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●開発経緯● 本機はリパブリック社が開発した迎撃戦闘機である。 本機は1939年12月に発令された迎撃戦闘機要求案…通称『R40C計画』によって製作された。 この要求は非常に過酷であった。 01)最大速度:720q/h以上 02)航続距離:標準・1,300km、最大・2,500km 03)上昇力:6,100mまで5分30秒以内 リパブリック社は現在『XP-47』の製作に全力を投入している状況で本要求には消極的であった。 だがリパブリック社を代表する設計技師『アレクサンダー・カルトヴェリー』は大きな興味を示していた。 『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は液冷エンジンを搭載した『XP-47 A』から空冷エンジン『R-2800』への設計変更を終了した際に言い様の無い寂しさを感じていたのだ。 自分の求めるデザインから大きく外れた空気抵抗の大きな機体…。 そう、『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は優美な円を基本とした空気抵抗軽減に自己の理想を求める完璧主義者だったのだ。 彼は熱心に要求書案を読み返した。 彼が特に心動かされたのは以下の1文であった。 その他特記事項: 機体デザインについては、画期的な高性能を実現するために、エンジンを機首に配し牽引式プロペラを持つ従来の一般的な形態にとらわれないこと強く希望する。 この1文を読み終えた時、彼の心は決まっていた。 社長を説得する自信はある。 彼は紙面から顔を上げるとニヤっと微笑んだ。 ●開発● 優美な紡錘形によって構成された機体に彼は革新的な設計を盛り込む事を決意した。 その第1は先尾翼である。 先尾翼…。 それは未知の形態であった。 リパブリック社はこの形態の採用に関心がなかった。 『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は直ぐさま陸軍へと掛け合い、カーチス社が製作を進めていた『XP-55』の基礎飛行データの公開を求めた。 陸軍は『その他特記事項』で明記した特殊性、戦時下に於ける機体の早期開発を盾に詰め寄る『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師の要求に遂に折れた。 陸軍は戦時下の特例としてアメリカ合衆国の為に先進技術を公開すべし、との特例を発令した。 カーチス社はリパブリック社に対して資金援助を求めリパブリック社はこれに(渋々ながら)答えた。 リパブリック社は易々と先尾翼のデータを得る事が出来たのだ。 この条約は本『R40C計画機』に大きな影響を与えた。 各社の技術はまるでミキサーで攪拌された様になり、全体の性能を非常に向上させた。 極限まで空気抵抗の軽減を重視した『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師の設計は徹底していた。 彼はあくまで中翼配置にこだわった。 機体から主翼にかけての接続は言うに及ばず、エンジン・ナセルと主翼との接合も中翼配置を採用した。 良識ある設計者なら懸架方式を採用しエンジンの整備性を向上させただろう。 だが彼は高速性を追求したのだ。 主翼は『XP-47』からの流用品であった。 機体後部に設置された垂直尾翼は上下に伸ばされ魚の尻尾の様に見えた。 下部に設けられた垂直尾翼はプロペラの尻打ちを防ぐ為と直進性の保持を目的としていた。 この様に本機の構成部品の多くは『XP-47』から流用されている。 機体内部、キャノピーの大部分も『XP-47』からの流用品で占められた。 彼の先進的発想は更に続く。 推進式プロペラ、しかも2重反転式を採用したのだ。 彼は『カーチスエレクトリック C542S』を2重反転式に装備した。 この2重反転プロペラの直径は最大3,9mにも達する巨大な物であった。 エンジンには新開発の液冷『ライト W-2160』2,500馬力が選定された。 前面面積の小さな大馬力発動機の採用に『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は拘った。 他のスタッフからは『P-47』と同じ『R-2800』を採用しては…と助言を受けたが『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は頑として譲らなかった。 本機はこれを2基搭載し冷却用のラジエータはエンジン・ナセル前面に装備した。 何も遮る物無い絶好の位置に置かれたラジエータの廃熱はそのまま後方へと導かれナセル側面の可動式方形ダクトからエンジン排気と共に排出された。 排気タービンは装備されなかった。 リパブリック社はその先進的技術ノウハウを持ちながらも『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は重量物の搭載を嫌った結果からである。 降着装置は前輪式3輪方式を採用していた。 エンジン・ナセル直下に後輪が配置され大口径プロペラの直径を稼ぐのに貢献している。 米国に於いては前輪式3輪方式は比較的ポピュラーな物であった。 武装は機体機首にブローニングM2 12,7m/m機銃が8基、装備された。 この武装はアメリカ軍戦闘機としては標準的な物であった。 ●試験飛行● 本機は『P-47』とほぼ時を同じくして1941年11月(『P-47』は5月であった)進空した。 試作機は制空迷彩が施されていた。 当時、標準であった陸軍の深緑色迷彩ではない。 『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師がそれを許さなかったのだ。 『戦闘機の戦場は空中である。地上ではない』。 それが彼の信念であった。 試作1号機はその後、数々の改修を行い42年6月に全力飛行を実施する事となった。 改修点は先尾翼、エンジン、2重反転プロペラに集中した。 明らかに機体の成熟不足である。 設計当初より心配されたナセル・ストールは発生しなかった。 おそらく牽引式にではなく推進式にプロペラを装備したからであろう。 エンジンの信頼性は相変わらず非常に低かった。 明らかにエンジン『ライト W-2160』の円熟が足らないのだ。 だがその日『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師は陸軍のお歴々を前に自信満々に全力飛行を命じた。 1号機は順調に高度を増していった。 高度6,500mに達した時、スロットルが全開された。 機体は急速に加速を開始した。 30分後、本機は遂に800km/hを越えた。 『おおおおっ!』 管制室に低い唸りにも似た声が響いた。 将軍達は目の前で起きた出来事に感心し言葉を無くしたがその後、微笑みを漏した。 誰もが本試験が成功裏に終わった事を喜んだ。 …だが『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師はさらなる加速を命じた。 新たな緊張が管制室を走った。 シンと静まり返った管制室に誰かが唾を呑み込こむ音だけが響いた。 『…了解…加速を続けます…』。 パイロットは機体の全性能を引き出すべく鞭を入れた。 機体はジリジリと鈍亀の様に加速を続けた。 まるで1分が1時間の様に感じられる時が流れた。 加速開始から1時間23分、本機は遂に844km/hに達したのだ。 『アレクサンダー・カルトヴェリー』技師の声が響く! 『850km/hまで後少しだ!行けっ!『プッシュ・ダガー』っ!』 満場の全員が興奮に打ち震える彼を見た。 興奮が伝染し、足踏みは管制室を揺らした。 経験豊富で百戦錬磨な将軍達ですら足を踏みならしてこの快挙を讃えている。 だが悲劇はその直後に訪れた。 右側エンジンから発火したのだ。 『…エンジンから発火…コントロール不能…』。 悲痛なパイロットの絶叫がスピーカーから響いた。 機体は急激なスピンに見舞われそのまま墜落した。 パイロットは奇跡的に脱出に成功し軽傷で済んだ。 この出来事は『XP−57 プッシュ・ダガー』の上に不吉な影を落としていた。 搭載する新型エンジン『ライト W-2160』の信頼性の脆弱さが表面に現れたからだ…。 ●『XP−57 プッシュ・ダガー』性能諸元● 乗員:1名 発動機:『ライト W-2160』2,500馬力 * 2基 全幅:13,8m 全長:11,5m 翼面積:35,6m2 自重:6,790kg 全備重量:9,110kg 最大速度:844km/h(高度6,500m) 上昇力:6,100Mまで3分50秒 航続距離:経済巡航1,350km(荷重:2,720km 落下増槽使用時:5,160km) 武装:ブローニングM2 12,7m/m機銃 * 8 ●技師 Olympia より一言● お久しぶりです、 Olympia です。 またもや双発です。 しかもまたもや信頼性の低い試作エンジン搭載機…。 いや〜、私ってホントにこればっかりですね。 機体のデザインも先尾翼重視主義だし…う〜ん、ダメですね。 意外なデザインを心がけると良いアイディアってなかなか浮かばないんですよ。 結局、現有機の焼き直しにしてしまうと面白みが薄れるし…。 困った物です。 今回のは飛ぶかな?って感じで描いています。 仮定形な所がポイントだと自分では思っています。 又、私は架空機は戦場を180度、ひっくり返すような革新的良機ではダメ!と言う信念を持っていますので、いつも致命的な欠陥を内包させています。 その方が何かロマンチックな気がしませんか? 昔の少年漫画の主人公、クラスに1人はいた問題児みたいで。 …戯れ言が多くてすいませんでした。 次回の競争試作にも参加したいと思っていますのでその時は又宜しくお願いいたします。 それでは、失礼いたします〜。 PS:またまた戦記は無しです。 天城氏の言われる様に機体デザインを評価するのが本道ではないかと私も気付いたからです。 |