ユンカース国民戦闘機 EF.129Pa「リンヒェン」

EF.129Pa「リンヒェン」
 ドイツで全翼機の夢を見たのは、ホルテンやリピッシュだけではない。いや、フーゴ=ユンカースその人こそがドイツ全翼機思想の始祖であるといってよい。金属機のための圧翼構造を手にした彼は、第一次大戦中には早くも超大型全翼機の構想図を描き、また、翼に埋没した構造を持つG38旅客機を作る等、意欲だけは他に先んじていた。
 一方、フランスではペイヤンが「巨大なデルタ尾翼に全てを格納する高速機」を試作・提案し、空軍の予算を獲得してPa.22試作機を製作していた。同機はドイツによる占領下でも開発が継続され、技術資料はドイツに渡った。この資料と自社製ジェットエンジン手にしたとき、フーゴ=ユンカースの脳裏を「雪辱」の言葉が走った。これこそは全翼機の悩みであるトリム変動対策の答だ、これで半端な玩具を作ってもてはやされている後発の者たちを見返してやれる。おりしも国民戦闘機計画が発令され、この構想にはEF.129の名が与えられた。
 機体構成はユンカース風のアレンジがなされているものの、ペイヤンの構想を忠実に解釈している。独立した胴体はなく、前作「マムート」無尾翼輸送グライダーで経験済みの主翼中央部の極端な厚さによって内部容積を確保、戦略物資節約のための木製構造にまつわる強度不安と構造重量の増加をも解消する形式を採用している。また、機体全高を抑え、かつ不安定なJumo004Bジェットエンジンにきれいな空気流を取り入れるために機首右側にエアインテイクを設置、緩くカーブしたダクトでエンジンに空気を供給することとし、コクピットは輸送機・爆撃機メーカーの作品らしく、左にオフセットした。降着装置は三車輪式だが、引き込むのは前脚だけで、しかもJu88よろしく90°ひねり、さらに左へ振りながらパイロットシート下付近に平らに収納される。後輪は内外翼接合部付近下面の垂直尾翼をスパッツとした半引込み式で、この垂直尾翼も相当の厚みがあるため、主兵装であるMG151/20機関砲の弾倉と薬莢・リンクシュートを収納している。前翼と垂直尾翼は木金混成構造である。燃料は主翼内のメインタンクと前翼内の補助タンクに合計1200リットルを収納、さらに内翼下に300リットル増槽を2本懸架できるが、増槽使用時には離陸促進ロケットブースターの使用が前提である。なお、車輪はFw190と共通である。

 全長   7.89m
 全幅   6.78m
 全高   2.16m
 自重   2421kg
 全備重量 4088kg(機内装備のみ)
 最大速度  880km/h@6000m
 航続距離 1100km(機内燃料最大)
      1550km(増槽×2)
 上昇時間 6000mまで5分3秒