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初の国産航空機エンジン
     戦車のエンジンとなる 2002.06.07

日本で初の戦車用装甲板が日本製鋼所製であったことはあまりにも有名ですが、初の戦車用量産エンジンは元はと言えば航空機用エンジンであり、航空機エンジンとしては初の国産エンジンであった事を知る人はまれでしょう。

このエンジンは陸軍が外国から購入したダイムラー100馬力エンジンを見取りして造ったと伝わっています。

大正7年4月、日本製鋼所は陸軍東京工廠から6年式ダイムラー100馬力10台の注文を受け同年12月21日に完成し、23日に4時間の耐久試験にも合格している。このエンジンは翌8年にも10台追加注文があり、総計20台が生産されました。

出来たエンジンは当時陸軍の最新型モ式6型に装備されて134機が生産されています。(モーリスファルマンの国産型)

日本製鋼所の生産結果は、最初の10台は1台あたり2000円の赤字となり、次の10台はとんとんでした。当時としては航空機のエンジンが急成長するとも予測出来ず、日本製鋼所は航空機エンジンの分野から撤退しています。その後の航空機の隆盛を考えれば先見の明がなかったと言わざるを得ないでしょう。

この時エンジン開発にたずさわっていた宮田応礼は日本製鋼所を退職し、日本の点火プラグの草分けとなった事がNHKKの番組で紹介された事があります。

この初国産航空機用エンジンの試作1号機は室0号と名付けられました。室0号は会社の試作品として残されていましたが、後に89式中戦車甲型のエンジンの原型として陸軍に渡されています。そののち97式戦車むの量産工場となった武蔵製作所に記念として移管され、戦後また室蘭製作所に戻るといった遍歴を重ね、現在は室蘭市民俗資料館「とんてん館」に展示されてます。

室蘭市民俗史料館
http://www.nsg.co.jp/spm/museum/museum_tiiki/
muse_hokkaido/muse_data/muse_muroran_minzoku.html
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初の国産航空機エンジン
ダイムラー100馬力(日本製鋼所提供)
日本製鋼所で展示された89式中戦車
(日本製鋼所社史資料等より)

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