| 愛知・川崎N2A1/N2Ax-J |
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全幅15.07m/全長11.50m/全高4.7m/主翼面積32.0u 自重3950kg/全備重量5650kg 発動機:三菱「瑞星」15型空冷複列星型14気筒x2 各離昇出力940馬力 機載燃料量:計1756L(2156L) 翼内第1タンク88Lx2 翼内第2タンク290Lx2 胴体内第3タンク300L フロート内第4タンク600L (機外落下式燃料タンク 200Lx2) プロペラ 住友ハミルトンスタンダード定速式3翅直径2.95m 最高速度470km/h(高度5000m) 上昇力 高度5000m迄6分35秒 実用上昇限界10000m 航続距離1800km(機内タンクのみ)最大2200km(増槽使用時) 武装 99式1号20o機銃2丁(弾数各60発) 97式7.7mm機銃4丁(弾数各350発) 92式7.7o旋回機銃1丁 爆弾最大500kg(25番*2、内翼にラック各1、増槽と排他) |
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●背景〜ダイムラー・ベンツ社の職人気質 WW2の勃発と共に欧州の空は液冷発動機を装備した戦闘機達が制空権を争っていた。DB601エンジンを装備したメッサーシュミット達はポーランドやフランス、そしてペネルクス諸国の空軍をあっという間に駆逐してしまった。 昭和15年現在、陸軍では空冷発動機の寿を装備した97式戦がBMW式水冷発動機搭載の川崎案を退けて採用されており、次期主力戦闘機も空冷発動機装備で中島飛行機にて製作され、まもなく制式採用される事が見込まれている。 戦闘機のエンジンは当面空冷発動機が主流になりそうだが、欧州での液冷戦の活躍や、92.95式戦闘機の運用実績から鑑みるに、液冷機は選択肢として残しておきたい。しかし国内では空冷発動機の開発こそ軌道に乗り始めたとは言え戦闘機用の液冷エンジンはまだ完全な国産は難しく、技術輸入が必要であった。そして、見込みがあるエンジンのうちで、カタログスペック、実績共に優秀なDB601の導入が望まれたのである。そして川崎航空機がそのライセンスを購入する事になった。 川崎航空機がDB社にライセンスを申し込んだところ、返ってきた答はこうだった。 「そのライセンスならもうお売りしましたが?」 はて、何の事やら。詳しく聞いてみて判った事には、愛知航空機がそのライセンスを取得していたのである。ならばうちにも売ってくれ、と言うと帰ってきた答がこうである。 「弊社は先の取引でDB601のライセンスを友邦たる日本に売ったと思っております。この上またライセンスをお売りするのはお客様から二度代金を徴収する事になります故できません。どうか国内でお話をつけられますよう。」 さらに 「陛下を同じく御守りする大日本帝国陸海軍様の間柄を通せば、それくらいのお話はすぐ通るものでございましょう?」 とまで言われてしまった。ここで、「実はうちの陸海軍 仲悪いんスよ」などと言ってしまったら、マジで仕事を干されてしまう。仕方ないので帰って陸軍に事の次第を報告する。陸軍は、ライセンス購入を頼んだはずがが、逆に仲介してくれという話(しかも、よりによって海軍に頼めと!)になったので軽くキレかけた。ユンカースやイソッタに浮気しようかとも考えたのだが、Jumoは出力こそ同等だがちとデカいし、アッソは出力が低い上にもっとデカくて話にならない。結局DB601ライセンスを譲ってくれるようにしぶしぶ海軍に頼む事になった。 話をつけるのにいいネタが1つあった。一昨年、日華事変の最中、高速陸上偵察機の必要性を痛感した海軍は、陸軍に97式司偵を廻してくれるように頼んできたのだった。 で、どうなったかと言うと 陸「まぁ、そういう話なんで、DB601のライセンスくれよ」 海「ぉぃぉぃ、アレは高かったんだぜ」 陸「この前司偵あげたじゃんか」 海「う、確かに。でももう一声欲しいぞ。DB601は伊達じゃない。」 陸「じゃあアレだ、お宅んとこの手持ちメーカーはどこも大忙しだろう、うちのリソース少し分けてやるって。」 海「お、それは美味しい。」 陸「交渉成立かな。」 海「OK」 かくして、無事陸軍から川崎にDB601設計図一式がとどいたのだが、そのブリーフケースの中にはこう記した余分なメッセージカードが入っていたのだ。 「近々ある海軍系メーカーから協力要請が来るから全面協力してあげてね。ヨロシク。」 かくして、自身そのものを交換材料にされてしまった川崎航空機だが、最近受注が少なく、99双軽で食いつないでいる状態なので、一体どんな要請が来るのか、半ば期待しながら身構えていた。 ●愛知・川崎タッグ 水戦試作を持ちかけられ、愛知では困っていた。三座水偵や99艦爆の製作は忙しいし、DB601ベースの熱田はじゃじゃ馬で、更に水戦の話である。戦闘機なんか作ったこと無いのに時間は14ヶ月しかくれない。しかしテキトーに作ってしまって海軍の期待を裏切るのも良くない。どうにも首が回らず、愛知側はリソース不足を理由に海軍に競作参加辞退を申し出た。 もともと海軍子飼いのメーカーであるから、海軍側も愛知がキャパシティをオーバーしていることは重々承知であった。が、そもそも陸攻・零戦の生産に追われる三菱には余裕はなく、中島には既に当座の繋ぎとして零戦の水上機化を依頼してある。既に参加を表明していた川西もリソースに余裕はあっても飛行艇屋だけに戦闘機開発で前面信頼はまだし難い。そんな状況で端から愛知に脱落されるのは痛かった。よって、海軍の返答は辞退受諾ではなくこのメッセージであった。 「水戦で困ったら、ここに電話するといい。」 愛知からすれば諦めていた所で渡りに船である。しめた、海軍がどこか協力メーカーを取り付けてくれたのだ。どこだろう、ともかく電話してみよう。 ジリリリリ ジリリリリ 「はい、お電話ありがとうございます、川崎航空機株式会社でございます。」 か、かわさき!? びっくりするのも無理はない、紹介された相手は陸軍機一筋のメーカーである。しかし、電話での軽い打ち合わせは愛知側がびっくりするほどスムーズに進み、愛知側技術者が打ち合わせのため川崎を訪れると、これまた、もうなんでもやっちゃいますよ状態であった。 陸軍からの言付もあったが、戦闘機を作る、という事で川崎は乗り気になったのであった。制式戦闘機を次々と空に送り出す三菱や中島に比べ、97式戦闘機の受注に失敗し、1式戦に至っては話すら振られず、キ45改も散々にリテイクを喰らった末にようやく物になってきたという状況である。戦闘機開発の第一線に加わっているメーカーとして、自分達の手でもっと制式戦闘機を送り出さねばという意地があったのである。 愛知側でも戦闘機という分野では開発に一日の長がある川崎を一先ず全面信頼することにし、即席ながら堅い協力関係が成立したのである。 ●機体概要 ベースになったのは、川崎で開発中であったキ45改、後の屠龍である。川崎の既存機の中でもキ45改が選ばれたのは、要求機の用途は前進基地での邀撃及び対艦攻撃であり、大前提として水上機である。航続距離や爆装にも期待がかけられている。つまり積む物はいくらでもあるので、そこで、格闘戦闘における不利に敢えて目をつむり、双発でやや大柄な機体で搭載量と汎用性を優先させることにしたためである。軽快なサラブレッドを生むことはあきらめ、泥臭くも粘り強いワークホースを目指すことにしたのだ。また、海上での作戦行動が多いことが予想されるので、単発よりも双発の方が良かろう、ということもある。キ45改ともども量産体制に入れば、部品の共通性から生産にも有利である。 キ45改そのままの改修という訳でもなく、空力を良くするため胴体部分は一回り細く改設計されている。その結果胴体内燃料タンク容積が減る事になったが、減った分をフロート内に移設できるため問題は無い。もっとも機種の武装スペースも減ってしまうので、若干機首を延長している。 主翼や垂平尾翼などは完全に流用である。垂直尾翼もほぼ同じだが、機体側面積が増えた分、舵面の面積を若干大きくしてある。 エンジンナセルと主翼も翼下面部分が若干変更されている。これは支フロートをエンジンナセル内に畳み込むためである。ナセルは側面が支フロート収納のために開く構造になっており、翼下面は支柱を畳み込むための整形がなされている。 元になったキ45改は双発機としてはコンパクトに仕上がっているものの、やはり大柄である。フロートは双フロートにすることも考えられたが、支フロート畳み込みで空力を良くする為、単フロートと支フロートの組み合わせとなった。主フロートは、内側外側の両面に対して防漏式となっている。フロートへの被弾で着水時に浸水しないように、また被弾時のフロート内燃料タンクの発火防止策を兼ねてである。 操縦席周りは視界にうるさい海軍パイロット向けに、キ45改よりも硝子窓部分が拡大されている。 主要な機体生産は川崎で行われ、その後愛知に搬入し、フロート等の水上機としての装備および海軍機としての仕上げを行うことになった。しかし、既知の如く、川崎と愛知の工場で都合よく隣り合うものなど無い。ではどの様に分業を成立させるのかというと、ここで中部地方の地図を良く見られたい。川崎の各務ヶ原工場は木曽川に面している。この木曽川を下れば伊勢湾に出るのだが、木曽川河口の程近くには愛知航空機永徳工場の水上機用ランプがあるではないか! つまり川崎工場で組まれた機体は川船で木曽川を下り、愛知工場に搬入されるのである。木曽川そのものを生産ラインとして組み込んだこの生産方式は「木曽川ライン下り」と呼ばれる。 ●陸上機化 大本が陸上機である。降着装置を元に戻せばそれで完成であるが、それだけではキ45改を導入したほうが早いというものである。愛知・川崎設計陣が示したのは、奇しくも両社を結びつけた、DB601の搭載である。熱田、ハ40ともに供給元が顔を揃えている訳だが、納入先が海軍であるため熱田を予定とする。フロート内燃料タンクが減る分機内燃料搭載量は減るが、局地戦闘機として用いる分には十分で、またメインフロート跡にハードポイントが設置できるので増漕を装備する事もできる。増漕を装備しなければ、熱田双発だけあって搭載力は大きく、魚雷や80番爆弾も運用できるだろう。 |
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●デザイナーズ・ノート。 試作提示ですが、史実では川西に打診が行っていましたが、幅広いメーカーに打診が行われた、と想定しました。川西は当然強風ことN1K1を開発してくる物とし、双方の試作が進むにつれ、双方の機体が性格がかなり異なるため16年中頃からN1とN2に分けて開発したものとし、N1A1はN2A1に名称が変更されたものとしています。この場合で水上戦闘機としての本命はN1なのですが、開発速度で有利なN2が先に完成し、高い汎用性を示すと思われるのでN1は開発のゴタゴタもあり量産されず、単に後の紫電の叩き台に過ぎなくなったでしょう。 発動機の瑞星15型2基は原型機(キ45改)に合わせた装備です。94式水偵も後期型は瑞星(11型)なので水上機整備員にも多少扱いを齧っていた者もいただろうと思います。 原型機同様に金星系列への換装もできるので将来的には要求の500Km/hに達することができるかもしれません。 武装は7.7o機銃4丁を機首上部に、20o機銃2丁を機首下部に配した機首集中装備になるので、精度威力共に申し分ないでしょう。将来的には7.7oに代えて20oを増やすか13oに変更されていくでしょう。20oを17試25o機銃に変えると波打ち際のタンクバスターに転進できたり...。 陸戦型は熱田エンジン装備のビジョンです。供給量とメンテナンスに不安が感じられるところですが、この時期まだこのエンジンを搭載した実用機は登場しておらず、2式艦偵がようやく出てくる頃。即ち、選考側から見て「将来有望な高性能エンジン」という見方は出てきても、「どうせ稼働率10%」という見方はまだ出て来ないと思われます。1機で2基熱田が要るとはいえ、重要拠点用の局戦として少数機を運用するに留めるならならエンジン供給数もメンテナンス面もそこまで不安はないでしょう。速度も580キロは狙えるでしょうか。熱田はDB601ベースで更に冷却水加圧もしていますから高空性能も期待大です。熱田32型とすれば600キロ代も視野に入るでしょう。熱田の供給とメンテナンスが安定すれば和製モスキート?として縦横無尽に活躍できそうですが、それはやや高望みかもしれません。 結局熱田を運用しきれないなら元の空冷エンジンに戻しても十分な性能が期待できます。原型機キ45改や、彗星の例に倣って金星系列の空冷エンジンにした所で、航続距離を除けば「月光」に対して相当有利であると思われます。「月光63型」とでもなり夜間戦闘機として活躍できるかと。 設定を考えるにあたり御意見、御指導を頂きましたSUDOさんをはじめとするwarbirds.ircの方々、そしてこの長ったらしい文章を最後まで読んでくれた皆様、大変ありがとうございました。 |