砲兵操典

附録
其の三 手榴弾の投擲
  1. 第一
    手榴弾の投擲に方りては兵をして沈著して能く機に投じ正確に投擲し得るに至らしめざるべからず
  2. 第二
    投擲の姿勢を取らしむるには目標を示したる後左の号令を下す
    • 立投(膝投)(伏投)
    不動の姿勢にあるとき目標を示さるるや先ず之に正対す
    立投の姿勢を取るには頭を目標の方向に保ちたる侭右足先を以て半ば右に向きつつ左足を約半歩前に踏出し両踵を目標と概ね一線上に在らしめ次で手榴弾を取り出し安全装置を解き発火の準備を為す
    膝投の姿勢を取るには膝射に準じて姿勢を取り右足尖を立て腕を右踵の上に載せ次で手榴弾を取り出し発火の準備を為す
    伏投の姿勢を取るには伏射に準じて姿勢を取り次で手榴弾を取り出し発火の準備を為し腕をなるべく高くせざる如く左足を腹部の下に深く曲ぐ
    銃を持つ時立投の姿勢に在りては銃を左腕に託し発火の準備を為したる後銃を左手にて提げ膝投及伏投の姿勢に在りては銃を右前方に置き発火の準備を為す
  3. 第三
    投擲せしむるには左の号令を下す
    • 投げ
    兵は信管を発火せしめ発火を確認したる後投擲す
  4. 第四
    手榴弾の投擲に方りては状況特に目標の状態及距離、地形、地物の状態、手榴弾の種類等に応じ姿勢及方法を選択すべきものとす