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砲兵戦術講授録 原則之部

結言

以上述べ来りたる砲兵戦術は 単に砲兵戦術初歩入門の進路を開拓したるに過ぎざるものにして 此の基礎智識を培養助長して深遠不抜の卓見と為し 克く千変万化の状況に応じて之を活用するの能否及巧拙は 一に将来に於ける研究の態度如何に依りて左右せらるるものとす

左に結辞として三項の注意を附加せんとす

  1. 一、日進月歩の研究向上に就いて

    兵器材料の改善進歩に伴い 戦術の変革を呈するは敢えて架説を要せざるところにして 砲兵用兵器材料の改善は砲兵戦術の革新を促し 同時に時の経過は研究の深奥に比例し苟くも停止するところなきは過去の事実に徴するも 将来又は将来の傾向を察するも極めて明瞭なることにして 一度研究し得たる事実に甘んじて宇内不断の日進月歩の状態に是如たらば 則ち呉下の旧阿蒙たるに堕するを知られざるべからず

  2. 二、砲兵戦術の連繋研究に就いて

    砲兵の戦術は 研究の便宜上之を一分科として区分研究せるものにして 他兵種戦術に対して単独に成立し若は他兵種と連繋なくして之を云々すべきものに非るは 敢えて高唱するの要なかるべく 戦闘の成否、勝敗の分岐は専ら諸兵の協同如何に存するを銘刻し 常に諸兵全般の戦術如何を会得しつつ砲兵の戦術を研究し 且 砲兵と他兵種との連繋及協調に着意して其研究の歩調を進めざる可からず

    由来砲兵は 往々砲兵のみにて戦闘するが如き謬想に捉はれ 軍内に於ける主従関係を転倒するが如き小我に陥り易しとの批難を受けたることなきにしもあらず 学生中砲兵諸官は特に此点に就き眼を高所大局に注がんことを望む

  3. 三、実物及実地の親灸に就いて

    校内研究は 研究の諸階梯として専ら机上の教育に過ぎず 諸官は此基礎智識に基き 将来与えられるべき機会に於て 又自ら開拓すべき好機を逸することなく 努めて実物に触れ実地に親しみ 以って確乎不抜の活事実を捕捉するの要大なりとす 若し夫れ諸官にして実地研究の必要を軽視し 単に文献に親しむのみを以って足れりとし 実物実地に対して之を砲兵技術の末節なりと曲解して 苟くも熱誠なる研究的態度に欠くるところあらんが諸官将来の用兵は 所謂画龍点睛の妙を忘れたるものと謂うべし

    諸官は既に百聞一見に如かざるの妙諦を野戦砲兵学校及重砲兵学校見学に於て痛切に感じたる体験を有す

    将来進んで砲兵緒講演等を見学し 以って時勢の進運に後れざらんことを切望して止まざるなり

砲兵戦術講授録 原則之部

終了