ノースロップ XB-21 Fly(蝿)

 1939年、米陸軍は一つの大型爆撃機の試作要求を出した。4発。爆弾搭載量
4.5トン、最高速力608km/h、航続は1.8トン搭載時に3500km。
 もちろん、この値は大型爆撃機にとってはきついものである。後のXB-36でさえ、
3000hp×6の強力なエンジンを持ちながら、速度は600km/hをわずかに下回ったのだ。

 この厳しい要求仕様に対し、極めてユニークな発想で挑んだ男がいる。その名は
「ジャック・ノースロップ」。

 彼は大西洋の向こう・・・、イギリスにそれを解く鍵が有ることを察知していた。
 その鍵とは、「フリーマン大将のお道楽」。デ・ハビランド卿の作り上げた流麗な
胴体を持つ全木製無武装爆撃機。やがてそれはモスキートの名で英空軍爆撃隊を席巻
することになる。

 ノースロップもまた、全木製無武装でいくことを決意した。当時、アメリカが参戦
した場合、戦略物資が高騰するだろうと言われたことに対しての配慮であった。また、
速度性能の面でも、有利に働くだろうという読みがあった。狙った通りの表面形状を
得られる上、ワックスを塗ることで表面の凹凸がなくなり、層流翼の効果を目いっぱ
いにはたらかせられるからである。

 木製機の場合、部材の一部に負荷が集中するような機体構造にはできない。彼は
全翼式構造を強いられたのである。もっとも、それでも彼には勝算があった。
 1年前につくった小型双発全翼モデル、N-1Mによって、全翼機を知り尽くしたという
自信があった。なにより、彼自身が理想の機体とは全翼機であると考えていたので
ある。

 だがしかし、ノースロップがこの計画を軍関係者に話したところ、たちまち笑われて
しまった。
 「いまさら木製機でもないだろう?」
 このことがノースロップの、そして彼の抱える設計陣の奮起を促したことは言うまで
もない。

 エンジンは液冷で最高馬力をたたき出す、アリソンV3420。実績十分なアリソンV1710
を2つつなげた大馬力エンジンである。これを爆弾倉の直後に載せ、延長軸でプッシャ
ー式の直径4mの櫂型プロペラを駆動する。普通は機の外部に出される冷却機構は、気流
の乱れを防ぐために胴体内に収められた。(プランA)初飛行は1941年。だが、ここから
が本当の苦しみだった。

 目標数値、最大速度700km/h、爆弾搭載量4.8トン、2.0トン搭載時の航続距離は36
00km。この数値をことごとくXB-21はクリアしていった。インテークも大きめにとった
ために過熱の恐れは微塵も見せなかった。巡航速度も580km/hと飛びぬけて高く、低抵
抗・大搭載量を生み出す層流全翼・全木製構造の優秀性をアピールした。

 軍関係者は態度を豹変させた。
 「XB-21こそは最も革新的で、最もこの戦争に必要なものである。」
 と。

 だがしかし、エンジンが簡単に不調に陥るのには閉口した。順調な時はP-47さえ抜き
去る速度なのに、ひとたび不調に陥るとたちまちそのエンジンは停止してしまう。

 アリソンの技術者がつきっきりで試験場に常駐し出したが、それでも状況は変わらな
かった。

 アリソンの技術者がきてから3週間。ついにノースロップは決断を下した。
 「とりあえずは8発で試作に挑もう。ワスプ・メイジャーができてから4発に戻せばい
いんだ。」

 3000hpの化け物空冷エンジン、ワスプ・メイジャー。それは設計者にとってもっとも
待望していたエンジンであった。だが、完成はだいぶ先のことになる。それまでトップ
クラスの性能を維持できる自信があればこその台詞であろう。

 V1710を8機搭載した、XB-21の4号機(プランB)は、期待に違わぬ性能をたたき出した。
信頼性の面で大幅に向上し、飛行性能もまったく落ちていなかった。

この状態でノースロップはコンペチションに望んだのである。

XB-21三面図



【スペック ( []内V3420搭載機 ) 】       全幅:40m       全長:22m[16m]       全高:10m     エンジン:V1710 (1400hp) ×8 [ V3420 (2600hp) ×4 ]          (将来にワスプ・メイジャー4発に切り替え予定)    最大搭載量:4.8トン     最大速度:715km/h   最大航続距離:5800km       乗員:3名(パイロット、航法士、爆撃手)
あとがき  大好きなモスキートにからんだ計画です。かなり変態が入ってますが(爆)  ただ名前はハエじゃなくてアブにしたかったなぁ。辞書に載ってないんだもん。  厳密な意味では4発機ではないんだよなぁ・・・。まあ、火葬ということで勘弁して ください。えらく飛んだストーリーも書いてしまいましたが・・・。  競争試作中一番速度を出せるプランであることには自信があります(笑)