
画:海野土佐衛門氏
基準排水量 29,000トン 垂線長 224m 最大幅 28m 主缶 ヤーロー缶8基 主機 ブルッゾ式オール・ギアード・タービン 4基4軸 130000馬力 速力 33ノット(計画) 武装 M1909 305mm46口径 3連装4基 12門 M1934 152mm55口径 3連装4基 12門 M1938 90mm50口径 単装12基 12門 装甲 舷側250+クッション50+外板50、計300mm、20度傾斜 甲板、最大150mm 主砲塔280mm 航続距離 18ノット6000海里(重油4000トン)(計画) 計画年度1936/37 起工1936年末、進水1938半ば、就役1940早期 総建造期間は3年強と異常なほど短い これが本級の特徴の全てと言っても良いだろう 建造の背景 1933年、仏はダンケルク級高速戦艦の建造を開始した これは条約で許された、新造戦艦の第一陣と呼べるものだが 既に、弩級、超弩級を合わせると6隻も保有する仏が こうした新造戦艦を建造することは、相対的に弱体な伊としては頭の痛いところであった ムカツク事に、ダンケルク級はダントン級戦艦の代替だったので(旧時代の遺物「準ド級」だ!) 仏としては、実質的に使える戦艦が2隻増えるのである 伊は、ド級戦艦の整備に出遅れ、保有はたったの4隻 海軍本部の下した決断は まず、既存の弩級4隻を近代化改装する そして 今後各国が投入してくるであろう、条約型戦艦に対等に戦える強力な新戦艦の建造 どちらも、伊の置かれた状況から考えれば、十分に妥当な決断である しかし、これらを平行して行った場合 短期的にも長期的にも数量問題は解決しないのである 仏の旧式6+新造2には、改装4+新造2+2で対抗は可能である 数量は対等だし、質では圧倒的に有利となろう しかし、仏はダンケルク級の拡大強化型の建造を開始したと伝えられるし 周辺各国も次々に戦艦の建造計画を開始している こういった建造競争は、イタリアのように国力で劣る国には とてもではないが追随できるものではない 第一、新戦艦ヴィットリ・ヴェネト級は伊の持てる全ての技術を投入したのだ 本級よりも強力な戦艦を建造するという選択肢が存在しない以上 伊としては、質の優位で不利を覆すという考えは放棄せざるを得ない そこで伊海軍は考えた ヴェネト級戦艦は強力であり、条約の縛りが有る以上 例え他国が新戦艦を持ってきても、十分に対抗可能である 問題は、他の二線級戦艦が出てきた場合だ 我々の中型戦艦4隻では、確実に数量で負ける 戦場において戦艦の数量は戦闘の勝敗に大きく関わる要素だ そう、我々に必要なのは「二線級」の戦艦なのだ 高速で、あらゆる戦域に出現可能で 一線級の戦艦以外には確実に勝利できる存在 そして、それは、早期に、安く、取得できるもので無ければいけない ヴェスプッチ級は 事故で喪失したダ・ヴィンチと退役したアリギエーリから回収した主砲を備えた 強力な巡洋戦艦で、基本的なコンセプトは二等戦艦&装甲巡洋艦的なもので 重要視されたのは維持取得コストの削減で、伊伝統といってよい 設計では冒険を避け、可能な限り既存の物を流用することにした 船台も流用を考慮し、全長はヴェネト級、幅はカブール級の戦艦と同じである 副砲は同様に、アブルッツィ級軽巡の主砲で新戦艦と同じ 高角砲は、他戦艦と同じ物を同数、同方式で配置した 意見が分かれたのは航空関係だが、中央部に備えると、防御区画を不要に伸ばすことになるので 新戦艦と同様に後部配置となったが、規模は軽巡並で、重要視はされていない 外見、配置は新造戦艦ヴェネト級にそっくりで、バランスも良く違和感は少ない 全長も同じで、他機材は共通な物が多く 主砲塔の数以外では見分けるのが困難である>実際には幅も違うのだが 本級の骨子である主砲だが イタリアの弩級艦は建造開始が遅かった事もあって 比較的強力な12インチ砲を、世界ではじめて3連装にしたものだった アリギエーリの退役とダ・ヴィンチの喪失で、3連装7基、連装2基が在庫され 既存戦艦の改装で、中央部の3連装砲塔が撤去されたので 更に3連装4基が浮いたのである この中から、コンディションの良好な3連装8基を利用して、本級2隻に充当した また、改装戦艦の主砲は内部を削って口径拡大を行っているが 工期短縮もあって、本級では行われていない が、物理的には可能であり、新造戦艦の多数就役を待って、拡大工事を行うか 早晩退役も想定されている改装戦艦の主砲をそのまま流用する等が予定されていた 一部では、3連装3基として、艦型の圧縮と、建造数の増加を図るべきとの意見もあったのだが この場合、3隻の建造が可能であり、連装砲を混載させるなら4隻となるので 当初はかなり有力な案と思われたのだが 在庫状況を確認した結果、コンディションの良い砲塔が思ったより少なく 改修する場合、工期に与える影響が深刻な事が報告され また、大型艦建造可能なドック数の不足から、新戦艦の建造計画への悪影響も懸念され 新戦艦が十分に配備されれば、相対的に重要度の下がる いわば緊急リリーフ的な本級に それほどの労力は割けないとの判断から、最終的に4基12門の配置になった また、仏のダンケルク級に対抗可能なのかであるが 単位時間あたりの投射量で優位なので、十分に可能であると伊海軍では判断したとされ 仰角を35度にまで引き上げ、射程距離を約32000m以上に延伸することで 口径差からくるアウトレンジは避けられると公表されていた 実際には、射程で大きく見劣りしているので、近接戦闘を強く意識していたらしい・・・ 伊艦としては例外的に強力な装甲は 相対的に弱体な火力を補完する意味が強く ザラ級重巡と同様、戦艦の補佐を強いられた結果と思われる 水中防御は伊独特のプリエーゼ式で「無い」のが特徴である 実物模型まで作成して完成されたプリエーゼ式は 当時の伊艦の特徴でもあったのだが、建造期間圧縮を至上命題とした本級には その建造に手間取ることが問題となり 他国で広く用いられている、多重縦隔壁で済ませることになった プリエーゼを使えない事から防御性能に不安が出ることを未然に防ぐべく 隔壁の厚さ、多重化は入念で、結果的に大戦時の戦艦としては最強級の水中防御を持ち 伊艦伝統の復元性の良さとあいまって、沈みにくい戦艦となった 副砲は、新戦艦と同様に、軽巡の副砲を流用し配置も新戦艦と同じである これは、デュイリオ、カブールで異なる副砲を採用したことから来る 運用面での不都合を考慮し、なるべく新戦艦と統一させることを考えたのだろう 高角砲も同様に、新戦艦と共通である>配置方法もである 比較的旧式の主砲を強引に遠距離戦闘に適合させるべく 測距儀や方位盤も新戦艦と共通機材、機関も共通 見てのとおり、本級は、主砲と船体以外は新戦艦と共通であり 取得コストの削減は不十分だったとの見方もあるが よりコストのかかった改装戦艦よりはリーズナブルで 伊海軍は本級に満足していたとも言われる ☆戦歴 イタリアは1940年6月に参戦したが このとき、本級二隻は既に就役状態にあり 7月のプンタステロ海戦にも後続グループとして参加し ウォースパイトとカブール&チェザーレの戦闘を支援すべく 後続R級戦艦と交戦、命中弾は無かった 就役直後でもあり、練度が不十分だったことが想像される 伊では本級を戦艦とは別個の戦術単位と見なしており 巡洋艦的運用を行ったこともあり、戦意は高く、訓練も熱心だったといわれる 11月、泊地を英機動部隊に襲撃され、伊主力艦隊は大打撃を受けた 所謂、タラント空襲である この時、本級もタラントに在泊しており コロンボが被雷したが、多重水密防御の有効性を発揮して軽微な損害で済んだ 他戦艦が大破したのとは対象的であり、伊海軍はプリエーゼ式の欠陥を知り 既存戦艦や建造中の戦艦には応急対策を施すことになった また、本級が魚雷に強いフネとして、将兵から深く信頼されるようになり 元から高かった戦意は更に高まり、熱意の向上から練度も急速に改善されていくことになった コロンボも1941正月には戦列に復帰する 3月ギリシャ侵攻を企図する伊船団を巡ってマタパン岬沖海戦が勃発 向上した練度から、本級は英軍軽巡2隻を撃沈 海戦は伊軍優位で推移したが 英空母がこれに介入し、Vヴェネトが航空魚雷で損傷 イアッチーノ提督は退却を検討するも タラントでの戦訓で改善されたヴェネトの防御は、危ういところで致命傷を避けており 未だ十分な行動能力を保持していたことから 思い切って前進し、小癪な空母を叩きのめすことを決意 追いすがる駆逐艦を処理しつつ艦隊は前進し、日没前に英軍本隊と接触する 夕暮が迫る中、両軍は激突した 優勢な巡洋艦戦力を背景に、駆逐艦を排除した伊艦隊は 英軍主力艦と壮絶な激戦を展開 新戦艦Vヴェネトは損傷していたが、その火力は健在であり、英戦艦に出血を強いた 戦闘は伊優勢で幕を閉じるかのように思えたのだが 練度不足からか、決定打を欠いたまま夜を迎えてしまった 英戦艦には既に電探があり、Vヴェネトは低下した速度もあって痛打される 「勝利を目前にしながら・・・」開き直ったイアッチーノ提督はサーチライトを点灯させ これを目印に本級2隻と重巡6隻の集中射撃が健在戦艦ウォースパイトを襲う あまりに集中した射撃のため、命中率は低下したが、英戦艦は電探と主砲塔の半数を失い落伍 これを機に、伊艦隊も退却を開始、英軍に追撃する戦力は無く、侵攻船団も阻止不能 伊軍の、戦術的にも戦略的にも大勝利となった 北アフリカを巡る戦いが始まると 本級はその行動力を生かして、主として英輸送船団襲撃にあたり 他戦艦が低調なのとは対象的に、多くの戦果を上げた 英軍は数度に渡って、ハンターキラーを繰り出したが 高速な本級を補足することが出来ず 結果的に護衛の薄くなった船団を他の伊艦に襲撃される始末で 最後まで本級を止めることが出来なかった 下手に巡洋艦を繰り出すと返り討ちの危険も強く かといって巡戦は一隻しかなく 高速な新戦艦ですら補足困難な本級は英軍の天敵とも言える存在であり 伊軍は本級の出撃と呼応して、各種兵力展開を行い 輸送・襲撃の効率引き上げに活用した アフリカ戦が長引いた遠因を本級の存在と活動に上げる研究者も多い 伊軍の悩みの種であった燃料問題も 最新機関を搭載し、比較的燃費が良好だった本級は 戦艦用の燃料を優先的に配分することで最後まで最前線で活動し 降伏時も、未だ戦力として有力であった 実際、数度の被弾被雷を経験していたが 当初過大とまで言われた充実した防御が、それらを致命傷にはさせず 早期建造を狙って、整理された基本構造をしていたことが 損傷復帰を早め(戦力として重要であったことも工事促進に繋がっている) 本級が両方とも行動不能となったことは無かった もし、そような事態が生起していたら、伊軍の崩壊はもっと早まっただろう 連合国側に参戦する時に本級だけは英艦隊直率に組み込まれ ノルマンディ上陸作戦や大西洋での船団護衛に投入されるのみならず 大戦末期にはインド洋にまで引き回され、散々こき使われる結果となった どうも英軍は、本級を魚雷用の盾として見ていたようである 戦後は他戦艦と同様に連合軍管理下に置かれ 配分されるのを待つ身だったが 戦時の活躍から国民的な人気があり また対応が極めて厄介な艦なので、下手にソ連に渡たると危険との意見もあって 伊がNATO配下に居ることを条件に、伊の手に戻すことを認められ>代わりに他戦艦は全部取り上げられた 数度の近代化改装を経ながら、70年代まで伊艦隊旗艦を交互に勤め 安くて長持ちの基本コンセプトを全うした 以下、戯言(笑) 問題となったのは、1936年計画ってトコロでした 1933にダンケルクの建造開始、対抗艦ヴェネトの計画も始まってます つまり、この1936年に計画するべきは、対リシュリュー級戦艦のはずなんです ヴェネト級が実質的に条約型の上限ですから それは、そのままリシュリュー対抗にもなります となると、イタリアが問題視したのは何だったのか ざっと、仏伊の戦艦の状況を眺めて気がつきました この時期、伊の稼動戦艦は2隻(2隻ずつ改装に入った為)仏は新造戦艦含めて8隻・・・ こりゃ、焦るわな(^^;; と、なると、ポイントは早期建造による短期的な数量問題の解決 しかし、真っ当に作ったら、完成は1943ぐらいで 何事も起こらなければ、改装4、新造4で数量も質も解決している時期です もっとも、周辺各国の増強を考えると、数量的にはきついかな 素直に答えるなら、ヴェネト級の建造促進しか無いんですよね でもって、ここで捻くれた考えをしてみました ヒントは先日のオフ会でのヨタ話、大いに盛り上がった会話の中に 対抗艦の居ない位置付けを狙うという いわば隙間をついた戦力整備の重要性があったのです 決して「ビスマルクなんかぺぺぺのぺー」としか言ってなかった訳ではないんです(爆) 第二次大戦時の最弱級戦艦でも、条約型巡洋艦には楽勝です 条約型巡洋艦を追いかけ回す事が可能な速度 条約型巡洋艦を粉砕できる火力・・・そう、超甲巡ですね こうした位置付けの戦力はAnsQでも盛り上がったのですが 洋の東西を問わず、過去にはいくらでも存在しました 最新は巡洋戦艦でしょう 巡洋戦艦は戦艦と同じ火力を持った巡洋艦で 高速戦艦に収斂していく過程でしかない、私が以前に出した結論です これは、無制限に建造開発が可能ならば、正解だと思うのですが 条約という縛りが入ると、かなり怪しくなります 問題は、条約の制限は、戦艦だけでなく巡洋艦にも適用されたことでしょう 巡洋艦のサイズ、性能に制限が入ることで 戦艦と巡洋艦の性能差は拡大しました 巡洋艦退治に戦艦を投入することが不経済となり 適度に優勢を確保できる艦、重巡の登場に繋がります しかし、軽巡退治に使うべき重巡も、数量が増え、一般化するに従い 「狩るべき物」として見なければならなくなり そして条約の制限から、戦艦を重巡排除に使う余裕がなくなります また、重巡の方が高速なので、これが戦艦を投入することへのためらいにも繋がります 戦艦は一度抜いたら取り返しのつかない伝家の宝刀で 敵が別方面に戦艦を投入した場合、対応が出来なくなります 伊と仏の関係をまさしくコレです 数量で若干劣り、質の面でも優勢を確保できているとは言いがたい伊軍にとって 高速で機動的運用をしてくるダンケルク級は厄介です これにヴェネト級を拘束されたらたまりません ダンケルク級の機動的運用に対応できて 艦隊主力の運用に影響を与えず、空振りになったとしても被害が少なく 戦艦以外の殆どを始末できる高速二等戦艦は 数量で見劣りする弱小海軍にとっては極めて都合の良い船です だから、伊海軍は伝統的に、こうした二等戦艦の整備に熱心で いくつかの傑作も生み出しているのです 多少イレギュラーですが ザラ級重巡なんかも、戦艦不在時の艦隊中核を期待されており 今回のコンセプトに近いところがあります また、お題の仏戦艦への対応能力ですが ブルターニュ級の6トン近い投射量 ダンケルク級の4万mもの射程には勝てません、確実に劣ります、が 本級の投射量5.5トン、射程32000は、その両者に対抗可能な数値です ブルターニュ級と比べると 射程:優位 速度:優位 投射量:劣位 砲威力:劣位 防御力:優位 総合で優位 ダンケルク級 射程:劣位 速度:対等 投射量:やや優位 砲威力:劣位 防御力:対等 総合でやや劣位 今後32cmに拡大されれば、ダンケルク級にも対等以上になるでしょう この戦艦の狙いは、戦艦にも対応可能な、巡洋艦潰しですから 必要にして十分な戦闘能力だと思います 戦歴では異常なほどの大活躍をさせちゃってますが 実は伊海軍はかなり水上艦の運用に熱心で 相手が英海軍でなく、仏海軍だったら勝利は確実だったのではないかと思います 伊海軍でよく言われる、大型艦、というか艦隊司令官の戦意問題は 大型艦の数量が不足していることと、防御力が不十分なことから来る 投入へのためらいがその根底にあるのではないかと思います そこで、こうした充実した防御と、優れた機動力を持った戦艦モドキを カードとして加えることで 彼らの足かせを解いて上げようと画策してみました でっち上げるに当たって留意したのは 額面以外のところで細かい事をして、実効性を引き上げることでした 弊害の多いプリエーゼの廃止と、工数削減をお題目に修理しやすい構造にしたことで 撃たれ強く、直し易い、常に前線に在る事を可能としました また、新造でありながら、旧式主砲としたことで 戦力的には常に二線級とすることで、大胆な運用をさせ 活躍の機会を増加させることも狙っています 数量確保も考えたのですが 燃料問題とドック数の制限からマイナスの方が多いと判断しました 武装の割に大柄なのは予備浮力と燃料搭載量の確保を狙ったもので 二義的にはLB比の改善で速力と燃費の向上を狙っています また、装甲を厚めにしたのは、通説には反しますが 実際には伊艦は防御に優れた構造が多く>シフト配置などは全面的に導入されています 本級のように、相対的に強力な戦艦とも殴りあうことを前提とされた艦が重防御なのは当然かと思います 早期建造の手段が主砲流用しかなかったのが説得力不足ですが なんだったら改装戦艦やヴェネト級の建造を少し後回ししても良いかもしれません デザインの方は、伊的水上艦デザインは軽巡の後期に完成してるので これも、あまり手を入れる余地は無いです 海野土佐衛門氏が、あんなに格好良いフネにするとは想像してなかったけど(笑) 艦名は、イタリアっぽく人名で それでいて、あまり政治的でない、そんな人物で検討しました ええ、勿論、戦後生き残らせるために、アメリカ受けも考慮してます(ぉ 最後になりますが 素晴らしいグラフィックを描いてくださった海野土佐衛門氏と 色々尽力してくださった胃袋氏に感謝(;_;) |