イブク−ロ王国巡洋艦、三菱長崎造船所案

三菱長崎造船所案
画:海野土左衛門氏

基準排水量:10,000t
全長:175.5m
全幅:24.2m
機関:ロ号艦本式水管缶9基(重油専焼)
   三菱パーソンズ式ギアードタービン6基3軸
   95,000馬力
速度:31.5ノット
武装:20.0cm50口径連装砲4基
   12.0cm45口径単装高角砲6基
   61.0cm連装魚雷発射管(水上旋回式)2基
   水上機1機、射出機1基(予定、場所だけ確保)
装甲:舷側150mm(最大)甲板75mm(最大)主砲塔200mm
燃料:重油3,000トン
航続距離:14ノットで7,500浬

☆:どもーっ、説明役の倉田佐祐理ですーっ(ぺこり)
「原案を出したSUDOです」

☆結構楽勝な条約型巡洋艦ですねーっ
「そっか?」
☆1922発令ですから、その時代の重巡から適当にいい所取りすればーっ
「それは甘いぞ」
「重巡の技術的な確立が達成されたのはその10年後だ」
☆え?
「例えば日本で見てみよう、最強は間違いなく最上だし
 不具合の修正も有ったから、後期艦は昭和12年就役、つまり1937年」
☆15年も遡るのですねーっ
「古鷹級が大正15年、つまり1924年だ、1922では何処にも重巡なんて概念は無い」
「英国のホーキンス級や、米国のオマハ級の完成ぐらいで
 技術的にも思想的にも、まだ「形」にはなってないんだよ」
「更に言うとね、第一次大戦時に軽巡洋艦をまともに作ったのは英独だけだ」
「まだ、軽巡洋艦(重巡はその重武装型で技術的にも同種思想)すら
 大抵の国家では十分に確立していなかったと言って良いかもね」

☆で、この艦ですが・・・
「8インチ1万トンの『主力艦』として作ってみました」
☆どのような狙いが有るのですか?
「条約制限の8インチ砲に耐えられる防御力を与えることで
 取りあえず『主力艦』以外に対抗可能ってのが目的ですな」
「ちなみに巡洋戦艦以外には速度で上回るので、ポケット戦艦に近いかもね」
☆発注が日本なのは?
「まだ第一次大戦直後でしょ?」
「この時期に艦艇建造技術を維持できていたのは、英米日ぐらいだ」

「発注の項目を見ると、こいつの受注は駆逐艦受注に繋がるね」
☆吹雪ですか・・・・
「オープンだったんだろ?」
「なら、特型駆逐艦を見せればイッパツだよ」
☆特型駆逐艦を入手するには、コレを発注しなければ駄目ってするんですねーっ
「特型を買えるなら買いたいだろう?」
「水準以上に『強そう』なら、特型とセットにすれば売れると思う」

☆でも、並みの重巡と比べると、物凄く幅が広いですね?
「防御力に回したからね」
☆これって設計的には戦艦ですーっ
「そうだね、沈みにくいことを目的にした設計だと思ってよいよ」

☆高角砲が随分と多数ですね
「連装高角砲は間に合わないから単装をずらっと並べてみた」
☆この時期だとどうなんでしょう?
「英米でも単装だし、数量は多少少ないか同じぐらいだね」
「これは副砲としての運用を念頭に置いてると見て下さい」
☆別に対空重視ではないと?
「この時代に飛行機で大型軍艦をどうこう出来るなんて考えるのはヘンだよ」
「何しろ、ミッチェルの対戦艦爆撃実験が大失敗に終わった後だぜ」

☆性能的にはどうなんですか?
「まず、この排水量には収まるよ、妙高と比べればわかるだろ」
「設計的には戦艦に近い構造で、20cm砲弾に十分耐えられると思う」
☆でも、この防御だとかなり重量有りますよ、入るんですか?
「その為に馬力落したんだ、入ってくれないと哀しいな」
☆この機関は三軸ですね?、そんなのアリですか?
「夕張は三軸だよ、すぐ前にやったばかりだぜ」
「機関は妙高級の4軸を3軸にしたんだ」
「そして、この幅だから、全部そのまま一列に横に並べる」
「ちゃんと入って、古鷹の1.5倍の余裕まで入れてある、ちゃんと重防御が可能だ」
☆そして全長も縮めると・・・
「船体サイズと馬力から見ると、33ノットが狙えるんだけど
 幅が凄いんで31ノットぐらいしか出ないと思う、速度は諦めた」
☆巡洋艦としては劣るのでは?
「初期の軽巡が主流の時代だから、30出ないのも多いんだよ」
「一定以上の高速は何のために有るのかな?」
☆えっと、突っ込むため?
「そ、図体のでかい艦が突っ込む理由は無いだろ?」
「相手が戦艦なら、逃げられるし、重巡以下なら火力で圧倒すればよい」
☆ポケット戦艦ですね
「ただ、火力の優位はあまり無いし、別に商船狩をするつもりも無い」

「でもって、この艦の二次的な目的は『練習艦』だ」
「いきなり国際舞台に出てきた以上、一番不足しているのは人材だよ」
「それらの教育には、この手の艦が便利だと思うんだ」
☆遠洋航海とかにも使うのですか?
「そ、そういった練習艦艇を持たないのは米国と英国ぐらいらしいね」
☆どちらも大海軍です
「配備されればいくらでも経験つめるってのがあるらしい」
「日本で練習用の巡洋艦を常に用意していたのは、国民が『ものを知らない』からだね」
「国際的な慣例や儀礼も知らないだろ(これは未だにそうだ)」
☆なんか悲しいですーっ
「士官は、広範な技能と同時に、国際的な視野とかも求められる」
「それを考えると、遠洋航海を行って実習経験と同時に見聞を広めるのは重要だな」
「だから、同様ともいえる日本の経験を反映した提案になってる」
☆この魚雷装備は、実習目的ですねーっ
「そう、一通りの武装はどうしても必要だからね」
「61cmを装備したのはサービスだな
 特型の導入があるなら、共通装備の方が訓練効率も良いだろうし」
「見かけとしても強力になるしね」
☆実用性能では変らないんですか?
「っていうか、この艦は魚雷戦闘に向いていると思う?」
☆そっか、図体が大きくて、それほど高速でもない・・・
「魚雷性能を生かせるような戦術を取れるとは思えないよね」

☆妙高級と同じ排水量で、武装数はかなり劣ります
「うん、機関重量も少ないし、装甲だって船体のは大して違わないな」
「これで船体と上部構造物の容積に回したんだな」
☆あれ、船体小型化で出力下げたのでは?
「正確には全長短縮の為だよ、バイタルパート圧縮が主目的だ」
「だから、船体は、大き目の平甲板型で容積を稼いでいる」
☆この時代の日本艦って極端な重量軽減で、小細工のカタマリなのでは?
「潜水母艦の大鯨とかが良い例なんだけどね」
「小細工して『無駄』を削るのと、大きな船体は矛盾しないんだよ
「船体容積は『候補生収容人数』って性能に影響するんだから」
☆あ、潜水母艦も『収容人数』の為に大きな船体ですねーっ