砲は砲身こそハチハチのそれであるが砲架はそれ以上の砲をつむことが可能な設計である。8.8センチが使われているのは前述の通り主力艦としての火力を求められていないことと両用砲として汎用性を狙った結果である。オーダーが数年後であればSkC33 10.5センチが充てられていたであろう。また小口径砲砲でも通称破壊戦に用を為すか、という試験も公試時に兼ねる目的もあった。 20ミリ機関砲が9基と、建造時期と艦形及び用途を考えると多めに設置されているのは対空戦力を重く見たというよりは平時の領海警備任務で不審な小型艦艇への威嚇、制圧を考慮してである。前述の通り機関砲座にも防弾鋼板を用いた防盾を使用したのはそのためである。 大型のクレーンや大型の内火艇は平時の海上での救難や支援活動の為であり、そのためのスペースが艦尾に1段低く広めに設置してあり、また水雷関連の兵装が置かれている。もっともドイツ側設計陣の脳内には航空機用甲板と魚雷設置スペースという脳内設定があったのはヒミツである。 また余裕のある燃料搭載量で簡易な給油艦としても活動することもでき様に給油用のポンプも備えている。 8週間以上という展開期間に対する装備としてはUボートの中でじっと耐えるゲルマン魂のお国の作品らしく真水タンクや糧食庫の大きさで単純明快にフォローしている。つまり、あまり凝った事はしていない。 カール・フォン・ミュラー型とはドイツ海軍内での秘密企画名で公表はされていない。名前を見れば一目瞭然だが、先の大戦での仮装巡洋艦で戦った艦長の名前を頂戴しているのはこの艦の生い立ちの側面を現れである。 暫くドイツ海軍で試験を行うためにも名無しのままにはしておけず、GPS1(大型警備艦)という実に味気の無いナンバーだけが振られている。 ただし、試験的建艦という血が混じったことによって、メーカーであるブロームウントフォスに対して極秘裏にドイツ海軍の研究開発費の中から建造費への補助が行われる事になっており、これが価格競争力を強めることになった。 ドイツ海軍側の二次的目的の為に"公試"と名打った試験運用は長くとられ、延々先送りされた引渡しの直前にまで行なわれた。しかも直前の試験は北海、バルト海で行われ、そのためこの北国仕様の迷彩塗装のまま引き渡されるのである。(苦笑 イブクーロにおける2番艦以降の建造に際しては、ディーゼル機関についてのみはドイツからの輸入が想定されており、タービン機関と搭載機銃に関しては前々年発令後国産化が進められていた1500トン型駆逐艦と同じ物を流用し、砲に関しては2番艦にこれも1500トン型駆逐艦と同じ日本製5インチ砲を装備する事が薦められている。 |