チョットイイデスカ神父

これはよく見かけるが、めったにないお話です。

 その日、長野博氏(仮名)は買い物をするために友人と二人で渋谷の街 までやって来ました。気分もうきうきしてくるようなうららかな春の日 でした。長野博氏(仮名)は神奈川の山奥に住んでおり、都会にはめった に出てこないため渋谷の街を歩くのにあたりが結構もの珍しく、ついつ いキョロキョロと回りを見回しながら歩いていたのでした。そういう、 明らかに都会なれしていないと思われる人間を目ざとく見つけるのは、 そうあの人たちなのです!
 その時、長野博氏(仮名)は左側のスポーツ店のショーウィンドウに気 を取られ左側を向いたまま歩いていました。そして、視線を前に戻した ときに、2mほど先に立っている明らかに宗教関係に携わっていると思 われる、いわゆる「神父」といったようなかっこうをした外人と目が 合ってしまったのです!
 長野博氏(仮名)は次にその神父の口から発せられるであろう「チョッ トイイデカァ〜!?」という声から逃げるようにその神父の左側を通り過 ぎようとしました。しかし・・・
 「ワタシトォ、ジャンケンシマショウ」 この、予想もしない言葉を聞 いたとき、長野博氏(仮名)は思わずその神父と向かい合うように立ち止 まっていたのでした。(なな、なんだぁ〜?)彼の頭の中は?マークでいっぱ いです。するとその神父はこう続けました。「ジャンケンシテ、モシィ、 ワタシガカッタラァー、ワタシノハナシィー、キイテクレマスネェー?」
 (おお、そうきたかい!) そう思った長野博氏(仮名)は
「おもしれぇじゃねぇか!やってやろう!」
つい勢いでそう答えていました。ここに渋谷のど真ん中で神父と一般市民 のジャンケンが始まったのです!
 「んじゃいくぞ〜!」こうなったらもう勢いです。長野博氏(仮名)絶対 負けたくないせいもあり、自分を勢いづかせる意味もあって、ついつい大 きな声を出していました。「じゃーんけん、ポイッ!」「あいこでショッ!」 そのジャンケンは白熱しました。しかし、決着はつくものです。3回のあ いこの結果、ついに長野博氏(仮名)が勝利を納めました。長野博氏(仮名) は神父を勝ち誇ったような視線で見下ろすと(同行していた友人談)、 くるりと振り向き、その場をあとにしようとしました。そのときです! うしろから、こう声がかかったのは!
「デモー、アナタハヤサシイカラー、ワタシノハナシー、キイテクレマス ネェー?」
 それは聖職者にあるまじき裏切りの言葉でした。怒りを覚えた長野博氏 (仮名)は、ふりむきざま、
「じょうだんじゃねぇ!」と言い放つと、今度こそ きびすを返し、渋谷の人混みの中に消えていきましたとさ!