水上競速機「グリーンブリーズ」HP1型(機体番号:506号)

最初は図面から

諸元
 全長…11.00m 全幅…9.6m 自重…未公表
 発動機…パッカードV−1650ウミノ改良型2,350hp(一発勝負仕様)/2,100hp(安定志向)
 最高速力…未公表 乗員…1名

 2000年6月28日,広島に本社を置くボディーメーカーの海野車体工業は,新型観光バス用ボディを発表した。景気の減退の中でど
んどん減って行く大型バスの需要と,その状況下で更に激化するメーカー間の競争に対応するためである。
価格は出来るだけ安く,かつ実用性も高めるのが海野の主義…って,これって西工?
 その名前は「グリーンブリーズ」。中国山地の緑と瀬戸内の風に由来して付けられたこの名称は,海野製観光バスボディに代々与えられ
てきた物である。
 だが,本来この名前はバスのものではない。観光バスボディシリーズが名前を引き継いでいるのである。

 広島市郊外にある同社の長楽寺工場。中国山地の南部に位置するその工場は,80年近い歴史を誇る。正門には80年間で生産してきた
ものが幾つか展示されている。70年代を席巻した高級大型観光バス,60年代の高度経済成長を支えた箱型路線バス,50年代の大量輸
送の一翼を担ったボンネットバス,戦後の復興期を象徴するトレーラーバス,戦時型トラックをベースとした代燃車――歴史的にも貴重な
それらの中に,一機の飛行機が鎮座している。
 明るい抹茶色に塗装されたフロート付きの単発機。その胴体には,黄色の文字で「Green Breeze」と銘打たれている。
緑塗装は芸備急行電鉄が絡んでる証
 水上競速機「グリーンブリーズ」HP1型。戦後暫くの1947年に行われた航空機レース「シュナイダーカップ」に出場するために製
作された機体である。
 この機体を製作したのは,被爆からの復興活動に従事していた地元を愛する技術者達。皆,広島の復興を心から願っていた。資材・予算
・時間,あらゆる物の不足,そして「航空関連活動の全面禁止」という占領政策――それらの障害を跳ね除けたのは,「世界の舞台でワシ
らが作った飛行機を飛ばして,広島市民に夢と希望を取り戻すのだ」という,彼等の熱き想いと気合であった。
 これは,持てる力の全てを賭けて地元の希望と誇りを取り戻そうとした技術者たちの,壮絶な闘いの記録である。

 (NHK出版「プロジェクトX挑戦者たち」第◎巻「大空へ架ける希望(ゆめ)」より抜粋)



◎解説(に似せようとしたけどあからさまに何か違う)文
 ◆登場人物
    括弧無:海野土左衛門(海野車体工業川崎駐在所所長兼風芽丘営業所所長)
  「 」:槙原愛(さざなみ女子寮オーナー)

 ほいじゃあ,まず自己紹介からお願いします。
「はい,えっと,さざなみ女子寮オーナーの槙原愛です。今回は,いつも解説をやられている洋子さんに代わり,代打で出ることになりま
した。よろしくお願いします(ぺこり)」
 どもです〜。ほいで,ワシはまぁ言わんとも分かる思いますが,一応自己紹介。あ〜(おほんっ),毎度お馴染みの水平直列6気筒ヂー
ゼル萌え,心象風景は風芽丘を疾走する芸備急行電鉄カラーの短尺大型超低床路線バスな快男児,海野です。下の名前は学校のショボパソで
は出ないので省略するです。
「あのー,ひとつ質問,宜しいでしょうか?」
 どんぞ〜。
「何故,風芽丘で”芸備急行電鉄カラー”なんですか?」
 あぁ,それはですね,風芽丘を走る路線バスの一つが,海野車体系列の海野高速急行観光開発興業だからなんです。
「でも,海野車体って広島の会社ですよね?」
 本社は広島なんですけど,海野車体自体は一応全国規模の事業展開を行っていますからね。海急は海車の実験台的位置付けですから,全
国数箇所に実験用路線を設けているのです。その路線で新機構を使った車輌の試験を行っています。
「なるほど…風芽丘がモデルになったわけは何なんですか?」
 えーっと,丘陵地帯における低床車の運用性と海岸地帯における塩害に対する耐久性の調査,ですね。割合昔から使用されている路線で
す。
「やっぱり,特別な仕様とかあるんですか?丘陵地帯用にギア比変更したりとか」
 海野がベースにするシャーシって日野の奴なんですけど,日野はデフォルトの状態で変速機とデフが数種類用意されてるんです。風芽丘
仕様はもちろん5速DDの高トルク型デフですね。他には,サスの形状とか床面形状とか…
「そういえば,今走っている車って車軸が3つじゃないですか?」
 そうですね。あれは香港に輸出するためのノンステップダブルデッカー用短尺3軸シャーシなんです。日本の低床技術は世界的に見ても
相当優秀ですから,それをバス天国の香港に売り込むんですね。
「でも,試作車を営業用で走らせてもいいんですか?」
 だから,型式はHU2PPEEという2軸の大型ノンステップを元にしたHU2PPEE≪改≫という形にして,営業運転が出来るよう
にしてるんです。
「なるほど…あくまで≪3軸シャーシの実験≫だから,ボディは普通の路線バスなんですね。」
 ええ。香港とかで使うダブルデッカーは全高が4.3mくらいありますから,日本の交通法規上では運用できないんですよ。
「あのバスにも新しい工夫とか色々しているんですか?」
 てんこもりですよ〜。まず,駆動系なんですけどね,ベースは2軸のノンステップシャーシなんですが,増える軸重に対応して1軸増や
したんですよね。増やした1軸は後々輪なんですけど,そいつは操向させるんですよ,小回り半径削減のために。でも,そーなるとステア
リング機構と前後輪を駆動させるプロペラシャフトが――――――
「ふむふむ…」

 ――――――――――――この間,延々とこの話が続くので省略――――――――――――

「なるほど,それで出てきたのが補機の集中配置なんですね。」
 そうなんです。スペース効率を高めるにはこれが一番だったのです。でもこれにもまだ問題が………って,うげっ!
「ど,どうかしましたか?」
 あ,愛さん,まずい,時間っ!もう2時間経ってるっ!!
「えぇっ!?」
 か,解説始めますよっ,いいですかっ(爆汗)!?
「わ,わかりました(あせあせ)!!」


一,概要
「この機体の基本コンセプトは何なんですか?」
 そですね,やはり終戦直後と戦災からの復興という事を鑑みて,『手間暇かけず,安価且つ最大の効果を発揮するようにする』というの
が一番大きなポイントでしょうか。
「開発の体制はどんな感じだったんですか?」
 えと,まず,この競速機では3つの大きな会社がタッグを組んでいますね。ウミノ工機,三菱重工広島,そして東洋工業です。
「東洋工業というと……」
 まー,代表的生産品に『T型三輪トラックシリーズ』とか『R360』とかがあったり,後にエンジンの中で『オムスビ』をゴロゴロと
転がしちゃったりした会社です。
「ああ,なるほど(^^;」
 担当としては,ウミノ工機が機体・エンジン,三菱重工広島がエンジン・フロート,東洋工業が機体…ってぇとこですね。
「中心はやはりウミノですよね?」
 そーですね。初期の作業は長楽寺工場で3社合同で行っています。ただ,長楽寺は山の中なので,試験飛行とかそういった段階になると
海際の三菱重工広島の江波工場とか観音工場,東洋工業の宇品工場とかを使ってます。海際に近いウミノ工機荒手工場は被爆で大破した路
面電車の修復工事で手一杯でしたから。
「3社が力を合わせてたんですね。」
 あと,特筆すべき点としては…本来なら敵である筈の川崎さんとか川西さんとかですか,あの辺りとも結束しています。
「え?でもライバルなんじゃ…」
 本当ならそうなんですけど,そうも言ってられない事情もあるのです。戦後,主だった航空機工場とかって,その大半が賠償対象になっ
て差し押さえ食らってるんです。それに,政策面でも『航空機開発・研究の類一切禁止』という方針が立てられていましたからね。
「という事は,参加する方針の各社が結束してGHQとの交渉を行ったとか?」
 っすね。ウミノ工機からも代表者が出ています。以前にも,この『架空機の館』に出没した人ですね。
「…飛楠さん,でしたっけ?」
 ぴーんぽーん。その通りです。ウミノ工機輸送機器部主管,飛楠臣技師です。認可が下りたのは彼の口八丁に拠るものが大だった,そー
ゆー噂が流れています。
「飛楠さんって,技術者ですよね?」
 口から生まれた技術者というのが専らの評判ですね(笑)。
「アメリカにもそういう方がいらっしゃったような…」
 『スカンク・ワークス』とか『ケリー・ジョンソン』とか,そういうことを言っちゃだめですよ(笑)。
「でも,いったいどうやって…」
 議事録とかは極秘ですし,飛楠自身もその事についてはまったく語ってませんが…まぁ,彼のことですから恐らく『敗戦によって荒廃し
た人々を勇気付けるため』とか『これによって雇用拡大を促進する』とか,そういったことを…無茶苦茶に誇大したんでしょね(笑)。ま
ぁ,内容がどーであれ…とにかく『作る事ができたんだからそれでいーじゃん♪』って事にしましょ,ねっ!?
「まぁ,そうですよね(^^)」
 (ドザの心中:………よかったぁ,相手が愛さんで(;;)
 でも,本当は飛楠ってこの計画自体は反対しとるんです。
「あらら,どうしててですか?」
 前のイブクーロ戦車のときは,彼はまだ一人の技術者に過ぎんかった訳ですが,この時点で彼は開発部門の統括者になってるんです。そ
の立場の人間として,やはり『利益にならない仕事』を行うのは馬鹿げている訳ですよ。
「あ,なるほど…」
 それとね,飛楠ってこの会社にしちゃ珍しく,関東の人間なんです。要するに『広島人』じゃないんですよね。だから,『広島人として
の誇り』云々とかいっても,いまいちピンと来なかった所もあるのではないでしょうか。
「でも,ずっと広島に住んでるって事なんだから,多少は何か感じるものがあっても…」
 えと,『広島人』ってね,所謂典型的日本人の集大成っちゅうか…とにかく『馬鹿』なんです,言い方は悪いですが(笑)。そもそも,
ピカドン――原爆の事ですよ,でから街中の何もかもがすっ飛んでるっていうのに,ヒコーキ作ろうって事がどれだけ馬鹿な事か,冷静若
しくは多少なりとも頭使う能力さえあれば分かる筈です(爆)。
「そういうところも,飛楠さんは広島人じゃなかった,と(^^;;;」
 そーゆー事です(笑)。ただまぁ,その意見は社の中では当然ですが極々一部に限られたもので,殆どの奴は『やっちゃろうじゃないか
!』と凄く盛り上がってたとか(^^;;;;;。
「…凄い会社ですね…(^^;」
 そもそも,社長の海野からして冷静な反対意見を述べる非楠に『我ァそれでもココん会社の人間なんか?あぁっ!?』とか言うとります
から。馬鹿ですねーっ,大馬鹿ですねーっ(;;)!!!
「あ,海野さん,涙が…」
 いや,余りの『す的さ加減』に,ついホロッとくるものが…あぅぅぅぅ(TT)
「あぁっ,滝になってますよぉ(あせあせ)」

 ――――――――――――暫くお待ち下さい――――――――――――

「落ち着きましたか?」
 えぇ,なんとか…はぁ…
「え,えーっと,じゃあ飛楠さんは反対していたのに何故…?」
 まぁ,任務にゃ忠実な奴ですからね,飛楠は。一旦社の方針が決まったら,後は『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』と
かそんな感じで突っ走ります。その勢いで,さっきも言った数社と合同で行ったGHQに対する談判も先導切ってるんです。
「はぁ…(^^;」
 自分だけの責任じゃないって事がわかったから暴走り始めたとか,そういう事じゃないですよ(^^;;;;
「誰も言ってませんよ,そんな事は(^^;;;;;;」


二,機体のこまい所。
「機体自体は,戦中にウミノが製造していた『雷電』が元ですよね?」
 ええ。雷電一一型のウミノ独自改装型…まぁ,『連絡用』の名目でウミノが上空防空用に確保していた機体を使用しています。
「上空防空って…(^^;」
尾翼の「ウ」の字はウミノのウ〜
 このいかにもやっつけ仕事的な塗装が何とも言えませんね。
「それでも,垂直尾翼のマーキングはしっかりされてるんですね。」
 パイロットは日華事変の時に引退したくらいの超が付くほどのベテランですね。当然,軍を退役しています。今で言うところの『天下り』
でしょうか(笑)。
「エンジンはロールスロイスのマーリンですよね。」
 うーん,微妙に違います。マーリンはマーリンでもパッカードV−1650の方です。
「どうやって手に入れたんですか?」
 簡単です。米軍のP−51Dからパクってきたんです。
「パクったって…それはちょっとまずくないですか(汗)?」
 全然平気です。パクったっつーても,『戦利品』ですし。
「え?戦利品?」
 さっき言いましたよね,『上空防衛用に雷電確保してた』って。
「……あのー,まさか……」
 長楽寺工場を地上銃撃しようとしてた所をウミノ用雷電に叩き落されたP−51Dのエンジンを使ってるんです(笑)。
「……あらー……(^^;」
 叩き落したっつーても,田んぼに不時着させたと言った方が正しいですね。当然,パイロットも生きてます。まぁ,田んぼのド真中って
事で,不時着したパイロットは地元農家の人にボコボコにされたらしいですが(笑)。
「食べ物を粗末にしてはいけませんよねぇ…」
 まー,パイロットが農家にボコられても機体の方は一応無事な訳で,当然と言わんばかりにウミノがえっこらえっこらと『お持ち帰りコ
ースっ!』とカマすわけです。はい,ウミノ工機マーリンゲット!
「でも,出力的には余り無理できませんよねぇ。一基しかない折角のマーリンを壊したりしたら勿体無いですし。」
 ふふふふふっ,甘い,甘いですぜ,愛さん。
「え?」
 何故か,終戦時にはウミノ工機長楽寺工場の倉庫内にV−1650が3基置いてあるんですよね(爆)。
「3回も落としたんですか……(^^;;;;」
 そのうちの2回は雷電の『戦果』です。でも,1回は違うんですよ。
「えっと,どうやって……?」
 ウミノ長楽寺には,スペインに輸出したUT10型の余りが数輌残ってるんですよ。その内の1輌を,対空機銃搭載の対空戦車に改造し
ちゃってるんです。
「……それでよく落ちましたね……(^^;」
 『どわりゃ〜〜っ!!』と適当に撃ったのが丁度ラヂエターを粉砕しちゃったらしいんです(笑)。20o機銃を束にして撃ってるんで
すから,破壊力は相当な物ですよね。
「そして,再び『田んぼにドボン』と(^^;」
 そゆことです(笑)。ってな訳で,1基は一発勝負用のカリカリチューン仕様…っつーても,それでもかなり安全志向ではありますが…
まぁ,そのハイチューン仕様で2,350hp,残り2基はそこそこのチューンで2,100hpになってます。
「それでも,元の雷電に比べるとかなりの高出力ですよねぇ。。」
 そーですねぇ。元が最終時で1,350hpでしたから,格段の増加が行われてるって事になります。

「機体本体もかなり手を入れてますよね?」
 ヨクたんはやっぱりカットされてますね。ただカットするだけじゃなくって,零戦五二型のよにちゃんと整形もしています。
「芸の細かさはさすがですね。」
 風防は元になった機体のファストバックをそのまま踏襲していますが,それでもかなり高さを削って枠も減らしています。その結果…
「……胴体下部のラジエターが無いのと相俟って,なんか史実の十四試局戦そのままのデザインですね…(^^;」
 しかも,学研本で『雷電らしくない』と絡まれた細長めの主翼も,ヨクたんカットによって…
「……もっと史実雷電に近づいてますね(^^;;;;」
 とゆー事です(笑)。そもそもの液冷雷電の基本的デザインコンセプトって『横から見たら雷電,でも上から見たら…飛燕?』って奴だ
ったんですよね。それを弄くったら上面イメージまで似てしまったというのは,いささか皮肉ですね,自分で描いてて(苦笑)。
「やはり,液冷雷電のあの主翼は意図したものだったんですか?」
 そりゃそーです。一部の勘違い人間が『あなたはどっち』でからしょーもない馬鹿っぽくてす的な突っ込みしよりましたが,意図してや
ったものくらい読み取ってほしいですよね。っつーか,『気に入らんのんなら自分でアレに負けんもん描いてみぃや,のぉ』ですよ,正直
な話。
「う,海野さん,落ち着いてください…(汗)」
 あ〜,大丈夫です,落ち着いてます。ワシは『自分以外の馬鹿はその存在を感知しない』って主義なので,怒ったりなんかしませんって。
怒るのもアホくさいです。
「え,えーっと(あせあせ),フロートは設計も三菱なんですか?」
 そですね。三菱江波は船とかも作ってましたから,十分可能です。ノウハウを一番持っている筈です。
「プロペラなんかはどうなんですか?」
 何気に,これが一番苦労した点だったようです。日本製のプロペラってロクな物がないですし,これに関しては米軍に頼み込んでP−5
1用のを廻して貰ったそうです。ペラの供給が出来るんなら,エンジンもそう苦労する必要なかったんじゃ?って気もしますが(笑)。
「でも,この絵を見ると…P−51用のにしてはちょっと直径が大きすぎるような気がするのですが…」
 あぁ,それはですね………ミスです(核爆)。寸法,3.6mでやってるんです,明らかに間違ってます(^^;
「直さないんですか?(^^;」
 だって,めんどいんだもん(滅爆)。


三,作った後。
「作った後…といっても,レースの結果は分かりませんよね?」
 まぁ,そうですね。これは胃袋さん次第です(笑)。でもまぁ,他に出る機体が機体ですから,精々『善戦した』ってとこが精一杯なの
ではないでしょうか。『グリちゃん』を2基積まれたり『セイ婆』4基積んだりした奴に,マーリン1基のライトチューン仕様の奴が勝て
る道理がないですし。
「悲観的ですけど………まぁ,そうですよね,状況が状況ですし(−−;」
 まぁ,一つ言えることは『堅実な設計だから,墜落っちゅうことはなかろー』と。これだけでもあの時期の日本には充分なんじゃ?って
気がしますね。
「ル・マン初挑戦の頃のマツダみたいですね(^^;」
 そ,正にアレです。アレと同じみたいに,戦後のバス事業は日本にしては例外的に,海外でも積極的なセールスを行っています。まぁ,
最初のあたりは悲惨な結果だったってのは言うまでもないですけど。
「そのあたりは,トヨタのランドクルーザーや日産パトロールと同じですね。」
 ですね。でも,60年代の前半には,ウミノ製バスボディはイギリスのデニスやレイランドのシャーシを用いてかなり採用されてますよ,
ヨーロッパで。メルセデスだとかネオプランだとかMANだとか,あのあたりの超強豪メーカー相手にこの結果は,ある意味凄まじいもの
があります。
「それは,やはり『どこんじょう』の結果ですか?」
 広島の奇跡と呼んで頂きたい(笑)。欧州での販売結果もそれはそれでいいんですけど,でも最も評価すべきなのはイブクーロでしょう
ね。
「出た,イブクーロ(^^;」
 イブクーロの場合は,シャーシも日本の日野ですね。日本よりも狭い国土の割に,何故か長尺高出力の車が好まれて…輸出されている車
も大半がそうですね。当初こそ直6だったものの,そのうちターボがついて,さらにはV8か水平対抗10or12気筒の奴が主力になっ
ています。
「でも,最近だとやっぱりノンステップじゃないんですか?」
 今現在輸出されている車輌こそノンステップなんですが,それでも世界の潮流とは全く違う方向に突っ走り,前扉と中扉の間だけノンス
テップの所謂『簡易型』が主力です。中扉より後ろは今までと同じ高さ,その下に納まるエンジンは,間も変わらずV型(爆)。排気量は
少なくとも17リッターはありますから自然吸気でも出力は330ps,小排気量過給機付の欧州メーカーとは比べ物になりません。トル
クはもう…言わずもがな,ですね(笑)。
イブ国専用に海野が生産する,F17I<F−Y>型V8・16,745cc搭載。出力243kw/2200rpm
「せめて,大馬力の直6を水平置きしたらいいのに(^^;」
 とにかく,V8以上が好きらしいです,イブクーロの事業者は(^^;
「評価はどうなんですか?」
 当然,大排気量のウミノ製の方が出力・トルク両方大きいですから,運転手からの評判は至って良好ですね。逆に欧州メーカーの奴は,少
し丘陵に差し掛かっただけであからさまにスピードダウンしますから,評価は芳しくないですね。これは,セミオートマの海野とトルコン
オートマの欧州メーカーの差もあるでしょうね。乗客からはノンステップ部分の面積が少ないって声も聞こえますが,後部客席の座りやす
さと低騒音・低振動でやはり高い評価を得ているそうです。
「シェアも高いんですよね。」
 えーと,40%くらいですか(爆)。香港におけるデニスよりも強いですね,こりゃ。まぁ,日本における三菱の観光バスシェアと同じ
くらいですか。
「………それって,『無茶苦茶強い』って事じゃないですか(^^;」
 しかも,欧州の強豪メーカー相手ですね(爆)。


四,つけくわえ。
 まぁ,そういう戦後の『活躍』も,全てはこの『グリーンブリーズ』があったからなんです。
「そういえば,一つ気になってたんですけど……」
 ほいほい。
「何故,名前が英語なんですか?」
 あぁ,これはですね,やはり飛楠技師の提案です。『外人に名前を知らしめるんなら,日本語じゃだめだろ。英語だ英語っ!』……と言
ったかどーかは定かではありませんが,まぁ似たような事を言ったんでしょう。
「それで英語なんですか。それで,この名前の由来は?」
 なんでも,『中国山地の緑と,瀬戸内の微風』らしいですよ。そのまんま,捻りも何もありませんね。ご大層なお題目の割に,結構いい
加減な命名だったりします(笑)。
「そ,そんな事は…(^^;」


五,捕捉
「海野さん,ひとつ質問が…」
 どんぞー。
「表題,違います(^^;」
 あれまっ!?
五,補足
 これでいいですね(^^;
「ええ(^^;」
 それで,補足なんですけど。さっき,一項でから飛楠の反対理由言いましたよね?
「ええ,確か『広島人じゃないから』ですよね?」
 そうです。それなんですけど,その論の行き着く先って結局『原爆食らってんのにんな事やる暇なかろー』って事ですよ。でも,やっち
ゃってる訳ですよね。
「そうですねぇ…確かに,凄いといえば凄いですねぇ。」
 これね,実は戦後にとある方面から凄い攻撃食らってるんですよ。
「とある方面?」
 広島が日本に――いや,ここまで来たら世界かも知れんな,に誇る左翼集団『広島県教職員組合』ですわ(笑)。
「あら(^^;」
 それはそれはもー,兎に角無茶苦茶に,ボロクソ言われてます。広島の小学校では,結構な数のところで全国版の教科書放っといて地元
限定版の社会科教科書使うんですよ。それには,県の産業――仏壇とか筆とか広島菜とか牡蠣とか蒟蒻芋とか神石牛とか,そーゆー物が書
かれてるわけですけど…当然,マツダとか海野車体工業とかも触れられています。
「ふむふむ。」
 そこで,マツダだったら『ロータリーエンジン云々』が言われるわけですね。ワシもその関係でマツダに工場見学行きました。丁度マツ
ダの車種が乱立してたころ――クロノスファミリーとかが大量発生してた時ですねぇ。ああ,懐かしい…
「オートザムクレフとかですね?」
 …いきなり渋いもの出してきますね(^^;。まぁ,その頃ですよ。ユーノス500とかテルスターとかMS-6とかMX-6なんつーの
も居ましたよね。。
「それで,その時に…?」
 あぁ,そうそう。それで海野車体工業なんかは『バスボディーメーカーで,全国にそのバスは走っている』とか『イブクーロ王国など,
世界各地に輸出されて高い評価を得ている』とかやる訳ですが,その過程で『シュナイダーカップのヒコーキ』やるんですよ。勿論,戦中
に戦闘機作ってたりとか現代においてもヒコーキ産業に噛んでたりしてるとか,そーゆー事もやる訳ですよ。
「それが問題視されてるんですか?」
 そうなんです。『戦争中に兵器を作っていた』,『強制連行の朝鮮人も多数働いていた』,『原爆で街が壊滅している時にも飛行機を作
っていた』,とまぁ,攻撃材料には事欠かん訳です(笑)。
「要するに,『美味しい材料』だったわけですね(^^;」
 あったりぃ(笑)。…って,笑い事でもないんですけど。
「でも,この3つ,指摘されたらなかなか痛いところではありますよね…」
 まぁ,確かにそれはそうなんですけど…んな事言ったって『戦争中に兵器作っていた』会社はそれこそ日本中にゴマンとあるわけですし
ねぇ。『原爆で云々』ってのも,復興作業にはきちんと従事していますし,むしろ芸急電鉄・広島電鉄の両社の路線全線が何故昭和22年
の夏までに全復旧できたかって事考えると,『復興を軽視していた』なんつー批判は口が裂けても言えん筈です。
「二つ目のはどうなんですか?」
 まぁ,これは微妙な問題ですけど…ウミノ工機にも,戦中かなりの数の強制連行された朝鮮人が配置されてるんです。にも関わらず,戦
後の保証請求はウミノに対しては1件も行われていません。他の会社だと結構『会社に対する訴訟』が多いわけですけど,海野においては
それがない訳ですよね。この客観的事実をどう捉えるか,それも鍵だと思いますよ。
「なるほど…」
 何にせよ,海野車体工業に対する社会科見学を行っている小学校は,工場附近の学校だけですよ(笑)。
「それじゃ,親会社の芸急電鉄も…」
 あぁ,広島電鉄と同じくらい,若しくはそれより多くの学校が見学に来ますよ(爆)。本社のある中筋車庫なんかそれこそ『広島市中央
郵便局・マツダ本社と並ぶ社会科見学のメッカ』ですし,車庫としては最大の規模を誇り,電車の建造も行われている長楽寺車庫にもそれ
に負けない数の学校が来ます。
「ええと,長楽寺車庫ってつまり…」
 海野車体工業長楽寺工場,即ちシュナイダーカップ出場機『グリーンブリーズ号』が製作された場所その物ですね(爆)。
「あら(^^;」
 更についで申し上げますと,その場合に使われる貸切バスは,広電観光・広島交通・広島バス・芸陽バス・防長交通などが挙げられるわ
けですが…それらの会社が導入してる観光バスも,日野か三菱のシャーシの奴は大体『USK』のエンブレムが飾られてるSHD(スーパ
ーハイデッカー)なんですよね。
「それってつまり…」
 そのまんま,海野車体工業が世界に誇る観光バスボデー,『グリーンブリーズ』ですよ(爆笑)。
「そ,それは………(^^;;;;;;」
 無茶苦茶な話でしょう(笑)。
「そうですね(笑)。」
このバスボデーの「濃さ」がわかれば大したもんじゃ(を
 その中の一つ,芸陽バスの奴がコイツですね。
「上に出ていた車とは形が違いますねぇ。」
 あぁ,2000年のFMCまでは,ずっと基本的に1977年に出たボディーの改良型ですから,国内向け観光ボデーは。だから,多少
古いラインだというのは否めませんね。
「それにしても,一つ思うんですけど…」
 はいはい。
「見学に使われるバスに芸急バスがないのはどうしてなんですか?」
 あぁ,芸急バスは観光事業やってないんですよ。観光事業は海野高速急行観光開発興業に移管されてるんです。『ウミノ』ってことでか
ら学校の方も端っから無視しとりますし,海急の方も大して気にしてません。そもそも,サロンカーとか定期観光とか,そっち方面に重点
置いてますから,観光事業は。そういう事情もあるし,あと芸急電鉄に見学に来る場合に他の事業者のバスを用いていたとしても,別にこ
れっぽっちも気にしてなんかいません。
「使ってるバスの大半が海野車体製なんですから当たり前ですよね(^^;」
 ええ,どこの事業者もある一定数は海野のボデー導入してくれとりますから,例え海野車体製以外の奴――三菱とかですね,が来ても目
くじら立てたりなんかしませんよ。
「自動車会社とはかなり違うんですね…」
 自動車会社って,敷地内に他の社の車入れちゃ駄目なんですけどね,大抵。マツダの場合でも,中学の頃の社会科の先生がトヨタの車で
行ったら入場拒否されたそうですから(^^;。まぁ,バスの場合は事業者とメーカーの関係って物が非常に強いわけで,その関係さえ繋がっ
ていれば多少の事は構わない訳ですよ。
「なるほど…」


六,最後に。
「海野さん,最後にやっぱり言っておきましょうよ…」
 …やっぱ,そう思います?
「さすがにちょっと,これは…」
 ですね(−−;では,あー,おほんっ。
 ヒコーキの投稿なのに,何故かバスに関するものの方が多くなってしまいましたっ,この場を借りて謹んでお詫び申し上げますっ!
「すみませんでした…m(_ _)m」
 って,愛さんは謝らんとええんですよ,原因ワシなんですから。
「え,でも…」
 …っつか,それ以前に『この最後のところまで読んでる奴』が本当に居るのか?って事の方が重大問題ですが(笑)。
「それを言っちゃいけませんよ(^^;」