イタリア海軍大型巡洋艦

1.大型巡洋艦計画

 第一次大戦と第二次大戦の間の戦間期に、列強は熾烈な建艦競争の結果自国経済への負担の大きさと、有色人種の新興国日本への警戒心から軍縮会議を開催。その結果会議参加各国の主力艦保有数・新造艦の基準排水量・主砲口径が制限された。
 条約の制限内で各国は新戦艦の設計建造・研究を行った。合衆国、日本は旧式戦艦の近代化で主力艦の能力低下に対応。英国のKingGeorgeX級やフランスのDunkerque級Richelieu級、などが建造されたそれに当たる。
 イタリア海軍もフランスのDunkerque級Richelieu級に対抗して1933年度に旧式超弩級戦艦ConteDiCavour級二隻の近代化改装に着手、またVittorioVeneto級を1934年度に2隻計画、戦力の補強増加に努めた。

 1936年9月に発令されたイタリアの新建艦計画は、『Provence級/Dunkerque級フランス戦艦を撃破可能な兵装を有する、艦隊戦をリードできる速力を有し、機動性に優れる大型巡洋艦を整備する』というものだった。
 これは1936年末日をもって軍縮条約が失効するのを受けての計画であった。イタリアはこの当時、ConteDiCavour級の近代改装を行いつつVittorioVeneto級の建造を行っていた。さらに、ConteDiCavour級の改装と同様の改装を1937年度にAndreaDria級各二隻に施す予定であった。
 1936年9月の発令は大型巡洋艦(条約の制限による重巡洋艦とは全く区別される)の建造であったが、これは実質的には従来『装甲巡洋艦』あるいは『巡洋戦艦』に当たる艦種の整備であって、仮想敵とされるProvence級の基準排水量23,230t、主砲34cm連装砲5基、速力20kt及びDunkerque級の基準排水量26,500t、主砲33cm3連装砲2基、速力29.5ktを対抗上凌がねばならない要求であった。
 前者Provence級にはすでに改装なったConteDiCavour級(基準排水量23,000t、主砲は削り直して32cm3連装砲2基、同連装砲2基、速力21.5kt)でデータ的には凌駕しており、要求は実質上Dunkerque級を意識したものと解釈された。

2.大型巡洋艦Testarossa級

 イタリア海軍は1937年度計画で、1940年までに基準排水量27,000t、主砲33cm4連装砲2基もしくは、3連装3基以上、速力30kt以上の『大型巡洋艦』の建造を決定した。
 艦型はVittorioVeneto級の初期計画段階(1928年頃除籍になった前弩級戦艦DanteAlighieriの代替艦計画で、基準排水量は23,000t)のものを改修して採用した。すでにVittorioVeneto級の1番艦の建造は始まっており、ノウハウは蓄積されていたためサイズの変更と細部の再設計で短期間の建造着手が可能だった。
 主砲は当初、Dunkerque級の主砲が前部に8門集中しているため、正面からの殴り合いになった場合前部に3連装2基では砲力に劣ると見られていたため、32cm4連装砲塔2基を前部に背負い式に配置する事が検討されたが、4連装砲塔の開発期間の見通しがたたず、しかも工期短縮の督促が党上層部から為されていたため、手堅く砲撃力を得るために3連装4基を前後に2基ずつ背負い式で配置する事になった。これにより、毎分12600kgの弾量の投射が可能で、Dunkerque級を攻撃力で凌駕した言える。
 Testarossaに搭載された砲塔はConteDiCavour級AndreaDria級から各1基ずつ取り外された32cm3連装砲塔4基。320mm砲は最大仰角を30度にし最大射程29400mを得ており、これを管制するためにVittorioVeneto級と同じガリレオ&サン・ジョルジョ社製の7.2m測距儀2基を持つ測的所と7.2m立体式測距儀1基をもつ司令部観測所を備えた。
 防御は機関部、弾薬庫、主砲塔には最大320mmに及ぶ装甲が重点的に為される集中防御方式が採用され、艦底部にはイタリア新戦艦のご多分に漏れずプリエーゼ式水中防御構造を採用している。主要部の装甲厚は、主砲塔及びバーベット320mm、司令塔250mm、隔壁230mm、煙突基部110mm、舷側236mm(水線付近は傾斜装甲で320mm)、甲板最大138mmで主砲の対応防御というより、Dunkerque級との殴り合いを前提にした防御を為していた。
 機関は主機にベルッゾー式ギアード・タービン4基、缶はヤーロー式過熱器付水管缶8基、それぞれの缶室に2基づつ納められた。これにより、140000馬力を発生させ、長さ/幅比約8.0という高速発揮に有利な艦型と浅い喫水、バルバスバウの採用により毎時34.4ktの速力を発揮した。
また、艦底塗装には緑色の毒性の強い塗料を採用しフジツボ等の付着を押さえて、高速発揮に支障の無いように配慮していた。  

●基準排水量
 28,500t
●水線長
 225m
●水線下最大幅
 28m
●喫水
 8.5m
●機関出力
 140,000馬力
●速力(公称)
 34.4kt
●航続力
 12,850浬
●乗員
 1,311名
●武装
 1936年式43.8口径320mm3連装砲4基(毎分2発)
 1938年式50口径90mm単装砲10基(毎分12発)
 1935式65口径20mm連装機銃8基(毎分240発)
●水偵
 3機
●装甲
 舷側236mm
 甲板138mm

イタリア海軍大型巡洋艦Testarossa 1941年2月の撮影


イタリア海軍大型巡洋艦Testarossa 1941年2月の撮影


イタリア海軍大型巡洋艦Testarossa 1941年2月の撮影

作者の猫乃手本舗です。
今回の主旨は、艦名が示す通り「最速」です。
要求が戦艦を撃破可能な高速巡洋艦と、甚だ派手なものであったので、あっさり「じゃあ巡洋戦艦じゃん!」と決めつけて↑こうなりました。
思ったよりも大きくなり、Vittorio Venetoよりも水線長で0.95m、長くなりました。
幅や喫水はかなり小さくしましたので逆に速力を得るという点では、大きく有利に働くことでしょう。
 主砲はConteDiCavour級AndreaDria級からもってきたものですが、当初は320mm砲は2基を予定していました。その分発射速度の速い(1分間に7発)OTO製55口径152mm3連装砲を搭載しようかと思ったんですが、仮想敵であるDunkerque級に絶対に撃ちまけると思われ却下。艦型は3連装2基のほうがポケット戦艦みたいで好きだったんですが、512TRはボクサーの子孫だということから2隻分の主砲塔を搭載し殴り合いに負けない砲撃力を与えました。(^^)
基礎設計、主砲と、金と時間のかからないモノを使いましたし、目新しいモノは一つも使っていませんので、かなりお値段のほうもお安くなっております。