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1939年12月、アメリカ陸軍は、従来の概念にとらわれない独創的なデザインによって画期的な 高性能を達成する迎撃戦闘機の案を、広く多数の航空会社に要求した。 ダグラスでは、すでにこのときノースロップを吸収合併したことによって獲得していた天才設計者、エド・ハイネマンを主担当者に据え、原案デザインの製作にとりかかった。 ハイネマンは、要求仕様の「一般的な形態にとらわれないこと」という条文を意識し、全翼機を含むA〜E案の5つのデザインをまとめ、軍に提出した。 米陸軍では、試作発注の内定していたXP−54〜56の3機種が、文字通り「一般的な形態にとらわれない」デザインだったこともあり、ダグラスから提出された案の中からかは、保険の意味をかねて、最も保守的なデザインであるE案を採用して、1942年5月にXP−57として発注契約を結んだ。 ハイネマンは当初、発動機にはアリソンのV−1710−95を予定していたが、より高々度性能の高いパッカードV−1650−3が生産されることになったため、これを使用することにした。 さて、そのE外見は一見普通に見えるものの、その内部構造は極めて独創的なもので、その独創性はエンジン回りに発揮されていた。 まず、ハイネマンが考えたのは、液冷エンジンの場合エンジンブロックの左右にエンジン本体を機体側に取り付けるための支持架が必要になるが、これは機体の横幅を増大させるだけなので、なんとかしてこれを使わずにすませる方法はないか、というものであった。 そのために彼が考えた方法は、エンジンをプロペラ・シャフトと反対側の本体部分で防火壁に直接取り付けるということであった。ただ、そのまま直付けすると強い震動を発生することが懸念されたため、ゴム製のブッシュを間にかませることにした。また、このエンジンマウント方法は、プロペラ回りの荷重もエンジン本体に持たせることができ、機体外板の構造重量を軽くすることにも役立つと考えられた。 これを実現するために、過給器の装備位置が問題となった。しかしこれは、エンジン前部に持っていき、空気は機首のダクテッド・スピナから取り込むことで解決した。過給器の駆動には、コントラ・ペラの機構を利用することで対処したため、装備するエンジンもこの機構を備えたV−1650−5となった。同時に、1段目と2段目の過給器の間に上下2段に空冷式の中間冷却器を配し、その冷却空気を上段は右から、下段は左から取り入れることにした。 ラジエーターの空気取入口は、エンジン支持架をなくしたことにより空間となったエンジン本体下部左右のくぼみから取り込むこととした。 また、何よりも空気抵抗を小さくするという意志の元に主翼も小型化された。 これらの設計により、従来の液冷機のように、ラジエーターなどの空気取入口を機体から突出させることがなくなったため、極めて前面投影面積の小さく、また、機体表面の気流の安定した機体となり、風洞実験の結果でも、劇的に空気抵抗が小さくなっていることが確認された。 1号機は、1943年6月に初飛行を行った。 テストを進めていくうちに、本機の高性能は徐々に明らかになっていった。 まず、全開テストで実に769q/hという、途方も無い最高速度を記録した。また、機体を小型にすることに成功したことで抜群の上昇力と加速能力も獲得しており、空気抵抗が少ないことで、急降下時の優れた加速性と高い急降下制限速度、そして、エンジン本体を機体中心に近づけたことにより、優れた回頭性も発揮した。 しかし、いいことばかりでもなかった。 まず、ラジエーターの装備位置の問題で後退せざるをえなくなった操縦席のため、大迎角時の前方視界が劣悪となり、離着陸が難しい機体となった。また、小さい主翼ゆえに機銃の大量装備が不可能となり、12.7o4丁のやや、貧弱な武装となったうえ、燃料搭載スペースにも不足をきたし、航続距離がわずかながら要求に達しないこととなってしまった。 しかしながら、信頼性の高いV−1650を採用したこともあり、故障などのトラブルは少なく、陸軍に領収された後のテストも順調に進み、テストパイロットにも、かなり好評であった。 諸元 全長: 8.84m 全幅: 10.21m 翼面積: 17.68u 自重: 2,340kg 全備重量:3,980kg 武装:ブローニングM2 12.7mm機関銃×4 エンジン:パッカードV−1650−5 液冷倒立V型12気筒 1450馬力 最大速度:769Km/h(7,920m) 航続距離:1200q(標準)、2300km(増槽装備) 上昇時間:6,100mまで5分8秒 作者からのコメント: どもども、胃袋3分の1でございます。 この機体、気づいた方もいらっしゃると思いますが、「落書き部屋」にある「謎の液冷機」の改良版であります。 「謎の液冷機」の発想自体が1年以上前のものでありますので、もちろん今回の競走試作用にデザインしたものではありません。 ただ、R40−C計画がことごとく失敗した原因は何かと考えましたところ、「大馬力のエンジンを当て込んで機体をデザインした」ことにつきるのでないかという結論に達しました。そこで、私のR40−Cは、まずは機体を小型化し、それに普通のエンジンを搭載して高性能を目指すべきだと考えたのであります。 これに、「謎の液冷機」のデザインがうってつけでした。 実際、史実のR40−C計画機がテストされていた1943年後半には、同じV−1650を搭載したP−51Bがすでに実戦配備されており、R40−C計画機よりもはるかに高い性能を発揮していましたから、現在テスト中の本機は、このP−51Bを性能面で圧倒的に上回る必要がありました。これを実現する最も簡単な回答は、同じエンジンを搭載して、さらに機体を小型・軽量で抵抗の小さいものとすることでした。 また、いくら軍が「強く要望」しても、その軍を納得させられるだけの性能値を示す機体を出せればいいわけで、その意味から言えば、別にありきたりのデザインであってもていいわけです。 このことに気づいて、逆にオーソドックスなデザインの機体を投稿してくださる方が何人かいらっしゃるかと思いましたが、やはりここは「架空機の館」でありましたね。みなさんホントに・・・(笑) でも、そのほうが非常に楽しめて良かったですね。今回は本当に投稿されてくるたびに、思わず「にやり」としてしまい、中には爆笑した機体もあったぐらいでした(もちろん、いい意味でですよ)。 それにしても、またもや時間が無くて側面図だけになってしまいました。審査投票が終わって時間ができたら、そのうち平面図と正面図も描くことにいたしましょう(っていいつつ描いたためしがないワシ(爆)) いや〜、とにかく今回はたいへんおもしろかったです。実は次回のお題も同じノリですでに考えてあるのでした。で、大胆にもここで次回の予告・・・。 次回は「フォルクス・イェーガー」だかんね〜!みんな、がんばってちょー!(笑) おまけ: 「アンティーター」ってなんじゃらほい? 「Anteater」、つまり「アリクイ」ですな(笑) |