飛鳥型(Anti Aircraft Cruiser Asuka Class)

飛鳥型

日本海軍に於ける防空巡洋艦建造計画は、第3次海軍軍備補充計画が最初で、先ず防空巡洋艦「綾瀬」「高瀬」が建造され、引き続き第4次計画で「水無瀬」「音無瀬」の建造に着手していた。
第5次計画でも2隻の建造が計画原案に盛り込まれた。
しかし、米国議会が昭和15年(1940)に第3次ヴィンソン案を通過させ、更に翌年にはスターク案が通過したため、当面の海軍勢力は日本との間で均衡を保つとしても将来的には大きな格差が開くものと予想された。
太平洋戦争開戦が必至となって昭和16年(1941)戦時建造計画が成立して第5次計画は大幅に拡大変更されたが、このとき、戦艦「紀伊」型2隻や航空母艦「葛城」型6隻等とともに防空巡洋艦4隻の建造が決定された。
これが超「綾瀬」型の「飛鳥」型である。
「飛鳥」型は船体の設計を第3次計画で建造された「阿賀野」型と同様とし、「綾瀬」型よりも大型の船体を持つ事となった。
主砲は従来の防空巡洋艦が九八式10.5cm連装高角砲のみの装備であったのに対し、戦艦「大和」型で採用された物と同様の九九式60口径15.5cm連装両用砲(注-1)を4基背負い式に搭載し、更に艦橋側面から煙突の後部までの間に九八式65口径10.5cm連装高角砲を片舷3基搭載した。
九九式15.5cm連装両用砲は、高角砲としても使用可能な砲として設計された三年式15.5cm砲を元にした本格的な高角砲である。
機銃は従来の九六式25mm三連装機銃を搭載する予定であったが、建造中に変更されて戊式40mm連装機関砲(注-2)を試験的に採用した。
その他に、電探の装備、25mm単装機銃の追加、対潜兵装の充実等の諸変更を建造中に実施した。
一番艦「飛鳥」は昭和19年(1944)8月6日、二番艦「米代」は同年8月10日に、三番艦「雄物」は同年10月15日に、四番艦「由布」は同年10月19日にそれぞれ竣工した。
竣工当時、既に対米戦(第一次太平洋戦争[1941〜1944])は終結していたが、欧州方面での対ソ戦(第二次欧州大戦[1939〜1953])は未だに継続されていたため、日本は参戦していなかったものの欧州陣営及び満州・韓国・中華民国への武器などの輸出が行なわれていた。
ソ連は日本の物資輸送に対し、「実力を持って排除する」との警告を発していたため、「飛鳥」型4隻は輸送船団の護衛に主に地中海方面で運用され、「戦争状態に無い戦闘状態」のもとでソ連空軍機との対空戦闘やソ連海軍艦艇との戦闘に活躍した。

◎要目(飛鳥竣工時)
基準排水量:9,250t 全長:186.9m 最大幅:15.8m
機関出力:110,000馬力 速力:34.6kt
兵装:15.5cm連装両用砲4基
10.5cm連装高角砲6基、40mm連装機関砲12基、25mm単装機銃10基
二式15cm九連装対潜噴進砲1基、九四式爆雷投射機2基
搭載機:1機
同型艦:飛鳥、米代、雄物、由布

(注-1)口径:155.0mm 砲身長:9,615.0mm 砲身重量:12,564.0kg
仰角:−7〜+75度 弾量:55.85kg 初速:920m/s
最大射撃高度:19,000m 発射速度:12発/分
備考:「最上」型等に採用された三年式15.5cm砲の改良型
砲弾は半自動装填式

(注-2)口径:40mm 砲身長:2,250mm 砲身砲架重量:2,100kg
仰角:? 弾丸重量:1,000g 初速:860m/s
最大射撃高度:?
備考:上記の諸元は五式40mm単装機関砲のもの
ボフォース社製40mm機関砲のライセンス生産型
後に改良の後正式採用され五式40mm機関砲となる