|
王室専用機にかこつけて、ディーゼルエンジンの入手を図ったのは、環礁内の高速警備艇と中戦車のためであったが、思った以上の出力のエンジンを手に入れてしまう羽目に陥った。 ハリコフ鉄道工場製のV12気筒BD-2は、列国の主機出力が150馬力なのに、倍の400馬力も出るのである。幾ら試作を繰り返しても、デフが丸坊主になり、丸坊主にならない出力では25km/hrの速度が保障出来無いのである。 そのため困った匿設行政法人の戦車廠の技師は陸上機械の権威とされるイブ鉄の大胃工場に赴いた。 「米国の機関車はみなディーゼル電気式で、米国ですらギアを作る事が出来ない!」と、米国の機関車工場で修行したイブ鉄大胃工場主任技師の一吠にたじたじとなった。「米国の船舶もギアの製作に困りディーゼル電気推進式で…」と、副手もモジモジしながら脇で小さく話すので、納得して引き下がろうとした所、主任技師が、「ここに試作電動ボギー台車がある。これをもとに無限軌道化をすると良いのだ!金を置いていけ!」と一喝されてしまった。ここで何か抗弁すると蒸気機関車の火室に監禁されそうなので秘匿口座の番号をつらつら口を割ってしまった。 次の週にやっぱり返してくださいと恐る恐る大胃工場に赴くと笑み満々とした主任技師が手招きをして工場の奥に導かれた。すると天井を灰色で側面を赤色でと、イブ色にぬられた「機関車」が鎮座ましましていた。 もう研究費は使われてしまったのだった。 無限軌道を履いたボギー台車も脇にあった。 「ねぇ、BD-2あるんでしょ。ここに嵌め込めばもう完成!」この国の機密はどうなっているのかディーゼルの型番やサイズまで割れているらしい。そういえば確かこの主任技師の子供もうちの子供の小学校の先輩とか聞いたし、最近うちの子供の生傷が絶え無いのは気にしていたのだったが、子供を喋者にしていたとは! 車体の側面と天井は10mmの装甲板2枚の中に5mmの軟鋼の厚板がはいったサンドイッチ構造になっていて底は10mmの装甲板だけである。 運転室の天井にターレットがあり、M-3グラント戦車の砲塔が嵌め込められるとの事だった。機関車としては2基前後につむが、戦車として使いたいときは主機発電機は1基、どちらかの機関室を弾庫として用いる事が出来る。なんなら歩兵の4名も添乗可能である。と説明を受けた。 しかし、我が国は島国で、水運が発達している。その一方で、すこし内陸に入るとタロ芋畑の様な泥濘がつづき、無限軌道に頼り切りになるのは望ましく無いので… 「この前後にラッセル浮船を締結する!」 すると内火艇のように水上航走可能になるらしい。これは中に100本のアルミパイプを溶接の上、封入してあり、竹矢来のように敵弾を避ける機能のある浮船だそうだ。 いろいろな面でこの戦車は、後のスペースドアーマーの先駆と言える。特に成形炸薬弾頭には威力を発揮した。 推進については脇にアウトリガーとして抱えた2本のMk-14に発電した電気を供給し3kt、ハーリーほどではないが自家用カヤックよりは早く、主要3島の間を行き来することも可能。都市戦闘では運河にて、待ち伏せ攻撃も「不可能ではない」との事だった。橋の下で待ち伏せするらしい。 もちろん、「機関車としては400馬力のエンジンで発電し125kw x 2の防水油浸直流電動機で車輪を回す。投炭不要で、優秀、75km/hr」と説明を受けた。平時演習に駐屯地から移動する際は鋪装道路を傷め無い様に「イブ鉄をご利用下さい」とのことだった。 市街地戦闘や歩兵支援に過剰な火力があると自国民に死傷者が出かね無いとのことで、日本製の11年式平射砲を主砲とし、敵上陸舟艇を10km先で狙い撃てる様に同軸機銃としてスウェーデンのボフォース社製40mm機関銃を設置した。電力に余裕があるので動力砲塔である。車長がこの2門を操作し、操縦する。 両側に側孔を設け、ピアノ線やモロトフカクテルをもって肉弾攻撃をかけてくる敵上陸歩兵部隊に対抗する為にトンプソン機関短銃を設置した。これを機関手と装填手が操作する。添乗した歩兵に任せることが多かった。 形式 DD15 砲 主砲37mm11年式平射砲、 機銃 ボフォース40mm機関銃(同軸) トンプソン機関短銃x2(両側面発射孔) 本体 全長10m全幅2.1m全高4m、重量14t 浮船 全長4m全幅2.1m全高3m、重量 1t x2 兵員 機関手 車長 装填手 +(歩兵4名) 大胃工場主任技師の後日談 いやお陰で「機関車としては800馬力のエンジンで発電し125kw x 4の直流電動機で車輪を回す機関車」が早速できて良かったよ。おれボイラー苦手ではやくディーゼルにしたかったんだ。5mmの鉄板でモノコックの車体をつくってさ、あんまり軽いと車輪が空転するから、装甲板を後から貼付けたんだ。厚いのが無いからサンドイッチと称して2枚貼付けちゃった。 |