歩兵操典

第一篇 各個教練
第三章 夜間の動作
  1. 第71
    兵は夜暗に慣れ、特に耳目を活動して沈着豪胆に動作するを要す。之が為、夜暗に於ける動作、就中不整地、築城を施しある地域等に於ける前進及び突撃に習熟し、又険難なる地形を突破し得ること緊要なり
  2. 第72
    兵には夜間速やかに敵を発見し其の兵力、距離、及び行動を判定するの能力を養成し、且つ地形地物の識別及び其の価値の変化、装面して行う行動等に関し教育するを要す
    夜間に於いては前進方向を維持し予期の地点に確実に到着すること必要なり。之が為、兵には方位判定の能力を与え、又著明なる目標、或は昼間記憶せる地形地物等に依り前進方向を維持することに慣れしむ
  3. 第73
    夜間、企図を秘匿する為、静粛行進の要領、着装及び兵器の取扱に於いて音響を発せざるの処置、記号に応ずる動作、照明を受けたる時の動作に習熟せしめ、且つ、妄りに音声を発せざる習慣を養成し、又各種の状況、地形に於いて迅速果敢なる前進及び匍匐前進を演練すること必要なり
  4. 第74
    夜間の突撃は地形地物に制せらるることなく果敢に実施し得るを要す。手榴弾の投擲の演練亦必要なり
    夜間の突撃に在りては喊声を発せざるものとす
  5. 第75
    兵は自ら夜間射撃の設備を行い正確なる射撃を為し、又設備なき場合に於いても小銃手、軽機関銃射手に在りては銃を地面に平行にし、且つ正確なる据銃に依り、擲弾筒射手に在りては正確なる筒の保持に依り、至近距離の敵に対し効力を収め得るを要す