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XB−20Wは、ボーイング社が制作した高速双発軽爆B−20を双 連化した機体である。この機体を説明するためには、まずB−20につ いて説明が必要である。 高速双発軽爆B−20は1938年初頭からボ−イング社によって自主開 発された機体である。高速力をもって敵戦闘機の追撃を振り切って爆撃 を行なうというコンセプトであり、同時期に英国で設計されていた軽爆 「モスキート」と同様の発想であった。このB−20はモスキートより も少し大型であり、発動機はライトR-2600(1,600馬力)を搭載する予 定で、爆弾搭載量は4,000lb(約1,800kg)であった。問題の速度は時速 400マイル(約640km/h)が予定されていた。 のちに発動機をP&W R-2800(2,000馬力)に変更し、1940年12月に 初飛行に成功したこの高速双発軽爆はB−20として陸軍に制式採用さ れた。実戦初参加は1942年12月、欧州方面。以後、主に欧州戦線におい て実戦投入されている。 さて、さきに述べたように、XB−20WはB−20を並列に連結し た4発爆撃機である。1939年9月に公開された高速爆撃機の仕様に対して のボーイング社の解答が、当時開発中であったB−20の双連化であっ たわけである。 爆弾搭載量は各胴体の爆弾倉に4,000lbづつ、計8,000lb、他に内翼パ イロンに2,000lb爆弾が2発、総計12,000lbとなり、要求仕様を満たせる 内容となる。爆弾倉だけで8,000lb搭載可能であるため、内翼パイロン下 に、または爆弾搭載量を抑えて増槽を搭載することで大幅に航続距離を 伸ばすことが可能であった。 XB−20Wの最大の特徴は高い生還率である。 いかに強力な防御火力、重装甲を備えた機でも、操縦席を銃撃されて、 操縦士・副操縦士が死傷すれば、あとは墜落するしかない。高速力を備 えていても、出会い頭の一撃で操縦席を狙われれば同じことだ。他の搭 乗員は無傷でも、墜死か、脱出できても捕虜となり、どちらにしても 「人的資源損失」はまぬがれない。 XB−20Wは双胴形態のため、左右双方の胴体に操縦席を備えてい る。搭乗員の割り振りに配慮すれば、どちらかの胴体の操縦席がつぶさ れても、もう一方の操縦席で機体をコントロールし、帰還することで、 死傷した操縦士以外の乗員が「損失」となることを防止し得る。結果と して、搭乗員、機体の生還率が飛躍的に向上することになる。 XB−20Wの開発はかなりのハイペースで進んだ。先行していた原 形機であるB−20の設計が流用できたためであり、機体の空力特性に ついては、のちにボーイング社を代表する長距離重爆となるB−29、 その原形機の空力試験結果が流用できたためである。XB−20Wは、 B−20に遅れること6ヶ月、1941年5月に初飛行に成功した。 XB−20Wは初飛行ののち、増加試作機の発注とともに改修を受け ている。4,000lb大型爆弾「ブロック・バスター」、別称「クッキー」を 搭載可能にしたのである。「クッキー」爆弾は、英国製の爆弾であるが、 これは、援英機としての供与を考慮にいれた改修であった。無論、通常 通り2,000lb、1,000lb、500lb等、各種爆弾も搭載可能である。 改修によって、XB−20Wは、4,000lb爆弾「クッキー」を最大3発 搭載可能となった。左右胴体の爆弾倉に1発づつ、内翼パイロンに1発 という内訳である。 「クッキー」爆弾3発搭載という特徴ある兵装のため、XB−20W は、ある愛称で呼ばれるようになった。 ・・・「クッキー・モンスター」と。 ![]() ![]() XB−20W高速爆撃機 ボーイング「クッキー・モンスター」 諸元 全長 : 17.0m 全幅 : 27.0m 全高 : 6.0m 自重 : 18,000kg 全備重量 : 29,000kg 乗員 : 10名 発動機 : P&W R-2800(2,000馬力)×4(排気タービン装備) 最大速度 : 640km/h(時速400マイル) 航続距離 : 7,600km(最大) 3,800km(4,000lb爆装時) 武装 : 12.7mm連装自動銃塔×2 搭載量 : 最大12,000lb |