- 改装の目的
- :旧式化しつつある扶桑級戦艦を改装し、能力の増強により延命をはかる。
- 改装の主眼
:1.高速化 2.兵装の強化 3.防御力の強化とし、優先順位は1〜3の順とする。
- 改装の内容
:
- ・3、4番砲塔を撤去し、空いた艦内スペース下部に機関と燃料タンクを
追加し、缶と機関をシフト配置にする。艦内スペース上部は兵員居住区
とし、主砲撤去後の甲板は垂直防御を強化し高角砲を配置する。
- ・主砲の3連装砲塔化を行い砲口径長を45から50にする他、最大仰
角を43度に上げ、装填は自由装填式とする。副砲は全廃する。
- ・ 艦首、艦尾を延長、船体の抵抗を減少させ防水区画を増やす。艦首はスプーンバウをやめ凌波性をよくする。船体側面にバルジを増設する。
- ・ 前部マストを後退させ、主砲発射時の爆風の影響を減らす。測距儀、射撃指揮装置の新設
- ・ 注排水システムの強化と消火栓の増設、それらを動かす電気設備の強化
- 改装後の性能
:
- ・基準排水量 37800トン
- ・全長 228.8メートル
- ・全幅 36.1メートル
- ・喫水 9.8メートル
- ・機関 艦本式タービン8基4軸 ロ号艦本式重油専焼缶8基
機関出力14200馬力
- ・速度 30.1ノット
- ・航続距離 18ノットで11900浬
- ・兵装 50口径35.6センチ主砲3連装4基12門、45口径
12.7センチ高角砲連装8基16門、25ミリ機銃3連
装8基24門、水偵2機
・ 「扶桑」の改装は昭和10年9月から13年9月にかけて行われた。当初の予定では防御力の強化を中心に改装されるはずだったが、先に改装が終わった「榛名」が30ノットの高速を出し、他の金剛級戦艦も同様の改装を受けることから艦隊戦時の連携に問題が出るのではとの意見が強くなり速度の向上を優先させることになった。
また、当初主砲を連装4基に減じる予定であったが、金剛級戦艦より大型の艦であるのに、改装の結果火力が金剛級と同じになるのでは意味がないとされ、設計はあったがお蔵入りになっていた平賀案による扶桑級の3連装砲塔化が取り上げられ、実行された。
副砲については両用砲があるならば航空機にも小艦艇にも対応できるとの考えから全廃された。
防御はジュトランド海戦の戦訓を元に、垂直防御を中心に強化され、舷側にはバルジが追加された。
改装の終了後、「扶桑」は同様の改装を受けた「山城」と共に第2艦隊に所属し昭和16年12月8日の開戦を迎える。開戦時は南遣艦隊に所属し、サイゴン方面にあったが12月8日夜にイギリス艦隊と遭遇し砲雷戦を交えた。この時、英戦艦「プリンスオブウェールズ」の第1砲塔に対して「扶桑」の砲撃が命中し、弾ははじかれたが「プリンスオブウェールズ」は第1砲塔が故障して使用不能となった。これを見て南遣艦隊側は「プ
リンスオブウェールズ」への攻撃は雷撃のみとし、砲撃の目標を装甲の薄い「レパルス」に変更して攻撃を続行し、「扶桑」の砲弾2発、「山城」の砲弾3発を船体前部に受けた「レパルス」は弾火薬庫に火が回り轟沈する。
しかし「プリンスオブウェールズ」の砲撃により、「扶桑」は艦橋に被弾し射撃方位盤が狂い砲撃の統一指揮が不可能になり「山城」は「レパルス」の砲撃により左舷前部水線下に被弾し、浸水により速力が18ノットに低下し、艦隊行動が乱れた。さらに夜間と相まってスコールが降り出し日本側は「プリンスオブウェールズ」を見失ってしまう。「プリンスオブウェールズ」は翌日航空攻撃で撃沈され、「扶桑」「山城」乗組員はくやしがったという。
この後「扶桑」「山城」はサイゴンで損傷を修理し、インド洋作戦に参加した後、ミッドウェー海戦に「伊勢」「日向」と共に機動部隊の護衛として参加し、空母「赤城」「加賀」「蒼龍」に突っ込んで来たSBD9機中7機を撃墜破し、「赤城」「加賀」を守りきった。(蒼龍は爆弾1発を受け、搭載機の誘爆で大破し戦闘後曳航され帰投)
ソロモン海戦では第3次ソロモン海戦でアメリカ戦艦「サウスダコタ」「ワシントン」と夜戦を行い、「サウスダコタ」を退避させ、「ワシントン」のレーダー射撃による「山城」の大破と引き替えに「ワシントン」を大破させる。「扶桑」は本来の任務の飛行場砲撃を行い帰還する。この後機動部隊の護衛としてソロモン、マリアナ方面で行動した。
扶桑級最期の戦いとなったレイテ沖海戦では、「山城」「伊勢」「日向」と共に昭和20年4月7日米第7艦隊の戦艦6隻とスリガオ海峡で砲戦を行い、「カリフォルニア」を撃沈「テネシ−」を大破するも「ウエストバージニア」「メリーランド」の16インチ砲の火力と駆逐艦の雷撃により「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」共に撃沈される。
後の評価では改装の結果、伊勢級、長門級の改装のモデルとなったことと敵艦の能力の方が高い時でも速度、火力、防御等を十分に生かして戦い戦艦としての価値を発揮したことの2点が評価され、もし扶桑級が当初の予定通りに改装されていたら他の日本の戦艦も低速度のまま改装を終了し東太平洋から南太平洋、インド洋までに渡る戦線を支えるため機動力が求められた今次大戦で活躍は無く、その大半は役立たずになっていたと言われる。
|