
諸元
全長 : 10.52m
全幅 : 14.02m
自重 : 3,400kg
全備重量 : 4,800kg
発動機 : RRマーリン63液冷倒立12気筒V型
離昇出力1,650hp×1
プロペラ : ロートル4翅 直径3.45m
最高速度 : 692km/h(高度8,250m)
上昇力 : 6,100m/6分25秒
航続距離 : 1,450km(正規)
2,175km(増槽装備)
武装 : 20mm機銃×4 または 7.7mm×8(翼内)
500lb爆弾×2(両翼下)
乗員 : 1名
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1941年11月25日、後世に名高い木製高速機「モスキート」の原型1
号機が初飛行を遂げた。このタイミングで高速戦闘機の試作内示を受
けたデ・ハビラント社が、この競争試作に木製戦闘機で挑むことを即
決したとして、軽率などと批判できるはずがあろうか。
そう、「ドライアド」は単発モスキートとでも表現すべき、木製単
発戦闘機なのである。
まずは、木製単発戦闘機「ドライアド」の特徴を一括表記する。
・主翼は金属骨格に木製外板。構造強度を落とさずに表面摩擦抵抗
を軽減する。
・主胴体は木製セミモノコックとして表面摩擦抵抗を軽減。
・発動機にモスキートと同様、RRマーリンを採用。マーリンは信頼
性が高く、着実な性能向上が見込めて近い将来、高々度対応/出
力向上型の登場が期待できる。
・冷却機は機首下面に装備。但しオイルクーラーとラジエターを前
後にずらすなどして、開口部を極力小さくし、形状抵抗の増大を
最小限に止める。
・冷却機後方の胴体下面を滑らかに成形する。これにより形状抵抗
を軽減し、かつ主胴体下面の機内容量が増えるため、ここに大容
量燃料タンクを装備し長距離飛行に対応する。
・冷却機、燃料タンクが主胴体装備となり主翼内容量を小さくでき
るため、主翼を薄く成形する。これにより空力抵抗を軽減する。
・主翼はアスペクト比を高くし、高々度性能の向上を重視する。
・風防は涙滴型とし、視界の向上を図る。
別段革新的な技術を用いる訳でも無く、一気に2,000馬力級発動機
の大馬力で、速力向上を目指す訳でも無い、極めて常識的で堅実な発
想の戦闘機と言える。それだけに設計の良否がまともに性能に反映し
成功と失敗を分ける鍵となる。
まずは「モスキート」と同様、木製外板の使用がポイントとなる。
主胴体は基本的に木製セミモノコックである。但し発動機架を内蔵
する機首はモノコックでは無く、鋼管製の発動機架/骨格に外板を被
せた格好となる。但し外板には木製合板を用い、表面加工を行なうこ
とで表面摩擦抵抗を軽減している。
主胴体後部は「モスキート」とほぼ同型のセミモノコックとなって
いて、コンポーネントの流用が可能である。
発動機にはすでに「モスキート」での採用で、取り扱いに自信のあ
るRRマーリンを選択した。
マーリンは信頼性が高く、改良が続いている発動機であって、この
改良の進捗から推測する限り、試作機の製作に取り掛かる頃には高々
度対応/出力向上型の登場がほぼ確実・・・・と判断できた。
たとえ現状で手に入るマーリンを使用した場合でも、要求仕様には
達しないまでもかなりの高性能が期待できる、との判断もまた、マー
リンの使用を後押しした。
冷却機を機首下面装備としたのは、主に主翼を薄く成形するための
方策であった。
機首下面に冷却機を配置すること、その後方の主胴体下面を冷却機
に合わせて太めに成形することになる。この太めの主胴体内に主燃料
タンクを配置すると言う設計である。
これによって、内蔵部品の減る主翼は薄く滑らかで、主翼としての
基本的性能、すなわち揚力発生効率が高くなる。
また、太めの胴体も冷却機に合わせて滑らかに成形することで、形
状空力抵抗を比較的小さくすることが可能となる。
主翼の高効率化と合わせれば、機体全体としての空力抵抗は軽減さ
れると考えられたのである。
デ・ハビラント「ドライアド」の初飛行は設計開始から換算すると
およそ1年半後の1942年6月のことである。
全速発揮試験の結果、692km/h(高度8,250m)を記録した。
この時「ドライアド」に搭載されていたのはRRマーリン63である。
同時期、生産1号機の完成したスピットファイア\が同じくRRマー
リン60系列を搭載して674km/h(高度8,250m)を発揮している。
スピットファイア\より大型の「ドライアド」が同系列の発動機を
搭載して、わずかとは言え高速力を発揮したのだから、設計は成功だ
ったと言えよう。
高アスペクト比の主翼が原因で、横転率は決して良好とは言えなか
ったが、機動性能も格段不満が出るほど悪い物ではなかった。旋回性
は逆に高アスペクト比主翼のおかげで良好であった。
上昇力は比較的良好で、これも高アスペクト比主翼が主要因と考え
られている。
稼働率の面では、設計当初の手堅い設計方針が功を奏し、比較的良
好であった。
木製機ゆえに生産/整備はそれなりに手間がかかるが、少なくとも
整備に関しては部品コンポーネント毎の交換を実施することで、問題
とはならなくなっている。
デ・ハビラント「ドライアド」(樹精の乙女)は飛び抜けた性能こ
そ示さないが、堅実に要求仕様を満たす「良質な凡作」である。
その速力は洗練された空力設計がもたらす物であるため、搭載発動
機であるRRマーリンの性能向上次第では速力が大きく向上する可能性
を秘めている。
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