タクシーは突然に

これは本当にあった不思議なお話です。

「オレ、この間ひどい目にあっちゃった」
「なんだ、どうしたんだよ」
「実はさあ・・・」と草薙剛氏(仮名)が語り始めたのは次のようなこと でした・・・。

 ある日、草薙剛氏(仮名)は自転車を走らせていました。彼の自転車は 本格的なスポーツタイプでその日は体調も良く、まさにペダルを「ギュン ギュン」いわせる勢いでカッとばしていました。走っていた場所は広い 道路で、左には歩道があり歩道と車道の間にはガードレールがずっと続 いていました。しばらくすると、右側ギリギリのところをタクシーが通 り過ぎていきました。「あぶないなぁ」と思っていると、なんとそのタ クシーは目の前で左のガードレールに車体を寄せて急停車したではありません か!しかも、乗客を降ろすためか左後部のドアをちょうど途切れたガード レールのすき間に半分は入り込ませるように開き、行く手を完全に塞い でしまったから大変です!もう、タクシーの右へよける時間はありませ ん。あわてて急ブレーキをかけましたが、もうとても間に合いません。 「うわぁ〜、ぶつかる〜!」と思った寸前、乗っていた客はスッとタク シーを降り、ガードレールのすき間へ消えました。観念して草薙剛氏( 仮名)は自転車を放り出すように左に押しやり、自分の体を右へ飛ばしま した。あわれ自転車はそのままドアの内側へ激突してしまいました・・。

「で、オレはどうなったと思う?」草薙剛氏(仮名)が最後に聞きました。
「えっ?どうなったんだよ?」
すると草薙剛氏(仮名)は答えました。

「タクシーに乗っちゃってるんだよ!」