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日本製鋼所の室蘭製作所は陸海軍の大砲を製造するために建設されたと言っても過言では有りません。

特に創業時代には海軍と協力して三十六糎砲の製造技術をイギリス(ビッガース、アームストロング社)から修得し、榛名の三十六糎砲から本格的に戦艦の主砲の製造を開始した。以後伊勢型に至る三十六糎砲の大半を製造し、日本製鋼所における三十六糎砲の総製造数は92門です。

ボリビア井上さんから三十六糎砲の搭載数は金剛型に各8門で32門、扶桑、伊勢型に各12門で48門の計80門、おまけに金剛の8門はビッカース製だから、72門しか造っていないのでは?それとも大砲は交換されたのでしょうか?という質問が有りました。

艦載砲には寿命があります。また事故等で壊れることも有ります。このため
砲身は1艦に2門程度予備を造ります。このため日向が竣工した頃日本には戦艦に搭載したものを含めて93門程度三十六糎砲が有りました。

その後、昭和7年頃から三十六糎砲は寿命を迎え始めたのと、対米戦の準備が開始され、昭和7年から終戦までに日本製鋼所だけでも38門が製造されました。

この様な事情から三十六糎砲の総製造数は131門を下ることは無いと考えられます。
日本製鋼所に現存する三十六糎砲の砲身組立の図面、
四十五口径四三式十二吋(三十糎)砲とは
四十五口径四一式一四吋(三十六糎)砲の秘匿名称である。
日本製鋼所室蘭と三十六糎砲の図面
創業当時の日本製鋼所
三十六糎砲の製造数
艦名 仮称艦名 呉工廠 日本製鋼所 合計
自社 毘社 小計
比叡 卯号装甲巡
榛名 二号装甲巡
霧島 三号装甲巡
扶桑 三号甲鉄戦艦 12
山城 第四号戦艦 10 10 14
伊勢 第五号戦艦 12 12
日向 第六号戦艦 12 12 12
その他 10 11
合計 25 47 13 60 85
一般的には「戦艦の主砲は呉海軍工廠でしか造られなかった。」といわれるがこれは後に建設された日本製鋼所広島製作所が20糎砲までの海軍砲を製造していたので、これとの誤認したものである。
実際には日本製鋼所室蘭製作所が戦艦の主砲を量産していた。

例えば三十六糎砲では呉工廠に25門日本製鋼所に60門発注され、日本製鋼所はその60門中13門をビッカース社に注文し、残り47門を自社で製造した。

三十六糎砲は呉海軍工廠でしか造られなかった所では無く、実際には呉工廠の製造数は日本製鋼所室蘭の製造数の約半分だったのである。
上記は予算上の発注数をしめし、この通りの数が各艦に搭載されたとは限らない。事故等があると融通したはずである。
三十六糎砲の工場別製造数