胃国一等巡洋艦競争試作に関する一私案

誤解の塊


 これはある日本海軍関係者の書庫の整理中に、偶然見つかった書類に記されていた一試案である。
 文面から察するに、イブクーロからの一万トン巡洋艦の競争試作に関して、閑職にあったある造艦
技師が「参考のため」として独自に作成した私案のようだが、簡単な説明書以外にこれに関する資料は
見つかっておらず、その詳細は謎である。
 下に附録としてその説明書の全文を載せるが、文体が古く説明も冗長であるのでこの試案について
簡単に解説する。
 ここであらかじめ断っておくが、この案は技術こそ(正確に理解できていたかは怪しいものの)最新
のものを取り入れているが、根底に流れている思想は当時から見てもかなり古いもののようである。
どう見ても時代錯誤であり、20世紀の常識で策定されたものとは考えにくい。

要目
 基準排水量 10000トン
 全長  185m
 全幅  24m
 主缶  艦本式ロ号専焼缶六基
 主機  艦本式ギヤードタービン4軸
     艦本式一号二型ディーゼル機関2基(巡航用)
 馬力  95000馬力
 速力  32ノット
 航続力 18ノットで一万海里以上

 主砲  20.3センチ砲8問(四連装2基)
 副砲  14センチ砲13問(連装高角砲6基、単装平射砲1基)
 魚雷  61センチ三連装発射管2基

 装甲 水平甲鈑51〜104ミリ、同傾斜部76〜152ミリ、水雷防御壁51〜76ミリ、バーベット305ミリ

1.コンセプト
 この試案で示されている巡洋艦は戦艦的色合いの強いもので、その主目的を南米の戦艦(特にチリ
のアルミランテ・ラトーレ)への(形式的な)対抗としており、主砲の多連装化や駆逐艦用大出力機関
の採用等により極端な集中防御を取っている。そのために幅の広い船体となっており、その武装と
防御の代償として速力はプリンス・ノイッチと同程度の32ノットに留められたようである。
 また一等巡洋艦としての任務も重視しており、遠洋航海での燃料消費を抑えるために巡航ディー
ゼルを採用。また主砲の多連装化によって得た艦尾の空間に多数の客室や巨大な大広間等を配置し、
外交の場として高い機能を持たせている。この他外地の居留民保護の際に河川を遡上すること等を考
えて喫水はかなり小さいものとされている。

2.機関
 機関は初春型駆逐艦二隻分の機関を搭載するものとしている。その出力は合計八万馬力強である、
としているが、信頼性を考慮すると実際はこれより若干小さくなると思われる。
 この他前述のように巡航用にディーゼル機関を使用しており、海大六型潜水艦に採用された機関を
強化し筒数を8から12に増した艦本式1号2型ディーゼルを二基搭載している。出力は二基合計で一万
馬力以上であり、ディーゼルのみで巡航速力を発揮しうるものとされている。
 しかしながらいずれも過渡期の機関であり、特にディーゼル機関はその後間もない昭和十年頃に重
大な問題が続出していることから、もし本艦が建造されていればその航洋性能に少なからぬ問題が生
じた物と思われる。

3.防御
 本艦はチリの超弩級戦艦への一応の対抗を考えており、弾薬庫は36センチ徹甲弾に対し1万5千〜2
万5千mで安全である、としている。しかし通常の防御様式では甚だしい重量過大となると考えられた
ため、舷側装甲を実質的に撤廃し、防御は船内の装甲甲板(防御甲板)のみに依っている。機関部も同
様で、こちらは20センチ徹甲弾を想定した防御であるがやはり舷側装甲がない。したがって舷側は容
易に破孔を生じると考えられており、そこからの浸水を局限するために舷側の区画には艦全長の三分
の二にわたって水密鋼管の充填が行われている。
 また水雷防御として弾薬庫は航空魚雷を、機関部は軽易な機雷の触雷を想定した簡易な水雷防御隔
壁が備えられている。いずれも空層利用式の防御だが隔壁の前後には重油艙が備えられており、昭和
10年以降の日本軍の水中防御に関する研究によれば、もしこの重油艙に重油が充填された状態であれ
ばかえって防御力は向上し、弾薬庫にいたっては61センチ魚雷にも耐える可能性もある。(ただし説
明書中では重油充填は爆圧の吸収を弱め防御能力を低めるとしか考えられておらず、戦闘時にはこの
重油艙は空にすべきである、としている)

4.武装
 主砲は三年式の50口径20センチ砲8問で、これを新設計となる4連装砲塔2基に収め、重量の軽減に
努めている。したがって砲力は日本の重巡に比べ幾分劣るが、重装甲の砲塔を採用することで経戦能
力を高め、これを補っている。
 またこの計画書中では近い将来ドイツのポケット戦艦の完成により主砲口径の制限は解かれるであ
ろうと考えており、またそうでなくても、まだ胃国は条約に正式参加しておらず要求に主砲最大口径
も明示されていないことから8インチ以上の主砲を選択することもありうると考えている。そして、
これを見越して準弩級艦の主砲予備砲身を利用した12インチ3連装砲への換装を考えているが(寧ろ換
装後の状態を本来の状態と考えている節がある)、これは明らかな誤解、誤算であると言えよう。
 また高角砲として、戦艦の副砲である14センチ砲を八九式12.7センチ高角砲と同様の連装高角砲架
に載せたものを計6基12問装備する、としている。これは、既存の駆逐艦や警備艦の砲力がいずれも
12.7センチ砲4問と微弱であるため敵水雷戦隊に対する砲力を高めようとした結果とされており、対
空砲としては発射速度で若干劣るものの射程と弾道特性、そして砲数で十分補いうる、と判断されて
いる。これの配置は幾分旧式であり、敵水雷艦艇の反航接近や両舷砲戦を考慮し、首尾線火力を重視
するような配置となっている。対し、対空機銃としてヴィッカースの40ミリ機関砲を8問搭載すると
している。(内2問はマスト上に配置する、としているが、その意味は不明である)
 また魚雷は3連装の61センチ魚雷発射管を2基装備する、としている。しかしこれを常時舷側上甲板
上に配置すると中央の高角砲の射界を妨害することから、通常は船楼内に引き込んでおき、魚雷を発
射する際は敷設されたレールによって舷側の発射位置まで移動させる、という凝った方法が採られて
いる。確かに移動式の発射管は5500トン型軽巡でも採用された事があるとは言え、そこまでして高角
砲の首尾線方向の射界を確保すると言うのは理解しがたいものがある。
 また、副砲として通常の単装砲架型14センチ砲をなぜか艦首先端に1問配置しているが、この意味
も不明である。




(附録)胃国巡洋艦競争試作に関する一私案説明書

 本巡洋艦案は技術上の興味より行いたる純粋に個人的なる提案なり。而して幾分夢想的なるは本職
のよく知悉せる所なるを予め附言す。

 本艦は巡洋艦なるもその特質は寧ろ戦艦と謂うが妥当なるべし。即ち本艦は国軍の配備しある一等
巡洋艦に比し速力にて大幅に劣るも砲力及防護にて格段の拡充を計りたる物なり。
 此は一に胃国の国情を考慮したる結果なり。即ち対岸の「チリー」「アルゼンチン」等の南米諸国は既
に有力なる弩級、超弩級戦艦を有するも胃国は一昨年に発注されたる大航洋警備艦及胃国内にて建造
されたる駆逐艦等が現時の主力にして、何れも砲力防護力共に微弱なり。対し「ノイッチ王子」号座礁
せるために現時可動状態の大型艦は皆無にして戦艦の如きは本より全く有せず、而して主力艦の拡充
は該国国防の急務ならんと信ず。
 既に該国工廠にては多数の大型艦の建造ありとの情報あり。然し胃国は一万トンを超過せる大型艦
建造経験の乏しかるべく、該艦が若し主力艦なるともその性能は如何なるや、我国が日清戦争直前に
自国力を過信し無理に建造を行いたる橋立が関係者の大変なる労苦の末漸く完成せるも故障、不具合
等続出し運用に大なる支障を来たしたるは本職の記憶に新しき所なり。対し英国にて建造されたる浪
速、高千穂の如き防護巡洋艦の類は其構想には幾分無理ありたるも実戦に於ては十分の活躍を為せり。
此等の経験を鑑みるに未だ新興国の胃国にとりて確立せられたる造艦技術の元建造されたる有力艦は
極めて貴重にして、此が僅か一万トンの巡洋艦なるとも其砲力、防護力を努めて大とし戦艦としての
運用を部分的にも可能とせしむるは絶対に必要なりと本職は信ず。
 如上の理由により本案にては戦闘艦に対する砲戦を第一に考慮せり。具体的には「チリー」の「アミ
ランテ・ラトーレ」級超弩級戦闘艦との砲戦を想定したるものなり。然し該艦は約三万トンの排水量
を有する大艦にして幾分旧式の観あるも極めて有力なる装甲戦闘艦なるは疑うべからざる所なり。当
然乍排水量に於ては其四割に過ぎず、然も主砲口径の限定されたる本艦にては該艦の装甲を貫徹する
は到底望み得ざる所なれば、本艦にて該艦に対抗せんとするは甚だしく困難なるべし。
 左れど「アミランテ・ラトーレ」の完成より現在迄の間には著しき造艦術上の進歩ありて、今日に於
ては従来の常識を覆すが如き新型艦艇次々に現れつつあり。而して此新技術を以てせば一万トン級の
巡洋艦に戦艦と同等とは言い得ざる迄も一応の対抗を為し得る程度の武装、防護を施すことは可能な
るべしと信ず。(殊に注目すべきは独海軍が近年建造したる袖珍戦艦なり、該艦は巡洋艦と同等の船
体に準戦艦的武装並に防護を有し、更に戦艦の追求し得ざる快速を有す艦の好例ならん)
 従て本案は多数の新技術を前程として考案せり。例えば高強度「アルミニューム」合金の使用なり船
体材料に対する溶接の適用なり大出力「ヂーゼル」機関なり。此等は採用せられてから未だ左程の時日
経たざる技術にして幾分の問題あるべきは容易に想像し得る所なり。左れど此等新技術無くば本案の
成立は困難なるべく、又胃国に取りても斯くの如き新技術は却て欲する所なれば決して欠点たらざる
べし。

 以上が本案の構想の主軸なり、次に本案の詳細を示す。


一.要目
 基準排水量 一万噸
 満載排水量 一万四千噸

 全長 百八十五米突(艦首十四拇追撃砲砲身を含まず)
 全幅 二十四米突
 喫水 五.〇米突

 主罐  「ロ」号艦本式重油専焼罐六基
 主機  艦本式「ギヤードタービン」四軸(内二軸は巡航用「ヂーゼル」機関と結合)
     艦本式一号二型「ヂーゼル」機関二基(巡航用)
 馬力  九万五千馬力(「ヂーゼル」併用)
 速力  三十二節

 満載燃料搭載量 二千五百噸
 過載燃料搭載量 四千噸
 航続力 十八節にて一万海里以上

 主砲  八吋五十口径四連装砲二基
     (但し十二吋四十五口径三連装砲への換装を想定す)
 副砲  十四拇五十口径連装砲六基
     同単装砲一基
 補助砲 毘式四十密単装機砲八基
 水雷  二十四吋三連装水上発射管二基

 舷側甲鉄帯 一吋半
 水平甲鈑  四吋(弾薬庫上面)
       二吋(機関部上面)
 同傾斜部  六吋(弾薬庫)
       三吋(機関部)
 水雷防御壁 一吋DS鋼鈑三枚(弾薬庫)
       一吋DS鋼鈑二枚(機関部)
 砲塔囲壁  十二吋



二.船体
 本案にては船体重量の軽減を重視し長船首楼型の船体を採用せり。従て荒天下の戦闘に於ては特に
後部備砲の使用に際し幾分の支障を生ずべく、我が海軍の一等巡洋艦等に比せば幾分の遜色あるべし。
然れども戦艦的特質を有す本案の場合戦時に於ては本国近海の防衛若くは敵港湾近海の封鎖戦が主任
務なるべし、従て荒天に於て速力の発揮に支障を生ぜざる程度の航洋性なれば十分なるべしと判断せ
り。
 船体には鋼鈑に高張力DS鋼鈑を用い重量の軽減に努めたり、また電気溶接の広範なる適用も考慮
し居るも、純粋に材料学的見地よりすれば不用意なる熱処理を与うる此新技術の乱用は流石に危険な
らんと思わるを以て、溶接の適用は左程の強度を要さざる箇所の軟鋼等の接合のみの適用が適当なる
べし。其の代り艦上構造物に関しては高力「アルミニューム」合金を多用し極力重量の軽減を図りたり。


 本案は比較的大なる全幅を有す、此れは防御上の判断にて防護区画の短縮を図りたる結果にして、
また本艦の有する多連装砲発砲時の安定性向上にも寄与する所大なるべし。

 比較的喫水の浅き点も本案の特徴なり。本艦は一等巡洋艦にして若し外地に於て暴動等生じ該国居
留民に危険が生ずれば直ちに救助の為め派出せらるべく、斯くの如き状態に於て河川の遡上等は容易
に想像し得可き事態なりて、其の際艦容大なる本艦に於てこの浅喫水は極めて有効なるべし。
 また若し極めて有力なる敵艦隊本国に接近し艦隊が港内逼迫を強いられたる場合に於て、本土が大
環礁よりなる胃国の場合自ら主要なる水道を閉塞し敵有力艦の環礁内侵入阻止を図るべく、其の場合
に於ても浅喫水の本案なれば水深の左程浅からざる水道を選びて屡々夜陰に乗じて密かに出港し奇襲
的に敵封鎖艦隊に対し痛撃を加うるを得べし。

 本案は艦尾に極めて広大なる区画を配置せり。此は砲塔数を減少せしめたる結果得られたる空所に
して、特に遣外任務に供せらる可き本艦には必須の装備なり。即ち海外に於ける相手国要人との会合
に於て大「ホール」等として用うるを得べく、本艦は海外に於て胃国の象徴たるべき艦なれば外交上の
利便は極めて大なるべし。此に加えて海外要人の応接及び胃国要人の輸送などを考慮し、艦尾には多
数の居室を設け、又大型なる「スターンウォーク」を配置す。
 また該区画は、戦時に於ては隔壁等を艦内工事にて撤廃し甲板上の一区画に大孔を穿たば艦載機収
容区画としても使用可能なり。広大なる該区画には四機程度の艦載機を搭載するを得べし、該箇所は
主砲発砲時の爆風から能く艦載機を保護し得べく、特に明治三十八年の日本海大海戦の如く海戦多日
に及び砲戦後再び索敵を行わんとする際には極めて有効なるべしと信ず。但し本案は航空母艦の如き
本格的なる昇降機を有せざれば艦載機の移動は艦尾の水上機揚収用「デリック」に依らざるべからず、
而して艦内に収容したる艦載機の急速発進は困難なるべくも適切なる運用を得れば十分有効なる装備
なるべし。
 また該区画は容積極めて大なれば万一の場合の自国民の輸送、陸兵輸送等にも有効に活用せらるべ
く、遣外巡洋艦としては極めて優秀なる活動を為し得るべし。



三.機関
 本艦は喫水浅く機関室高さ幾分小なり。而して機関は其の高さ少なるを要し、また大出力をも要す
るを以て、初春型駆逐艦に採用せられたる機関を採用したり。艦幅大なるため主缶は三基を一列とし
缶室長を初春の三分の二に減じ、主機は其の侭四基を一列として配置せり。而して機関出力は四軸合
計八万馬力強ならん。
 又本艦は長距離の航海を考慮し巡航機関として一号二型「ヂーゼル」機関を搭載せり。該機関は伊号
潜水艦に搭載されたる機関の筒数を増加し出力の強化を図りたる機関にて該機関のみにて巡航速力発
揮可能なる計算なり。また該機関は燃料消費量極めて少なく、此は外交上長距離の航海を考慮すべき
該艦にては燃料補給に於て極めて利益大なるべしと思わる。



四.防護
 本案の策定に於ては第一に敵戦闘艦との砲戦を考慮せり。而して其の防護も敵大口径弾に対する防
護を重点的に考慮せり。
 然し十四吋の大口径弾に対し十分なる防護を為さんとせば少なくとも厚さ十吋以上の舷側甲鉄帯を
要すべく、又現代の砲戦に於ては大落角弾を重視すべきを以て水平甲板の防護も重視せざるべからず、
此等を悉く満たさんとせば到底設計は成立し得ざるべし。
 仍て本艦にては最近の艦に少なき防護方式を採用せり、即ち舷側甲鉄帯を廃し水平甲板のみに強力
なる装甲を配置し、艦内要部のみを重点的に防御せり。
 特に防御上重要なるは弾薬庫の防御にして第一次大戦に於て少なからざる装甲戦闘艦が該箇所の被
弾により忽ち轟爆沈没の一大悲劇を生じたるは記憶に新しき所なり。対し機関部の被弾は確かに重大
なる被害なるも直ちに該艦の沈没に至るが如き大被害にはあらざるべし。而して本案にては弾火薬庫
部にのみ十四吋に抗堪し得るが如き防護をなし、また機関部は八吋砲弾を想定せる防護をなせり。
 また単に水平甲板のみに装甲を施さば艦内要部の容積は極めて限定さるべく、また水線部の浸水に
対し甚だしく脆弱なり。仍て舷側部に於ては該装甲甲板を傾斜せしめ、艦内容積の拡大及び水線部破
孔より生ぜる浸水の極限を図りたり。此の傾斜部は舷側に於ては水線下一米突の外板に接続せられ、
約三十度の傾斜を以て水平甲板に接続せらる。
 即ち本艦は防護巡洋艦なり。
 然しこの水線部の破孔より生ずる浸水は重大なる問題にて、若し該装甲奏効し艦内要部無事なると
も浸水甚だしくば艦の傾斜、速力の低下等を生じ、最終的には転覆に至るべし。是防護巡洋艦最大の
問題なり。而して本案にては舷側要部の外板を比較的厚目の一吋半とし弾片による破孔の極限を図り、
又艦全長の三分の二に亘り舷側水線部近くの区画に水密鋼管を充填し予備浮力の保持を図りたり。当
然乍多数弾を被弾せば通常の防御方式の艦に比し容易に浸水を生ず。然し此等浸水は弾薬庫爆破等の
惨事に比せば比較的危険少なかるべしと判断し本様式を採用せり。
 防御鋼鈑の材質はNVNCにして浸炭工程を要す通常の舷側甲鉄帯の製造に比し比較的容易かつ安
価なるべし。其の厚さは弾薬庫に於て上面四吋傾斜部六吋、機関部に於ては之の約半分なり。仍て弾
薬庫は十四吋砲弾に対し二万五千米突から一万五千米突にて抗堪する見込みなり。

 また本案にては水雷防御も一応の対策をなしたり。即ち弾薬庫に於ては三米突半の空層の後に一吋
DS鋼三枚の水雷防御壁を配し炸薬量二百瓩程度の水雷に対する防御を図り、機関部に於ては二米突
の空層の後に一吋DS鋼二枚の水雷防御壁を配し炸薬量五十瓩程度に対する防御を図れり。然し前者
は敵航空機より投下されたる小型水雷を、後者は軽易なる触雷を想定せるものにして敵水雷艦艇より
為されたる大口径水雷の被雷には耐え得ざるべし。
 また水雷防御壁の前後には燃料艙を配せり。此大航続力を要す本艦には不可欠の装備なるも外側の
燃料艙は水雷防御に於て空層たる可きを想定しあるを以て戦闘時には該燃料艙は空所としあるを要す。
(然し戦闘海面への移動に際し該区画の燃料のみ使用するが如き方策にて比較的容易に為し得べし)亦
燃料層外側の空層に於ては水密鋼管を充填し爆圧の減衰並に浸水の極限を図りたり。

 斯くの如く本艦は要部の防護を防御甲板にて行い其の外の防護は各種の二次的防護策に依りたり。
特に本艦の装甲範囲全長の半分にも満たずして極めて狭く、予備浮力不足しあるを以て水密鋼管によ
る浸水の極限策は極めて広範囲に於て行うを予定す。而して其の総重量は約一千トンに至るべくも該
鋼管は臨戦準備にて搭載すべきものとしたるを以て基準排水量には加算せざりき。



五.武装
一.主砲
 本艦は主砲として四連装砲が最適なるべしと判断せり。当然乍斯くの如き多連装砲の開発は困難な
るべくも重量軽減には大なる寄与あるべく。また我国の時期戦艦建造に向けての技術的経験を得る好
機会なるべしと信ず。技術的には過去にも各国にて斯くの如き多連装砲は少なからず提案されたるも
のなれば大なる困難にあらざるべし。
 該砲は我国が一等巡洋艦に用い居れる八吋砲と同一なり。而して砲力自体は同砲を十問搭載せる我
が妙高等に比せば若干劣り居れるべし。然し該砲は能く防護されたる砲塔砲なれば本邦の云わば露砲
塔的なる連装砲に比せば敵砲弾により破壊さるまでの時間大なるを以て十分此を上回るものと信ず。
 但し大重量の砲塔なれば旋回速度等は幾分遅鈍ならん。仍て該砲にては有効なる高角射撃は不可能
なるべく、従て仰角も過剰に大とするに及ばざるべし。
 尚本艦に於ては防護範囲を極限せしむ為弾薬庫は可也狭隘なる配置とせり。而して弾薬庫搭載余力
幾分問題あるも、誘爆の惧れ少なき砲弾の大半を換装室及砲塔内即応弾庫に配置せば十分なるべし。
而して本砲塔に於ては其の砲室を比較的大とし砲室後部に即応弾を多数横置にて積み上げ、即応弾搭
載量を増加するを予定す。

 然し、如何に優秀なる防御を施したる砲なるも結局は八吋の中口径砲なり。斯くの如き中口径砲に
て能く防御されたる装甲戦闘艦を撃破し得ざるは日清戦争にて明らかになりたる所にて、本職の本心
としては如何に巧妙に設計せられたる艦と雖十四吋の大口径砲を有する超弩級戦艦には到底対抗し得
ざるべし。
 仍て、本職は十二吋程度の大口径砲の搭載は本艦に必須の条件なりと信ず。
 当然此は軍縮条約上不可能なる武装なりて外交上条約を重視しある胃国にとりて許されざるものな
るは本職もよく理解しある所なり。然し世界の海軍情勢は急変しつつあり、特に独海軍が建造せし袖
珍戦艦が及ぼせる影響は極めて大なり。此事を鑑みるに本職は遠からず一等巡洋艦の類に於て主砲口
径の制限が部分的にも撤廃せられる可能性は少なからざる物と判断せり。亦若し斯くの如き制限撤廃
生じずとも胃国未だ該条約に参加し居らざるを以て該条約を無視するも可ならん。(現に今競争試作
に於て主砲口径の上限は明示されざりき)
 実は本案は斯くの如き状態に於て十二吋砲を主武装とする状態を主眼として設計せり。八吋砲を四
連装としたるは換装の容易なるを第一に考慮したる結果にして、旋回盤基部構造を極力同一とし艦底
塗換等の短期間の工事中に主砲換装を完了せしめんとしたるものなり。
 本案にて搭載せんとする十二吋砲は既に退役したる香取型、安芸型、河内型戦艦の備砲と同一のも
のにして、火力に於ては八吋砲を遥かに優越し、新型被帽徹甲弾等を用うれば舷側甲鉄帯左程厚から
ざる「アミランテ・ラトーレ」程度の装甲を我が安全距離内(二万五千〜一万五千米突)より貫徹するも
決して困難にあらざるべし。また砲塔製造に際し既に退役したる諸艦の予備砲身を流用し得、砲塔の
設計も大口径三連装砲の重要なる設計経験たるべし。
(当初は河内型の主砲たる大威力五十口径砲の搭載を考慮し居れり、然れども該砲は発砲時の振動大
にして散布界比較的大なりとの報告あり、また該砲の多くは既に陸軍の要塞砲塔に転用されたるを以
て多数調達困難にして、加えて重量も幾分過大なる為此を断念せり)
 尚十二吋砲塔に換装せしめたる後も弾薬庫の容積は相当に狭隘なれば、矢張り過半の砲弾を砲塔内
若くは換装室内に配置せざるを得ざるべし。然し是必ずしも欠点とすべきにあらず、何となれば即応
弾の増加は咄嗟砲戦等に於て利益大なればなり。又炸薬量大なる高勢榴弾の類のみを艦内に配置せば
より安全なるべく、該砲弾は専ら砲戦距離大なる時期に於て緩余なる射撃に用うべき弾種なれば発射
速度少なるとも左程の問題にあらざるべし。
 亦該砲の輸送に際し艦載砲として直接胃国に供給するは外交上の問題あるべくも、単に海岸砲の輸
出とし別個に輸送の上胃国にて搭載せば左程の問題もなかるべく、平時の保管にも問題なかるべし。
 尚十二吋砲の重量大なるを以て換装工事完成せば五百トン程度の重量増加あるべく、此時約七吋の
喫水増加を予定す。又十二吋砲の発砲の際該砲の発砲衝撃激烈なるを以て船体動揺比較的大なるべく
も、本案は防御を防御甲板に依りたるを以て重心比較的低かるべく致命的欠陥には至らざるべし。又
若し此動揺余輩の予想に反し過剰に大なる時は艦底の「ダブル・ボトム」に注水せば十分之を抑制し得
べし。

二.副砲
 本案にては副砲に五十口径の十四拇連装砲を採用せり。該砲は戦艦の副砲たる十四拇砲を高角砲架
に搭載せる物にて、八九式十二.七糎連装高角砲を大型化せるが如き砲なり。大口径大初速の砲なれ
ば対空射撃に於て従来の八九式高角砲に比し弾道特性は良好なるべく、また高仰角なるを以て遠距離
砲戦に於ても有効なる火力たるべし。
 但し十四拇砲は従来の高角砲に比し砲弾重量大なれば、八九式高角砲の如く弾薬包による装填は如
何に屈強なる胃国水兵と雖困難なるべく、砲弾と装薬とを分割せざるを得ざるべし。従て発射速度に
於て幾分の低下あるべくも、此は十四拇五十口径砲の大射程及び片舷六門に達する砲数にて十分補填
し得べし。
 また高角射撃に於ては発射速度幾分少なるも艦艇に対する射撃に於ては其の発射速度はきわめて優
秀なる値なるべし。此は軽艦艇の砲力微弱なる胃国海軍に於て重要なる利点にして、敵水雷艦艇の襲
撃に対し単艦にても能く此を駆逐するを得べし。該砲は比較的大なる射界を有し、敵の包囲下にあり
ても有効なる両舷戦闘が可能なり。此に加えて首尾線火力は至大にして実に八門の十四拇砲を指向し
得、敵艦に対し砲戦距離を短縮せんとする際の突進の時、また艦首方向より反航接近を図る敵水雷艦
艇を駆逐するの時は極めて有効ならん。
 尚、本案に於ては此他に一門の十四拇砲を艦首に配置し追撃砲とせり。該砲は通常の単装砲架に搭
載せる砲にて左程の仰角を有せず、又搭載位置狭隘にして射界も左右三十度と極めて限定されたる砲
なり。然れども該砲は首尾戦火力に寄与する所大にして特に追撃戦等に於ては非常に重要なる備砲な
るべし。但し艦首波著しき外洋に於て使用困難なるやもしれず

三.補助砲
 本案にては対空機関銃兼補助砲として毘式四十密機砲を八問搭載せり。該砲は大威力大射程の機砲
にして敵航空機への射撃に加え夜戦等の混戦に於て近接せる敵艦に対する掃射、敵水雷艇等の駆逐等
に於ても大なる火力を発揮し得べし。
 就中前檣及び後檣に配されたる各一問の四十密機砲は近戦時に於て両檣を「ファイティングトップ」
となし、敵艦上の人員掃射、敵艦橋の狙撃等に於て極めて大なる効力を期待し得べし。

四.水雷
 本案は後艦橋付近の船楼内に三連装の二十四吋水上発射管を両舷一基の計二基を搭載す。
 但し本艦の場合発射管を舷側部に配置せば中央副砲塔の射界を妨害すべし、仍て発射管は移動式と
し通常は船楼内に格納し水雷発射時に於ては甲板上に敷設せる軌条により舷側まで此を移動せしめ水
雷発射を行うものとせり。而して即応性に若干乏しき可能性あるも本艦は主力艦なれば水雷襲撃は其
の主任務にあらず、其の水雷兵装も敵艦隊運動の阻害、敵落伍艦等の処分、衝角攻撃を試む敵艦に対
する反撃としての使用が第一の目的なれば左程即応性は必要ならざるべく、適当なる配置と判断せり。

五.其の他の特筆すべき設備
 本艦は艦尾甲板上に二機の水上偵察機を有し、之は艦尾に配置せられたる「デリック」にて運用せら
れ甲板上の射出機一基にて射出さるものとす。また既に述べたる所なるも戦時に至らば艦尾区画を艦
内工事にて整理し一大船室となさば此の箇所に多数の艦載機を収納するを得べし。
 また本案にては煙突側面に艦載水雷艇二隻を搭載す。是今日の日本海軍に於ては戦艦等の大型艦の
みに搭載され居れる十七米突内火艇にして、巡洋艦なる本艦に取りて過大の装備の観あるも、海外に
於て戦艦と同等の任務を為すべき本艦に於ては要人の移送等に際し絶対に必要なる装備なり。又之は
単に人員移送のみならず封鎖戦及被封鎖戦に於て機雷の敷設除去、港外に停泊せる敵艦に対する夜襲
等に絶大の効験あるは日露戦争の戦訓等に明らかなる所にして、殊に重油を用い煙突からの排煙少な
く敵哨艇に発見される惧れ少なき今日の艦載水雷艇に於ては其の効果益々確実ならんと本職は確信す
るものなり。



六.附言
 以上が本案の概要なり。之を簡潔なる文にて約言せば、本艦は比較的低速なるも防御力にて十分の
装甲を有し、砲力は十二吋砲を搭載するの時に至らば戦艦に相対するも可なり。又遣外任務に於て極
めて優秀なる活躍を期待し得るものなり。

 爰で本案の構想に関し幾分附言す。
 先ず本案は南米諸国の戦艦に対抗を図りたるものなるは最初に述べたる所なり。左れど若し十二吋
に換装するも決して本艦は南米諸国の戦艦を優越し得ざるべし。何となれば本案は口径のみならず砲
数に於ても戦艦には到底及ばざるべく、又戦艦は多数の中口径砲を有するを以て、若し両艦砲戦に至
らば舷側甲鉄帯を有せざる本案にては弾薬庫の爆発を生ぜずとも長時間の砲戦に於ては容易に浸水を
生ずべく、而して特に波荒き外洋に於ては船体は甚だしく傾斜し速力は減じ逃走も不可能となり忽ち
死地に陥るべきを以てなり。対し戦艦に於ては比較的薄弱なるも十分なる舷側装甲帯を有するを以て
本案の十四拇高角砲の速射を以てするも重大なる損害は与え得ざるなり。
 然らば本案の価値は何なるや、之平時に於ける敵国の進行的意欲減殺の唯一事なり。
 本案は名目上戦艦の主砲弾に抗堪し得るが如き装甲と戦艦の装甲を貫徹し得るが如き主砲を有する
を以て、若し敵戦艦と砲火を交うれば勝利を得るは至難なるも敵戦艦に重大なる損傷生ずる可能性乏
しからず。是微妙なる戦力の均衡により平安を保ちある現在の南米諸海軍に取りて一大事件にして、
斯くの如き事態に至らば若し胃国の海軍力を撃破するも其の海軍戦力は却て危急に瀕すべく、最悪胃
国との海戦にて得たる所の物をも全く失うに至るべし。
 又本案は優秀なる航洋性能を有し大なる航続力及巡航速力を有するを以て通商破壊に供するに好適
なり。而して若し南米沿岸にて本艦活動せば速力に於て大いに劣る敵戦艦は本艦を補足し得ず、又若
し巡洋艦本艦を補足し砲戦に至るとも大なる砲力を有す本艦を撃沈すること困難ならん。
 如上の理由を以て若し胃国本案を採用せば南米各国は胃国に対し宣戦を布告するも却て失う所大な
らん。
 但し本案に於ては決して敵戦艦との砲戦に於て勝利し得ざるべく、縦え艦隊の与論として又首脳の
希望として敵港湾に積極果敢に接近し其の主力艦隊と雌雄を決せんとするが如き勇敢且冒険的企画唱
道せらるることあるも断じて之を採用すべからず。しかし之大なる問題にあらざるべし、何となれば
侵略的戦争を希望するは他国なるに反し胃国は消極的に敵より受けんとする打撃を予知して之を防止
し若は撃攘せんとするに過ぎざればなり。
 又若し胃国との同盟締結せられ米国と共闘するに至らば、本艦は忽ち有力なる米艦隊により本国港
湾の封鎖を受け活動の自由を喪うべくも、之却て我の欲する所なり。何なれば胃国は環礁内よりする
艦隊の間接射撃及航空機の反撃等にて米国陸兵の上陸を十分阻止し得べく、また此の際米太平洋艦隊
は封鎖の為め戦艦を有す一艦隊を胃国周辺に分派せざるを得ざるを以て、未だ海戦の開始せられざる
時点より我に勢力上の優位を加うればなり。然し若し本計画にて胃国通常の巡洋艦を配備せば米国の
派遣すべき戦力は巡洋艦を主力としたる微弱の艦隊に止まるを以て、本案の如き有力なる戦艦的巡洋
艦の配備は日本海軍に取りても利とする所大なるべし。
 然し如上の利益は主砲を十二吋に換装し是を諸国に喧伝したる後に得べきものなり、而してこの主
砲換装は絶対に必要なりと本職は信ず。

 余談ながら、本案の策定に於て複数の発想ありたるも技術的問題等の為め是を断念せり。然し本案
への採用は不可能なるも将来の軍艦に於て採用せらる事もあるべく、参考の為め若干を以下に列挙す。

1.石炭の搭載及炭油混焼缶の採用
 石炭庫は能く弾片を吸収し浸水を阻止し得るを以て燃料のみならず防御材としても有用なり。而し
て特に水線上の燃料艙等を炭庫とせば防御上よりも極めて有効なるも、機関性能上の問題及火夫乗組
みの為人員の甚だしき増加生ぜんがため是を断念せり。
2.水中水雷発射管及艦首水雷発射管の採用
 防御上の観点より当初水中発射管を希望したるも昨今の高速艦艇にては技術的問題大なりとの事に
て断念せり。また艦首水上発射管も本職の切に希望したる所なるも凌波性の問題生じ速力低下の惧れ
あるを以て是も断念せり。
 殊に水中水雷発射管の装備不可能なるは極めて危険にして、船楼内の水上発射管に被弾せば轟然一
大爆発を生ずるは容易に想像し得る所にして、之本案の一大欠陥と謂うべし。而して今後の水雷技術
の研究に於て水雷の構造を強化し高速航行中の発射可能ならしむる事は絶対に必要ならん。
3.艦底の被覆
 胃国は赤道直下の熱帯に位置するを以て水棲生物の活動極めて活発なるべく、短時日の行動に於て
も多量の水棲生物艦底に付着し速力の著しき低下生ずるは明らかなり。然し本案の如き主力艦に於て
は頻繁なる艦底塗換の如きは望ましからざる所なるべし。仍て該艦の艦底を銅鈑にて被覆し被覆艦と
するを検討したるも、この場合約千噸の排水量増加生ずべきを以て断念せり。
4.前檣、後檣の武装及防護の強化
 本案にては両檣に四十密機砲を備えたるも概砲は射程少なく又防護の余力も無かりき。若し是を口
径三吋程度の速射砲とし又装甲にて防護せば其の効験一層大なるべし。特に防護の強化は弾片被害大
となる近戦に於て利とする所大なり。又此の防護は檣自体をも強化すべきを以て信号設備等の防護に
も効果少なかざるべし。
5.艦載艇の運用に用うべき「ガンツリー・クレーン」の装備
 「スパー・トーピドー」等を装備せる艦載水雷艇は廃艦となりたる敵艦の処分等に好適の装備なるも
其の揚収には大なる時間を要す。然し専用の「ガンツリー・クレーン」を配置せば迅速なる揚収も可な
るべし。
6.衝角の採用
 今日既に省みられざるが如き戦法なるも衝角突撃は威力絶大にして正確なる操艦を得たる衝角突撃
は有力なる戦法なれば決して忘却すべき戦法に非ずと本職は信ず。本案に於ては衝角の採用を最後迄
試みたるも速力発揮等の問題の為め断念せり。然し近年開発せられたる「バルバス・バウ」は衝角たり
得べき艦首形状なれば、此の構造の強化及先鋭化等を為し得れば衝角として十分に用い得べし。




あとがき
 初めまして、今回初めて投稿させて頂きました摂津と申します。一万字を越える非常識な長文にお
付き合いいただき、ありがとうございました。

 この案ですが「二十世紀版Elswick Cruiser」をコンセプトに考えております(Batteship Destroyer
とも言われるこの艦種、中小海軍国である胃国にはそこそこ適したものではないでしょうか)。とは
いえ重大な欠陥がある防御様式や信頼性の乏しい機関、換装すれば(胃国は参加まではしていないと
の事ですが)条約違反となる主砲、そして明らかに時代錯誤な考え方、と我ながら突っ込みどころ満
載と思います。ご指摘、ご指導を頂ければ幸いです。
 なお排水量ですが、なるべく慎重に計算し3%程度の余裕を持たせたつもりなのですが、何分不勉
強な初心者なもので、計算をどこかで大きく間違っているかもしれません。(概ねの重量配分ですが、
約1000トンの武装重量増大分を、速力の低下と駆逐艦用の機関採用により機関重量を1000トン弱削減
の上、更に船体深さの減少による船殻重量の軽減などで補った…といった感じで考えており、装甲重
量に関しては姑息なまでの装甲範囲縮小で重量増加を抑えたつもりでいます)。
 また、ただでさえ浅喫水の船体が十二吋砲の反動に耐えられるかという心配もありますが、こちら
は幅広の船体と装甲帯の低重心化、軽合金の使用による上部構造物の軽量化で一応の対応を図ったつ
もりです。一応前弩級艦と同口径の主砲に同程度の幅の船体ですので、交互打方に徹すればまあ何と
かなるかな、と思っております(それでも駄目なら艦底区画に注水して重心を下げる必要があるかも
しれません)。

 言うまでもないかもしれませんが、本文より「附録」の方がメインです(笑)。見ての通り非常に読み
にくいものになっていますが、もし宜しければ一番の山場である第六項の「附言」だけでも読んで頂け
れば、と思っております。非常に奇妙な文になっていますが、一つ御笑覧頂ければ何よりの幸いです。

 最後に、わざわざこのような奇をてらった案の提出に至った理由ですが、実は次の一言に尽きます。
 
「防護巡とか 好きだから」
 お粗末さまでした(笑)。