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あたりは騒然としていた、予選が始まってすぐにゼッケン001が着水事故を起こし、機体はバラバラになったがパイロットは無事だったらしい…。オレはなぜ、こんな場所に来てしまったのか今でも分からない、ただコイツをねじ伏せたいだけなのかもしれない…。 1946年2月、長かった戦争はようやく終り、程なくオレの軍暦も終了した。 そう失業したのだ、空軍の飛行士になりずっと空を飛べると思っていたが、戦争が終れば、年老いた飛行士などお払い箱だ、軍はデスクワークを進めてくれたが、オレはそんなマゾヒズムを持ち合わせていない。 インフレの続く今、民間の航空会社でも年寄りのオレに出番はなかった、年が明けていつものパブでちびちびビールを舐めていると、昔聞き慣れた声がオレを呼んでいた。この声を聞かなければ人生はもっと平穏で年寄りに相応しいものだったろう…。その声の持ち主、スパーム。彼は整備中隊でオレの機体を預かっていた。大企業の御曹子で住む世界が違うと思っていたが、なかなか憎めないやつだ、彼とは戦争が始まってアフリカからずっと一緒だった。しかし、戦争の後半はオレにとっても彼にとってもいいものじゃなかった。 スパームは老いぼれのオレを捜していたらしい、ビールで乾杯し再会を祝ったが、彼は挨拶もそこそこにとんでもないことを言い出した。「シュナイダーで飛んでみないか!、機体もスポンサーもなんとかした!」「オマエしかいないんだ、レース用の機体を見ればオマエもすぐ分かるぜ!」そこから先は、自分でも良く覚えていない…、スパームの車に乗せられ翌日にはカレの家に着いていた、広い敷地を抜けスパームは車を止めた、そこは車なら10台は入るガレージの前で、彼は「こいつを見たらオマエにもわかる!」ガレージの扉をゆっくりと開きながら嬉しそうに言った。 まるで悪夢を見ているようだった、ガレージの中には、オレにとって一番相性の悪いヤツがいた、ヤツの前では別れた妻が天使に見えるくらいだ…。「どうだ懐かしいだろう。」スパームは得意げに言った。43年、オレは乗り馴れたハリケーンから機種転向でヤツに乗ることになった、でかいアゴのラジエター、ふんばった脚、一目見てハリケーンとは次元の違うパワーを感じ惚れ込んだ。訓練中エンジントラブルや細かい故障はあったが、そんな問題を帳消しにするパワーがオレを虜にした。しかし蜜月の時は長く続かなかった、43年反攻作戦が開始されフランスへの対地攻撃の任務に付いた、そこではエンジントラブルはあったものの整備班の努力でなんとかなっていた。しかしオレだけはヤツとの相性が最悪だった、フランスに駐屯してからも、帰投中のエンジントラブル、着陸時の脚トラブルなど8回死にかけ、4回寒い海で泳いだ。原因も説明の付かないもので、さすがのスパームも処置無しの状態。そんなことが戦争が終るまで続いた。ヤツに惚れ込んだオレはいつも最後に振り落とされたのだ…。 「ははっ、そう苦い顔するな!」「こいつとの決着はまだついてないだろう、こんどは乗りこなせるさ!」スパームは、「ベースはお前が乗っていたMk.1、それにテンペストの薄翼を付けている、エンジンは3基、いま仕上げの最中だ。」「ペラはスピットの5翔ペラをつける」「フロートはスピットの水上機で使ったやつをパクッてきたんだ。」っと困惑するオレにお構い無しで矢継ぎ早に喋り出していた、見るとラジエター部はスッキリと小さくされ、キャノピーもレース仕様になって、オレが知っているヤツとはイメージが違い、なぜか優しく見えた。油断はできない、きっとヤツはそんなオレに舌を出しているに違い無い…。 どこから金を捻り出したか知らないが、機体は順調に仕上がった、エンジンは2台が2,900馬力で軽量化を計ったもの、もう1台は決勝用3,250馬力のハイチューン仕様を用意しテストを開始した、オレはしぶしぶ乗ることになったが、自分でも驚く程ヤツに乗ることを楽しんだ、しりの座りは昔よりさらに悪く尾翼に安定板をつけたが、それ以外はなんとかなり、承認を得ると機体はロイヤルブルーに化粧が施され、胴体に大きくチームSPAMと入れられた、飛ぶ事以外はなにも気にしなかったが、これにはさすがに恥ずかしくなってスパームに言うと、「ボスはおれだ」と笑って言われた。 関係ないことだかスパームは本名ではない、彼が無類のスパーム好きからきたものだ、スパイスドハム…戦時中は誰もがいやでも食べていた缶詰で、塩辛く舌にピリピリくる感じでオレは苦手だった。おまけに商品名のスペルは違うが、聞こえは勘弁してほしい、彼はアダナを付けられても気にせず、かなり気に入っていたらしい。 「おい!出番だぜ、コイツでぶっ飛ばしてこい!」スパームの声で現実に戻る、機体のチェックが終ったコクピットの中で呟いた、いつも途中までオレに最高の夢を見せてくれる、だが最後はオレを裏切る。今回裏切られれば13回目になる、最高の裏切りを用意しているに違い無い、だがオレは絶対ねじ伏せてやる………いや裏切られてもかまわない、オレはまたこうして空を飛べるのだから…。 注:このあと、ホーメルフーズ社がスポンサーとなり、全米各地を宣伝飛行する事となり、テリーギリアムと仲間達はインスパイアされ例の番組を制作する事になる(嘘) キャー恥ずかしい!こんな駄文書くなんて、モンティーパイソンのビデオ見てスパ〜ム、スパ〜ム!の歌が忘れられなくて…。スパムは沖縄で食べましたが、チョット私にはピリピリ来る味でして、って話しじゃなくて、本題に。このシュナイダートロフィーにバカ漫画を投稿し、001という栄光の番号に泥を塗る失態を演じてしまい、挽回の意味でまともな出場機を出す事にしました。しかし、水上機をオリジナルで創る根性はないので、大好物のタイフーンを使うことにしました、下駄履きとはいえ元が低高度ではかなり速いヤツですから期待しましょう。シングルフロートはカナヅチの私には不安で、抵抗は増えますが双フロートとしました。また、レース時間内エンジンがもてば良いのですから性悪のセイバーでもなんとかなるでしょう(生産数は大丈夫なのか?)。Mk.5(テンペスト)の薄い翼を付けて高速時の飛行特性は安心(最初からテンペストでいいじゃん!)。あのいかついアゴでブイブイいわせるはずです、きっと。諸性能は想像に御任せいたします。 |
