扶桑改装計画(摂津重工案)

 

基本方針

 プレジュットランド型の36センチ砲戦艦である扶桑型を一線級の戦闘艦として再生する事は期間・費用・効果のいずれの面からも困難であり、本計画では戦闘艦としては一線級に及ばずとも、戦闘に直結した支援機能を付加することで艦隊の総合戦力として一線級の艦艇として使用可能である事を目的として「旗艦用戦艦」に改造を行ないます。
 用途は艦隊の旗艦としての利用を第1とし、指揮通信能力や各司令部を収容するスペースを増強します。その他、物資の輸送・貯蓄や軽便な工作能力といった根拠地としての機能も付加し、事変などで海外派遣される際には運送船、工作船、港務艦などの任務も兼務できる前線基地としての用途も考慮します。

船体・装甲

 船体の主要構造については、工数削減の見地から極力、手を加えないものとし、手を加える場合は工数削減の配慮を行なうものとします。

◆船型
 船尾は艦のバランスの関係から15mのストレッチを行ない、ついでに荷役・工作など甲板作業の効率化を図る為に船尾をトランサム形状に改めます。
 また、舷側に軽いバルジを付加し、艦の浮力および防御力向上を図ります。

◆装甲
 間接防御を重視した集中防御方式を徹底し装甲区画を従来の3/5まで減じ、従来のVCやDSに変わりVHやNVNCを利用する事で防御力を減じない軽量化を図ります。
 水線装甲はバルジ付加による強化も見越してVH220ミリまで減じ、代わりにプレジュットランド型の弱点である水平装甲をNVNC64ミリの二重装甲とし、弾火薬庫上部などの一部の部分にはさらに傾斜48ミリNVNCを使用した三重装甲として40センチ砲の命中にも耐えるように改めます。

構造物

 構造物は全てを撤去し、再構築する方針で建造します。改装の方針上、構造物が大きくなりがちなので重量軽減には細心の注意を払い、電気溶接などの新技術やSDやNVNCといった新素材も積極的に使用するものとします。ただし、特殊鋼やアルミ合金への電気溶接は一切行なわないものとします。

◆艦橋・前檣
 旗艦設備を充実すべく5層の大型艦橋を採用しました。
 統制砲戦のため、射撃指揮装置は40センチ砲(将来的にはそれ以上)対応のものを搭載します。また、通信機能の充実を図るべく前檣を独立させ、充分な高さを得られるようにする一方、重心の上昇を押さえるべく、三脚支柱等にはSDを使用します。

◆煙突
 集合煙突を採用します。艦橋の大型化に伴う重心の上昇をカバーするため、煙突やその他の構造物については極力、簡便な構造を採用するものとします。

◆後檣
 3番砲塔と貨物室の間に後檣および後部艦橋を設置します。
 後檣はデリック支柱兼用とし、充分な強度を得る為に三脚方式とします。
 また、空中線の長さをできるだけ得る為に後檣の後に最後檣を設けます。これは船尾の水上偵察機/装載艇用のデリックを延長するものとします。
 後檣および最後檣の延長部分はSDを使用します。

◆船倉・工作甲板
 後檣以降は艦隊の補給物資や輸送物件を搭載する船倉および工作施設とします。船倉は大きな方が使い勝手がよいのですが、被害極限の見地から特に水線下の部分については比較的小さな区画に分割します。
 船倉の一部は油密とし、軽便な荷役装置を追加搭載する事で液体貨物の搭載も可能とします。

機関

 技術の進歩の恩恵をうけるべく一新としますが、工事工数を減らすため、効率が若干悪くなる事を覚悟で従来の構造を生かす形を優先します。

◆主機
 要求速力は他の戦艦の速力を考慮して26ノット、巡航速力は巡洋艦と行動も考慮して18ノットとし、これを実現する為に艦本式オール・ギヤードタービンを4基搭載します。
◆缶
 8基に減じます。形式は艦本式水管缶、重油専燃とします。

◆機関の配置
 缶室と主機室の間に中間区画のあるシフト配置となっています。ただし、これは生存性向上を狙ったものではなく、3番砲塔の弾火薬の配置の都合によるもので、生存性は却って悪化する可能性があります。

兵装

◆主砲
 3基を減じ前部2基、後部(中部)1基とします。
 廃止するのは3・5・6番砲塔で、1・2番砲塔はそのまま、4番砲塔(新3番砲塔)は2番煙突の跡地に移動させます。
 砲の仰角は伊勢型と同じく最大43度まで引上げ、天蓋の装甲も強化します。

◆副砲
 発達の著しい航空機からの防御を図るために副砲を単装8センチ高角砲に替えるものとします。
 砲力は低下しますが、敵巡洋艦の撃退については他の艦の支援で充分であり、駆逐艦以下の艦艇に対しては、むしろ高初速の小口径砲の方が有利であると想定されます。

◆機銃
 地上への応戦や個艦防御力の向上の為に機銃の大量増設を行ないます。
 機銃は取り外しを容易な構造とし、必要に応じて陸戦隊で使用できるものとします。(この機銃は人力または騎力牽引を基本とし、その為の装置またはその装置の作成に必要な部品を装備に加えるものとします)

◆雷装
 戦艦が雷撃に参加できる機会・効果と被害時の損害拡大を勘案し、全廃とします。

◆航空
 艦尾に射出機を1基装備し、射出機上および工作甲板上に観測・連絡用に水上偵察機3機を搭載します。さらに他艦や基地との連絡等の為にさらに3機を定数外機として運用・収容が可能な装備・備品を有するものとします。

諸元

基準排水量30200トン
全長220m
平均吃水8.0m
主機艦本式オールギヤードタービン4基 4軸
主缶艦本式水管缶 重油専燃 8基
出力82000馬力
速力26ノット(貨物搭載時)
航続力18ノットで9000浬
兵装36センチ連装砲x2
8センチ単装高角砲x10
25ミリ連装機銃x40
航空兵装射出機1基・水上偵察機3機
その他補給・輸送物資/燃料搭載可能

(改修後の予想図)